可愛い君と

「うー、わかんにゃい。もっとかみくだいて、おせーて」 あたしは自分の家のちゃぶ台に突っ伏した。 「これ以上どうしろというの?無理」 美奈萌が呆れ顔で言う。 「香澄なら出来た」 「今はいないんだからしょうがないでしょ」 「美奈萌が追い返した」 「人聞きの悪い。用事があるって言ってたじゃない」 「んにゃ、あれは美奈萌の凶悪なオーラに気おされてた」 「ぐっ」  言葉に詰まる美奈萌。あたしは続ける。 「せっかく三人で同じクラスに転入できたのに。学年末テストで落第して、あたしはきっと 留年するんだぁ」 「そんな」  ちゃぶ台にあごをつけたまま、上目遣いに甘えた子犬の目を美奈萌に見せてみる。 「香澄連れて来て」 「え?」 「美奈萌が謝ってでも、土下座してでも連れて来て、そうでなきゃもう駄目」  耐え切れないとでもいう様に美奈萌は立ち上がり、大声を上げた。 「あぁもう、うっとうしい!私は帰る」 「えー何でぇ」 「うるさい!もう、まひるにえっちな事だってさせてあげないんだから!」 「美奈萌、何てこと言うんだよぉ、やだよぉ」  あたしは座ったままぎゅうっと美奈萌の腰にしがみつく。 「あんた、どっちをいやがってる?えーい、もう!あ!」  ドアのほうに足を向けようとし、美奈萌はうっかりポテトチップスの空き袋をふみ、思い 切りこける、あたしもろとも。  ドタ――ン。 「あたた…ん?」  捲れた美奈萌のスカートの中を見てしまう―――黒?  慌てふためく美奈萌に構わずセーターも捲り上げる。お揃いの黒のブラ、思わず顔がにや ける。 「そっか、そっか」 「な、何よ」 「そんなに期待してたんだ、してほしかったんだ」 「そんなこと―――」 「だから、香澄追い出しちゃったんだ。これ、お気に入りの下着だったでしょ?」  あたしはゆっくりと美奈萌の上に乗りかかる。 「―――そうだけど」  美奈萌は恥ずかしくなって横を向いてしまった。代わりにあたしの方に向けられる形 となった耳元に吐息をかけながら、言葉を続ける。 「お泊りするって言ってきたんでしょ?一晩中いっぱいしてほしかったんだ」 「ち、違うもん」  あたしはもう少し苛めたくなって言葉を続ける。 「美奈萌は天邪鬼だもんね。わざとあたしとは全然違う人のことタイプって言ってみた り、見ちゃ駄目って言いながら、あそこをぬらしちゃったり」 「やだ、そんな事言っちゃ」  か弱く呟く美奈萌の顔をこちらに向けさせて、あたしはやさしくキスをする。やっと 出したかのような囁き声で美奈萌は言う。 「だって、まひる、さっきから香澄、香澄って。勉強教えてもらう時だって楽しそうだ し、わたしはあんなに上手に教えてあげられないし、悔しくなっちゃって」  あたしは微笑んで美奈萌の口に、ほっぺに、瞼に、首筋に何度も小鳥がついばむよう にキスをする。 「天邪鬼でやきもち焼きでそれに…」  美奈萌の下着の中に指をもぐりこませ、茂みを通り越し、ぬかるみに触れる。 「えっちな女の子かな?もう濡れ始めてる」 「…バカ」 「可愛いよ、美奈萌」  あの日から何度も伝えた言葉を又、あたしは繰り返す。  服を脱がせていく。下着を外すとき美奈萌は一寸残念そうな顔をした。あたしは笑いな がら言ってあげる。 「また後でじっくり見てあげるから」 「うん」  素直にうなずく姿が愛しくて、首筋に、胸元に、キスを繰り返しながら、あたしも自 分の服を脱いでいく。 「あ、やだ、そこ、感じちゃう」  うなじにキスをすると、ぴくんと体を震わせる。あたしは更に舌で美奈萌の耳を弄び ながら、言う。 「ここも、でしょ?美奈萌の弱いところは知ってるから、あたしだけが」 「わたしだって知ってるもん。まひるの感じるところ、全部」  張り合うように、美奈萌が抱きついてくると、指先であたしの背中をなぞり、舌で乳首 をなぶるように責めてくる。 「あ、ん、ん、気持ちいい、美奈萌……」  思わず、あえぎ声をもらす。美奈萌はその声にすら興奮し、あたしの太腿をまたぐと、 執拗な愛撫を続けていく。  自分の愛液の流れるままに…むしろ、太腿にこすりつけるように。  あたしは美奈萌のお尻を掴み、それから、中指を割れ目に沿ってなぞらせ、お尻の穴を 探り当てる。 「駄目、そんなとこ汚い―――や、指入れちゃ、ん、ん、やだ、こんなとこで感じちゃ ったら―――」  美奈萌は口でそう言いながらも、力が入らないのか、あるいは快楽から逃れられないの か、穴をいじられるがままにしている。こらえきれない喘ぎ声があたしの耳にまで届く。  あたしは囁く。 「ここに、おちんちん入れちゃおうか」 「そんなの嫌、嫌なの」 「美奈萌は天邪鬼だからなぁ、本当は入れてほしいんじゃない?お尻で乱れる美奈萌も見 てみたいな」  中指の動きは続けながら、あたしは言葉でも責めつづける。 「いや、駄目。ここに入れちゃ。入れていい穴がここにあるのに」  美奈萌はぐちょぐちょに濡れた股間をあたしに擦り付ける。 「どこ?何て言う穴?」 「ここよ―――女の子の穴」 「そんなのじゃわかんないよ。言って、美奈萌、ちゃんと四文字で」 「うそ――いや――」 「甘えた声出しても駄目。ここでやめちゃうの?さぁ、言って」  観念したように、堰を切ったように美奈萌の口から卑語があふれ出る。 「―――入れて。おちんちん、入れて。美奈萌の…おまんこに。中で、かき回して、感じさせ て、お願い」 「よく言えました、じゃ、あげるね」  あたしはソファの隙間から避妊具を取り出し、つけてからパタンと仰向けになり、言った。 「美奈萌、自分で入れてみて。下から見てみたいの、美奈萌の可愛く乱れる姿」 「そんな」  あたしは手を取り、すっかり興奮し、反り返るあたしものを美奈萌に触らせる。 「ねぇ、美奈萌、入れて。あたしの。早く入りたいってピクピクしてるでしょ、だから」 「ん―――う、ん」  胸をどきどきさせ、呼吸を荒くしながら、美奈萌はあたしの腰にまたがり、右手で自分の花 びらを広げ、左手はあたしのに手を添え、角度をあわせるようにしながら、迎え入れていく。 「は、ぁ、ん……あ」  ゆっくりと、確かめるように、味わうように腰を落としていく。やがて、すっかりくわえ込む。 「全部、入っちゃった、まひる」 「そうだよ、美奈萌の中あったかいよ。さぁ、動いて感じてみせて」  あたしは美奈萌の太腿をなでながら言う。 「う……ん」  恐々、動き出す。もちろんぎこちない動きだけれど。いつもとは違う角度からの快感、下か ら見上げる乳房の揺れ、自分のする行為に恥じらい、上気させ、興奮していく美奈萌の姿、全 てにあたしは刺激されていく。 「……気持ちいいよ。美奈萌もよくなるように動いて」 「嬉しい。あ、あ」   すこしずつ、動きを早めていく。より感じる場所を探すために腰を回しながら。  二人のつながったところから、湿った音が響く。  くちゅ、くちゅ、くちゅ。 「や、ぁ、音、聞こえちゃう、ん、ん」 「そうだよ、もっと聞かせて、可愛い声も、乱れたとこも」 「あ―――ん、感じる」  快楽に気をとられる美奈萌は目をうつろにさせ、口は半開きになっている。とても淫靡な ――様相。  あたしの胸を時に右手でなぶりながら、左手を床につけ、身を反らせる。のど元を汗が伝う。  くちゅくちゅくちゅくちゅ。  音も動きも、よりリズミカルになっていく。                          「すごい、いいよ、美奈萌」  締め付けてくる快感に、あたしも自然に、腰が動く。 「まひるぅ、あたし、や、ぁ、恥ずかしいのに――気持ちいいの――自分で動いちゃうの―― 止まらないの」 「そんなにしたら、もう出ちゃうよ」 「うん、来て。わたしももう――いっちゃう」  あたしは上半身を起こし、しっかり抱きしめ、美奈萌と揺れる。首筋を舐め上げる。 「ま…ひ…る、わたし、もう」 「うん、いっぱい出してあげる」 「……あ…ああ、駄目、駄目、ああ!」 「あたしも、出ちゃう、ん、ん」   ドクン ドクン ドクン ドクン  精液を注ぎ込む。まるで、ほとばしる液を残らず飲み干そうとするかのような美奈萌の中 のうごめきを感じながら。 「あぁ、すごい、まだわたしの中でトクントクンって言ってる」  うっとりとした声で美奈萌が呟き、私の胸に顔をうずめた。       * * * * * * * * * * * * * * 「ねぇ、まひる、わたしやっぱり香澄のところにノート借りに行こうか」 「大丈夫、月曜でもなんとかなるでしょ」 「でも…」  カターン、カターン。  何かが玄関のドアを叩く音がする。回覧版かな。ジャージを着て、見に行くと、コンビ ニの袋、中にはノートが2冊。手書きで「おサルさんでも分かる要点ノート〜国英社」と 「―――理数」  パタン、顔色を蒼ざめさせながら後ろ手にドアを閉める。 「あのさ……このノート」 「…香澄のお手製みたいね」 「それで…ドア、鍵かかってなかったんだけど…」 「…まさかね」  メモがひらりと床に落ちる。『せめて鍵ぐらいはかけとくよーに』  ……………。 「美奈萌、香澄に電話して」 「……一体、何て」 「『先ほどはとんでもないところをお見せしまして』」 「言えるか!」 「だって、美奈萌の方が乱れてたし」 「そんな風にしたのはまひるじゃないの……」 「でもさ…」 「何よぉっ!」  …………。  二人は顔を見合わせ、くすっと笑う。それから、どちらからともなく優しいキスを交わした。            お  わ  り

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