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抱枕

2010/09/20 Mon
m25


ゆっくりと歩きながらネクタイを解き、ソファの背にジャケットを掛けると、音も無くベッドへと腰掛ける。
スプリングの僅かな軋みさえも殺しきる動きは暗殺者然としているが、実際は寝入りの浅い番いを気遣ったに過ぎない。
やれやれ、と肩を竦めながら、漸く一心地付いたように吐息を漏らす。
次いで、隣で安らかに寝入るジェネラルへと視線を落とした。

「……ただいま戻りました」

呼気に混ぜるように呟くと、腕を伸ばして寝入るジェネラルの金髪を梳いた。
金髪はしっとりと湿っていて、乾かさずに寝たのだろうと苦笑を漏らす。
髪を乾かさない程度でどうにかなるような鍛え方はしていないだろうが、せっかくの金髪が傷んでしまうのは勿体ない。
ドライヤーは無理でも、せめてタオルで水気を取ろうかとオズワルドが思案していると、僅かに開いている窓から夜風が入ってきた。
風はカーテンを揺らし、控えめに月光を室内へと差し込ませる。

「―――おやおや…」

窓の閉め忘れなど、珍しいこともあるものだ。
オズワルドは内心で驚きながらも、寝ているジェネラルに夜風が当たらないよう、素早く動いて窓を閉めた。
窓辺に立ち、捲れたカーテンを直しつつ、眠りにつくジェネラルを伺うように寝台へと視線を投げた。

「……?」

僅かな光源で確認した寝台は、朝見たときと何処か違って見えた。
オズワルドは違和感に首を傾げつつ再び寝台へと腰掛けると、今度は注意深く周囲を見渡した。
朝方替えたばかりのシーツに、目覚まし時計、枕に埋まる金髪に―――…


枕?


オズワルドは闇に慣れた視線をキョロキョロと寝室のあちらこちらへと飛ばす。
ジェネラルのものと同じ大きさの枕は決して小さいものではないのに、寝室のどこを探しても見つからない。

「……どこに隠したんです……?」

くすくすと、心底愉しそうに笑むオズワルドは隣のジェネラルに小さく問うた。
差し詰め、帰宅の遅くなったオズワルドに対する意趣返しの心算なのだろう。
笑気を堪えながら身を屈め、ジェネラルの米神に口付けを落とそうとしたその瞬間、オズワルドは意外な場所で探し物を見つけた。

「…………」

探し物を見つけた瞬間、オズワルドの頬に熱が上がる。

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[Serene Bach 2.23R]