恋娘―こむすめ―
2010/09/01 Wed
m25
しかし、それでもドラゴンの顔から笑みが消えることがない。
腰に手を当てて、ふふ、と小さく笑うと、グスタフの背中が見えなくなった所で声を出した。
「……だ、そうだぞ。ゲーニッツ殿は良い夢(ロマン)をお持ちだな」
「……………煩いですよ」
「………、…んー?」
丁寧に気配を殺して、角に潜んでいたパートナーを振り向いて、ドラゴンはとうとう噴き出した。
青の正装に身を包み、背中を壁に預けている姿は確かに隙がない。
ゆったりと組んだ腕も尊大そうだ。だが、ドラゴンは笑わずにはいられない。
「ゲーニッツ殿、照れるくらいなら二人で極上の夢(ロマン)を見れば良いのだよ」
眦まで染まる熱を持て余すように口元を掌で隠し、頬に朱を走らせたゲーニッツは、
効果がないと分かっていても、笑い続けるドラゴンをきつく睨みつけずにはいられなかった。
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