満月の浮かぶ温泉〜上田交通別所線別所温泉駅の巻〜

「こんにちわー」

 おっ、来たなシェラ。待ってたんだぞ。

「ゴメンなさい。ちょっと取材に時間がかかっちゃって。それで、ボクに何か用?」

 用があるから呼んだんだ。

「そ、そうだよね。それで、用って?」

 ほい。

「?」

 俺からのプレゼントだ。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 なんだよ。素っ頓狂な声出しやがって。

「だって!だって!!」

 まぁ、最近シェラにはたっくさん働いてもらったからな。そのご褒美だ。

 ゆっくり温泉にでもつかってこい。

「わーい♪……でも、本当にいいの?」

 ああ。もちろんだ。

「湖さんありがとう♪ボク、とっても嬉しいよ♪」

 喜んでもらえて何よりだ。

「お土産はちゃんと買ってくるから♪」

 ははは。期待しないで待ってるよ。

 それよりも、はしゃぎすぎて風邪ひくなよ?

「温泉に行って風邪ひくわけないじゃないか」

 いや、まぁ、湯ざめとかいろいろと……

「大丈夫だよ。ボク、子供じゃないんだから。湖さんは心配性だなぁ」

 ははは、そうだな。

 それじゃあ、ゆっくり楽しんでこい。

 (そして俺達も楽しませてくれよ)

「うん?何か言った?」

 ああ、いや、なんでもない。

「変な湖さん。それじゃあ行ってくるね♪」

 おう。気をつけてな。

「はーい♪」



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