誰もいない静かな脱衣所。
 この向こうに、恵はいる。
 きっと今ごろ、気持ちよく湯船に浸かっていることだろう。
 予め風呂を沸かしておいて正解だったな、と改めて自分の手際のよさに感心してしまう。
 今、恵は油断をしている。
 おそらく、俺がこれから入ろうとしているなんて、これっぽっちも思っていないだろう。
 まぁ、裸の付き合いっていうのは大切だし、それに婚前交渉も恋人同士がしなければならない立派な義務だもんな。
 それに……寒い季節はやっぱ、混浴に限るよな。
「それじゃあ恵、入るぞ」
 俺は一人言のようにそう宣言すると、ためらうことなく風呂場へとはいっていった。
 恵はというと、この予期せぬ出来事の襲来に顔を真っ赤に赤らめて、そして背を向けてしまった。
「なんだ恵?恥ずかしいのか?」
 俺は意地悪くそういいながら湯船へとはいっていく。
「恥ずかしがることないだろ?俺達は既にお互いを知り合った仲じゃないか」
 う〜〜
 ぽかぽか
 恵は拗ねた表情でこちらを振り向くと、両手をグーにして殴りかかってくる。
「まったく……そーゆーことをする奴はこうだぞ?」
 俺はその両手を受けとめると、強引に恵の唇を奪った。
「…………」
 一気に恵の全身から力が抜けていき、そして驚いたことに今度は恵のほうから積極的に舌を絡めてくる。
 1分……2分……3分……
 長い時間キスをしていた俺達は、やがて名残惜しそうにお互いの唇を離した。
 長い唾液の掛け橋が完成する。
「恵、キスが好きなのか?」
 ……こくん
 顔を赤らめながら恵は、そう頷いた。
「そうかそうか。それなら俺が、いつでもしてやるからな」
 恵はその言葉にニッコリ微笑むと、俺の胸に指で何か文字を書き始めた。
『あのね』
『背中流すの』
 俺にはそう書かれたように感じられた。
「背中、流してくれるのか?」
 こくこく
 俺がそう尋ねると恵は何度も頷く。
「それじゃお願しよっかな?」
 俺達は湯船からあがった。
 そして俺が椅子に腰掛けると恵は垢すりを手に取ってボディーソープを大量につけ、俺の背中を洗い始める。
 ごしごしごし
 まるでマッサージをされてるような気分だ。
 チラッと見ると、恵はなんだか嬉しそうな表情をしている。
「恵、楽しいのか?」
 うんうん
 恵は頷きながら俺の体全体を洗っていった。
 背中、脇の下、腕、胸、そして立ちあがらせて足をこすっていく。
 そして……
「ちょっと待て」
 股間を洗おうとした時、俺は恵の動作をストップさせた。
「ここはそれじゃなくって、恵の口で洗ってほしいな」
 途端に恵の顔が赤くなっていく。
『あのね』
『大きいの』
 恵は俺の胸にこう、指文字を書いた。
「何言ってるんだ。これがさっき、お前の中にはいってたんだぞ?」
 俺がそう言うと、恵の顔が真っ赤になる。
「ダメ、か?」
 ……ふるふる
 しばらく考えこんで、恵は首を横に振った。
「それじゃあ恵、俺の言う通りにするんだ」
 こくん
 恵は頷くと立膝になった。
「じゃあまず、これを咥えるんだ」
 恵は俺の指示通り肉棒を口の中へといれる。
「それで、アイスキャンディーを舐めるような要領でしゃぶるんだ」
 恵は俺の言葉に反応するかのようにゆっくりとぎこちない動作で舌を動かしはじめる。
「いいぞ恵。もっと丁寧に、優しくな」
 こくん
「あ、ダメダメ!!歯を立てちゃ。それにもっと口全体を使って」
 こくこく
 恵は俺の指示通り、一生懸命舐めていく。
 ちゅぱちゅぱ
 イヤラシイ音を立てながらも、恵の表情は真剣そのものだ。
 きっと俺に奉仕したい一心なのだろう。
 そのせいか、とても気持ちがいい。
 まるで初めてやってるとは思えないほど、恵のフェラは上手かった。
 だんだんと肉棒が膨張していき、押さえきれない感情がこみあげてくる。
 い、いかん!!このままじゃ!!
「み、恵!出すぞ!!いいな!?」
「??」
 どぴゅ!!
「!!」
 途端に恵の表情が歪む。
 そして肉俸から口を離すと咳き込んだ。
 けほけほっ
 口内にだされた精液が床へと吐き出される。
「だめじゃないか恵。ちゃんと全部飲まなくっちゃ」
 俺は恵を立たせると、そのまま唇を重ね合わせた。
 そして指を膣の中へと入れていく。
 くちゅくちゅ
 恵のそこは既に出来あがっていた。
 白い密が流れ落ちてくる。
「恵、お前ってエッチなんだな」
 ふるふる
「嘘ついたってダメだぞ。こんなにビショビショじゃないか」
 俺はその流れ出る愛液を指ですくいあげて恵の目の前にもっていく。
 恵の恥ずかがる表情が、またとてもかわいらしい。
「それじゃあ、こんなことしちゃおっかな」
 俺は椅子に座ると恵の愛液が垂れる秘部を舐め始めた。
「!!」
 恵はなんともいえない表情を作って、必死で俺の背中に指文字でメッセージを伝えようとする。
『汚いの』
「汚くなんかないさ。恵のここ、とってもキレイだよ」
『恥ずかしいの』
「そんなこといってもダメ。おとなしく観念するんだな」
 舌を膣の中へと侵入させ、丁寧に舐めていく。
 恵は恍惚の表情を浮かべている。
 とても感じているようだ。
「よし、それじゃあ恵、今度は俺が体洗ってやるから、俺の上に座るんだ」
 はぅ〜
 俺が動作をやめてそう告げると、恵はとても困ったような表情を見せた。
「どうした?はやくしないと洗ってやらないぞ」
『あのね』
『おっきいの』
 恵は指文字でそう伝える。
 どうやら俺の愚息が入るかどうか心配しているようだ。
「心配ないって。ちゃんとはいるから。それにこんなに大きくしたの恵なんだから、ちゃんと責任とらないとな」
 はぅ〜〜
 恵は溜息をつきながら何かを考えていたようだったが、やがて決心すると自ら俺の愚息を手に取って、自分の秘密の花園へと導いていった。
 ズブブ……ズブブブブ……
 慎重に、慎重に腰を落としていく。
 そしてついには根元まですっぽりと入ってしまった。
 向かいの鏡には、俺の膝の上に据わっている恵の姿がしっかりと映し出されている。
 つまり、これから俺がすることは恵にもよく見えると言うことだ。
「それじゃあ恵、ちゃんとキレイに洗わないとな」
 俺は早速恵の胸へと手をやった。そして軽く揉んで乳首をつねってみたりする。
「!!」
 恵は恥ずかしそうにしながらも、同時にとても気持ちよさそうにしていた。
「恵、胸が小さいなぁ。それじゃあ赤ちゃんにおっぱい、あげられないぞ?」
 俺は恵の乳房を弄びながら言葉でそう語りかける。
 ふるふる
 恵は首を横に振った。
「それじゃあもっと大きくならないとな」
 俺はさらに揉みほぐしながら、同時に恵の唇を奪って舌を絡ませる。
 恵は俺になされるがまま、といった感じで快感をむさぼっているようだった。
 しかし、徐々に恵の様子がおかしくなっていった。
 小刻みに震えはじめている。
「どうしたんだ、恵?」
 俺が尋ねると恵は震える指先でこう、書いた。
『トイレ』
「トイレ?トイレに行きたいのか?」
 こくん
 恥ずかしそうに恵は頷く。
 なんだ、そうか。
 トイレに行きたいのか。
 俺の頭の中に悪魔のような考えが思い浮かんだ。
「大丈夫だって。ここでしちゃえばいいよ」
「!!」
 恵は驚いた表情で鏡ごしに俺を見た。
 ふるふる
 そしてイヤだといわんばかりに首を横に振りつづける。
「心配性だな恵は。自分のオシッコする姿なんて、滅多に見られないんだぞ??」
 俺は意地悪くそう言ってやると、腰を振り始めた。
 さらに乳首をきゅっと摘んでやる。
「!!」
 恵はこの俺の行動に絶えきれずに、口をあけた。
 ジョオオオオオオオオオ
 結合部から黄金水が、鏡に向かって勢いよく噴射される。
 恵はその行為を終えるとしゃくり泣き始めた。
「いっぱいでたな、恵」
 俺はそんな恵の唇に再び接吻をした。
 恵もすぐに反応して、俺の動作を受け入れる。
 羞恥心よりも快楽を求める感覚が優先されてるようだ。
 俺はそんな恵を可愛がってやろうと腰をさらに振った。
 もちろん指を使って恵の乳房を攻め続ける。
 恵は決して言葉に出ないよがり声を漏らしながら快楽に身を任せ、ほどなくして絶頂に達した。

「……よくもまぁ、ここまで書いたよなぁ……」
 ひょっとして自分がされたい願望をそのまま文章化したんじゃないか?小雪の奴。
 まぁ、ようするに。
 小雪は欲求不満がたまりまくってると言うことは、よーくわかった。
 普通、いくら親しいからって、年頃の男に官能小説もどきを読ませたり、いきなり水着姿になったりなんてしないもんな。
 小雪が俺のことを『男』として見てないなんて事、ないと思うし。
 さて、その小雪の欲求不満をどうするか?
 やっぱここは男として、その捌け口になってやらないといけないよなぁ。
 そう考えるとアレは必要なかったかもしれない。
 でもまぁ、もうすんでしまったことだし。
 ……そろそろだな。
 俺は原稿用紙をテーブルの上に置くと、服を脱いでトランクス一枚の姿になり、風呂場へと向かった。
 案の定というか、小雪が恍惚の表情を浮かべながら冷たいシャワーを浴びている。
 俺はバスルームのドアを開けた。
「よぉ、小雪」
「ふ、古閑くん!?」
 小雪は驚いたようにシャワーを止め、慌てて胸元を隠すような仕草を見せる。
「何でこんなところにいるんだ?お前、トイレ行ったんじゃなかったのか?」
「そ、それは……ふ、古閑くんこそ、どうしてそんな格好してるのよ!?」
 答えに窮した小雪は、俺に逆質問をしてくる。
「俺か?俺は、小雪とエッチなことしようと思って」
「エ、エッチなこと!?」
 小雪は顔を真っ赤にした。
「そっ。エッチなこと。あんなにお茶ガバガバ飲んでたから、体が火照って絶対シャワー浴びてると思ったよ。そしたら案の定」
「ちょ、ちょっとまって!!ひょっとして、お茶に何か入れた?」
「おう。沙夜姫先輩から貰った媚薬をな」
「び、媚薬ですってぇ〜〜っ!?」
 小雪は素っ頓狂な声を上げる。
「いやぁ、まさかこんなに効くとは。今の小雪は多分、体が火照ってエッチがしたくてしたくて仕方のない状態のはずだ」
「バカ〜!!何でそんなもの入れるのよ!?」
「それはだな、お前に素直になって欲しいから」
「えっ!?」
「それにやっぱり、ある程度リアリティは追求しておかないとなぁ」
 俺は髪や水着から水を滴らせる小雪をジッと見つめた。


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