いとしきみよ
2010/09/16 Thu
m25
!注意
ゲニ→グスで片思い。
若干祭祀様が乙女で、グスタフがツンツン。
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寝台を整えるグスタフの動きは淀みない。
微かな布ずれを奏でながら、常はワイヤーを操る指で以ってシーツの皴を伸ばし、着々とベッドを白に彩っていく。
仕上げとばかりに枕を優しく叩いて形を整えると、黒髪を揺らしながら振り向いた。
「お待たせいたしました、祭祀様」
片手を胸に当て頭を下げる先には、寛いだ格好のゲーニッツがグスタフを眺めていた。
その手のカップには、グスタフが手ずから入れたハーブ・ティーが揺れている。
ゲーニッツはカップをソーサーへと戻すと、緩慢な動作で立ち上がり寝台へと足を向けた。
入れ替わるようにグスタフがテーブルへと近寄り、静かに片づけを始める。
「―――グスタフ。」
「は。」
寝台に腰掛け、口元だけで笑みを敷いたゲーニッツは戯れにグスタフを呼んだ。
片付けも何もかもを放り投げ、グスタフの視線がゲーニッツへと注がれる。
足の低いテーブルの脇に片膝をついたままゲーニッツに身体ごと向き直ると、跪いているかのように見えた。
忠臣さながらに言葉を待つグスタフに、ゲーニッツは無骨な片手で寝台を軽く叩いた。
「一緒に寝ますか?」
その言葉に、切れ長の黒い瞳が伏せられる。
長い睫が影を作ると同時に頭を下げられ表情が見えなくなってしまう。
「お戯れを。」
肩から流れた黒髪の間から、硬い声が紡がれて一瞬ゲーニッツの手が止まる。
けれど、それに気付かれることを良しとしないゲーニッツは何事もなかったように軽く笑んで見せた。
「つれないですねぇ…仕方ありません。大人しく寝るとしましょう。」
「どうぞ、ごゆるりと。」
独り言のような呟きに、手早く片づけを終えたグスタフが返礼する。
陶器が触れ合う音すら殺すと、扉へと近づき照明が落とされた。
闇に目が慣れる前に、扉が静かに開閉した音がして、気配はそのまま霧散する。
僅かな足音さえもさせず、完璧に退散しきったグスタフにどうしても溜息がこぼれてしまう。
シンと水を打ったような静けさは、逆に睡魔を追い払っていく。
瞼を下ろしてみても、視界に映るのは暗闇でなくニコリともしないグスタフの顔だ。
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