彼のタートルネック彼女のアワビ   《後編》
     
        


斯くして花吹雪舞う四月、貰った名刺を印籠のように翳しノブヒコ初出勤をする。 場所は赤坂、意外に小奇麗な六階建の白いビル。 それは一見普通のオフィスビルだったが、しかし一階で商品管理を行い、二階は一般事務、三階は撮影スタッフの控え室、四階五階がスタジオ。 そして六階には名刺の主 《サテリコン企画オーナー イワタサブロウスケ》 が住み、ノブヒコ、ロココな応接室にて凄そうなお茶をシャチホコ張って啜るのであった。 そんな様を、満面の笑みを浮かべサブロウスケが眺める。

「いやいや、よく来てくれたね、あぁホントに夢のようだキミがココに来てくれるなんて」
「ハイッ!宜しくお願い致しますッ!」
「ハハ頼もしいね〜」

御機嫌なサブロウスケは数枚の書類をノブヒコの前に並べ、ボールペンと朱肉を差し出した。 一枚目の書類は雇用契約書。 二枚目は保障に関する書類とその規約、三枚目からははズラリと質問が並び、いわゆるAV男優として 「出来る事」 を書けと云うものだった。 そのカテゴリィは驚くほど細かい。 

「ス、スカトロだけで9種類ッ?」
「そうだよ、細かいニーズに応えなきゃ客は満足しないんだから・・何? キミ、スカトロOK?」
「ダメですッ!」
「ハハ残念残念」

サブロウスケが説明するに、AV界広しと言えど、ココはマニアの為のマニアな作品を創るこの業界ではかなり名の知れた製作会社らしい。 そしてその顧客には芸能人や大物政治家も密かに名を連ねていると言う。 

「ま、ボクらには拘りがあるからね、役者に本に納得しないと創らない。 だから 【仁義無きタートルマン】 にも企画から丸二年が掛かってしまったよ」
「仁義無き・・・・・なんですかソレ?」
「おいおい、キミの役柄じゃないか! 【仁義無きタートルマン】 キミはこれを演じ、そして世の男性のハートをガッチリと掴む。 イイかい? キミは彼らのココロの救世主となるんだ!!」
「救世主・・・・・・あ、はい、コレ、」

書き上げた書類一式に判を押し、ノブヒコはサブロウスケにそれを差し出した。 それにしてもタトールマン、正直、何だか駄目そうなタイトルだとノブヒコは思った。 しかし業界屈指(らしい)名プロデューサーがそう言っているのだ。 取り敢えずハァと頷くノブヒコを連れ、サブロウスケはビル内を案内して歩く。 エレベーターに乗り込みシュンと降りれば五階、スタジオエリアだった。 が、物音1つせず人の気配すらない。 

「静かだろぉ?」
「今日はァ、撮影ナシ日ですか?」
「いや、二件入ってる。 けど完全防音だからソレ、赤子も起きない静けさだよ」
「デスねェ〜ハァ、」
「まぁ大体のはロケなんだけど中にはね、チョッと余所じゃ出来ないのをココでやるんだよ。 派手に汚れるヤツとか集団でヤルヤツとか、あ、あと動物使うのとかはね、アハハ、ホテルに牛は連れ込めないだろう? 土佐犬が限界かな?」
「と、土佐犬・・・・・・」

瞬時に過ぎるのは土佐犬集団に囲まれ、金粉塗れでアヘアヘ悶える己の痴態。

「お、オレはあのッ、」
「ハハ大丈夫だよ、キミに獣姦はさせないッて、何しろそっちは専属が一人居るから、」
「専属ですか、」
「そう、大抵特殊なのにはソノ道のプロがいンのよ、あ、お疲れサマぁ〜〜!」

カチャリとすぐ傍のドアが開き、中からザワザワ出て来たのスタッフらしき数人とモデル張りの美男美女数人。 アッパーな彼等は濃紺のローブを羽織り、手を振るサブロウスケに気付くとダリアのように微笑むのだった。 恵比須顔のサブロウスケは彼らの前にそっとノブヒコを押し出し、

「あのね、カレ、今度契約したうちの新人」
「あ、あ、の、ノブヒコです、ヨロシクお願いします」

オタオタ頭を下げるノブヒコに、にこやかな超二枚目が握手の手を差し伸べる。

「よろしく。 ジャンルは違うけど、お互い良い物が創れると良いね!」
「ハ、ハイ、おオレ頑張ります!」
「アハハ、社長、カレ素直でいいですねェ!」
「だろう!アハハハハハ!!」

ハハハと爽やかな集団は立ち去り、ふと思ったノブヒコは、見送るサブロウスケに彼らのジャンルを尋ねた。

「ジャンル? あぁタカヒロ君達はスカトロレスリングのプロなんだよ。 うぅ〜ンや、彼等は凄いよ、黄金四十八手なンてなァもう芸術の域と言ってもイイね! キミも一遍見てみるかい?」
「やや、今はイイです、あの、いずれ、」
「いずれかァ、そうか、アハハハハ!」

アハハじゃないよと思ったが、あの二枚目の彼とソノ後ろに居た女豹のような彼女が黄褐色の何かに塗れホカケ舟・・・・や、ヤバイッ撤収ッ撤収ッ! 図らずもピクリと愚息が反応するのを感じ、慌てて自主規制するノブヒコであった。 

その後四階のスタジオでは今正に尿道切開アリの流血SM撮影が敢行されていると聞きノブヒコ鳥肌がたち、エレベーターホールで出会った二人、品の良い初老の紳士とその孫風が実は凄腕アナル調教師とその弟子で、優しげな顔立ちのその青年が500mlのペットボトルを飲み込む技の持ち主なのだと聞けば、世の中ワカラン事だらけナリと今すぐ湿った六畳に帰りたい気持ちを抑える。 そうして辿り付いた三階、スタッフ控え室 『入るよォ〜』 とサブロウスケが開け放つそのドアの向う、小洒落た喫茶店のような空間が広がり、名曲アルバムなBGM. そんな光差す窓際に佇む、一人の美女。 観葉植物の緑に頬青白く翳り、静かに読書をする横顔は谷間の白百合のように儚い。

「あれぇ? ユズノキさん、今日は撮影じゃないよねぇ?」

美女ユズノキはさっと席を立ち、近付くサブロウスケに丁寧な会釈をした。 そして見た目を裏切らない震える鈴のような声で、さっきまでここで打ち合わせがあったのだと言った。

「色々予定が変更になったのです。 ソノダ様のお爺様が倒れられたので今回アーサーが・・・・・・・」

途端にうるうると涙ぐむユズノキ。 まごつくノブヒコは 『あぁ〜美しい人ッてのは涙のナンテ似合う事よ』 とチョッピリ眼福を味わったが、世慣れたサブロウスケはポンポンと頭を撫ぜ優しくユズノキを慰める。

「まぁ残念だけどねぇ、アーサーはまた次の機会にね、会えるから、アアそれに代わりと言っちゃアレだけど、今回フレッドとニーノが来るじゃない? アーもしナンならキヨシも呼ぼうか? だから、ね?気を落とさずにね、ラブでピースなハッピィをクリエイトしていこうよ、ネ?」
「・・・ハイ・・・・わたくし、頑張ります・・・・」

クスンと鼻を啜り、ユズノキはまだ潤んだ目でノブヒコに目を遣る。 ドギマギときめくノブヒコは、ナンカ云わなきゃなんないとテンパリ、

「あのあの、アーサーさんと言うのは外国の方なんでしょうか?」
「えぇ、母親は国産ですが、父親は英国貴族の、」
「貴族!」
「はい・・・アーサーは、のちにエリザベス女王に謙譲されたルドルフホウレンシュタイン号を父に持つ名馬中の名馬なのです。」
「・・・馬・・・・」

そう、馬なのである。 

ちなみにフレッドとニーノは双子のドーベルマン、キヨシはメリノ種の羊。 楚々とした美女、ユズノキアヤカは獣姦専門のマニア女優なのであった。 

「ノブヒコ君、ユズノキ君の獣姦が何故、マニアらに破格の高い評価を受けてるかわかるかい?」
「エ・・・スッゴイ技がアルとか・・・・」
「ハハはソレも勿論だが、愛だよ・・・・愛・・・ユズノキ君の獣姦には獣達との愛が満ち満ちているんだ、ソレがね、こう色んなもんを越えて客の心にズキュンと響く・・・」
「愛・・・・」

呟くノブヒコに、ユズノキは深く頷いて微笑む。 愛・・・・けれど何に愛を注ぐべきかノブヒコにはまだわからなかった。 ていうかオレ、ナニ遣らされるんだろう? こうしてディープな渦に飲まれ、出勤一日目が終わり、帰り掛け渡されたスケジュール表には一週間後の今日、主演第一作の打ちあわせアリと記されていた。 物語はもう、走り始めていた。


けれども案ずるより生むは安し。 サブロウスケ自ら総指揮を執り、ノブヒコ主演第一作 【嵐を呼ぶタートルマン 〜落雷登場編〜】 の撮影が始まる。 

場所はと或る場末の酒場、外人娼婦たちが強屈な男たちにアンアン言わされている酒池肉林の巣窟へ、ギターを背にした流れ者《タートルネックのジョー》が現れる。 不遇な娼婦たちを助けんとジョーは悪のマッチョ軍団を薙倒し浣腸し、三角木馬に括り、ロータ責めで散々鳴かせた後、ゴメンなさぁ〜いもうしませぇンと素直なピンクレオタード団へと改心させる。 そして巨悪からの解放、感涙に咽ぶビッチな彼女らに 『オンナを喜ばすのがオトコだろ?』 と言い放ち、抜かず12連発(特撮)ハナビラ大回転オファック乱れ撃ちプレイに興ずるナイスガイ*ジョー。 目玉のジョーの勃起シーンにはドラムロールと共にムクムク立ち上がる右曲がりの巨砲がズームアップされ、ズルリと巣穴から顔を出す凶悪な蛇のような亀頭は特殊効果で七色に怪しく輝いた。

 そしてラストの決め台詞、

   ―― オレの坊やが顔を出すまで、股を濡らして待っていなッ! ――


夕日に向かって赤いオープンカーで走り去るジョーをカメラは追い続け、消失点となった地平線にエンドロールが被る。

「御疲れ様でしたァツ!!」

無事撮影終了のスタジオ、ノブヒコはスタッフらに胴上げされ、そして有り難う有り難うと泣いた。 

「ノブヒコくぅん、ボカぁ間違ってなかったよ、ボカぁ信じてたんだよッ!」

サブロウスケもノブヒコの肩を抱き、男泣きに泣いた。

特撮を駆使した作品はファンタジックにしてアクション・エロス・アドベンチャー。 初回制作数は予約だけでほぼ完売。 たちまちの再版にスタッフ一同感激。 やがて配送後間もなくして事務所にゾクゾクと届くのは

《ジョーに勇気を貰いました。 初めて、AVで泣きました。 46歳会社員》
《雁太ばかりがヒーローじゃないッ! 頑張れジョー! 是非続編を! 33歳自営業》
《私は自分の包茎を今こそ誇りに思います。 52歳 団体職員》

励ましのお便りと続編希望の声。 

「イケルよッ! もうね、イケイケでしょうッ?!」

大興奮のサブロウスケ、乗り乗りでプロデュースの第二段 【さすらいのタートルマン 疾風怒濤編】  第三段 【怒りのタートルマン 烈火暴発編】。 そして第四段 【荒野のタートルマン 白昼死闘編】 に於いてはT県ファザー牧場を二日間借り切り、ジョーことノブヒコは初の全編野外ロケによる真夏の青姦祭りを美女7人らと満喫。 出す毎出す毎ビデオはヒット、売上は常に上向きとあればノブヒコ前途洋々として今日もチンコを勃たす。

「順風万帆ですね。」

撮影合間の休憩、控え室でレモネードを飲むノブヒコに、久し振りに見るユズノキがにっこり声を掛けた。 淡いストライプの涼しげなワンピースを着て、避暑地の美女といったユズノキだが今日は、

「今日は仔豚の授乳プレイがあったんです。 あの子達せっかちだからチョッと乳首が痛くって・・・・」
「そ、そうですか・・・・」

胸元をカイロで温めるユズノキを眺め、あぁいっそボクがチュウチュウと・・・見知らぬ仔豚が憎くなるノブヒコであった。

「ツーかあの、ユズノキさんホントにいつも動物だけなんですか?」
「えぇ。 人は、苦手なんです。」
「・・・と、ソレって昔っから?」
「はい。 初恋はマキムラさん宅のファルシ−でした。 優雅で荒々しいアフガンハウンドで、ふふふ、初めての相手もカレなんです・・・・・」
「ァ・・・・はぁ、」

恥じらい目を伏せるユズノキは、激しくストライクゾーンだったが、優雅で荒々しいアフガンハウンドに勝てる自信がノブヒコには無かった。 言い換えればキュートでセクシィなラクダを前に、見事息子を勃たす自信も無いのだ。 越えられぬ壁を確信して、脳内マドンナ・ユズノキにアデューと別れを告げた。


そうして着々実績を上げ、すっかり事務所の看板男優になったノブヒコ、憧れの月収120万生活満喫中。 が、思わぬアクシデントが彼を襲う。 それは第七段 【タートルマンは眠らない 朦朧徘徊編】 撮影直後のスタジオ。 現場には古びた教会内部のセットが組まれ、巨乳魔女ペアーに囚われたジョーが催眠術で小学生に戻され、イニシエの女教師=魔女二人にねちっこく隠微なお仕置きを施されるという、《ヒーロー危機一髪》かつ《抜きドコロ満載》シーン撮影中の事であった。

 『オモラシは駄目よォう』 色々たわわな魔女1にディープスロートで息子を喰われ、『先生のオツユ、残しちゃ駄目ッ!』 悶える顔面に、マッパにミニタイトオンリィの魔女2がしゃがみ込むという嬉しいお仕置き中のノブヒコなのであったが、どうした事だろう、息子が寝たきりなのである。 魔女1は責任を感じ必死に舌技を尽くしたのだが、魔女2はアドリブで迫真のオナニィショウを超至近距離で演じたのだが、ソレでも息子は自分の殻に閉じ篭り、深く頭を垂れたままであった。

「どぉ〜したの?どぉしちゃったのノブヒコくぅん?」

心配そうに駆け寄るサブロウスケ。

「ゴメンなさぁい・・・あたし達ぃ魅力ナイですかぁ?」

上目遣い、申し訳なさそうにモジモジするFカップツインズ。

「ヤヤ、違うンです、あの、あの、ナンカいや勃たないンですよ、あぁ」

詰るところピンチである。

しどもど己の息子をニギニギするノブヒコだったが、焦れども焦れどもピクリともズキュンともせず、ついにその日、引篭もり息子は顔を出さずに撮影は中断される。 ワァ、ど〜しよう! 包茎でインポ、なんてミゼラブルなオレ! 

そんなノブヒコの力になろうと、マカ、ガラナ、すぽっぽん、ハブ、トナカイの角、ありとあらゆる生薬、そしてちょっとヤバ目の合法ドラッグの数々がスタッフ有志の手でノブヒコの元に集められた。 そしてサブロウスケはシチュ萌えに賭け 《破れパンストプレイ》 《海女と漁師プレイ》 《おむつ交換幼児プレイ》 などなどをハイテンションで展開。 それと平行して凄腕女優によるリハビリ本番をも精力的にセッティングしたのだが、本来ストライクゾーンど真ン中なそれらに対してもノブヒコの息子はやる気を見せず、依然皮に埋もれ沈黙を続けたままなのであった。

「・・・・社長、オレ、もう駄目駄目です。」

延ばしに延ばした撮影リミット、掛けッ淵のスタジオでストンと膝を突くノブヒコ。 けれどサブロウスケ、いつになくシャープな表情をし、今日は隠しダマがあるのだと言う。

「・・・隠しダマ? 何ですか、ソレ・・・・」
「フフフ、まァ任せなさい。 で、ささキミはこの衣装に着替えて、ネ、」

ポンと手渡され押し出され、何だかなァと云われるがまま、身に着けたのはツルッツルにラテンな白いシャツ、フレア〜なズボン、チャーリー浜も真っ青な7pヒールのエナメルシューズ、仕上げにメイクのカワハラさんが付けくれたのは鼻の下の「ハの字」髭。

「お似合いですよォ〜!」
「ていうか、ナニ? コレ・・・・」

サッパリわからぬノブヒコが再びスタジオに戻ると、ジャジャ〜ンとサブロウスケが仰々しくスタジオ入り口を示した。

「今日のお相手役を紹介しよう! カメガヤ スカーレット君だ!」
「?!」

バンと扉が開き、滑り出たのは深紅のドレスの燃えるような美貌。 結い上げた黒髪、跳ね上がった眉毛とキツイ瞳は狙った獲物を誘惑で絡め、白い頬は染み一つなく、薄い唇はキュッと閉じられていた。 お嬢様ッ! 正に高嶺の花、庭でパーティーを開きパパはブランデーグラスを真昼間からグルグル回す、ママは家ン中に宝石屋を呼ぶような、あぁ短い半生でまるで縁の無かったタイプ、跪きたい! 戒められたい! そんなお嬢様にすっかり魂鷲掴まれているノブヒコ。 でもでも今からボクはぁ〜この人とヤッちゃッてイイのかな、あぁもこうも・・・・ 夢見がちなノブヒコを見つめ、お嬢様はフフフと意味深に笑った。 

そしていよいよ撮影開始。 この日の為に書き直された脚本は悪の黒魔術結社に略奪された富豪令嬢をタートルマン=ジョーが奪還するというゴージャスかつロマンティックな内容。 薄暗い地下牢風のセット、快楽魔道師により淫乱魔法をかけられたお嬢様がジョーを誘惑するシーン。 濡れた瞳のお嬢様は乱れたドレスもしどけなく、もう待ち切れないとばかりにジョーの裸の胸に子猫のような舌を這わせた。 微妙でまどろっこしい愛撫にジョーもといノブヒコ大喜び。 

ハラショー! コンナお嬢様にコンナ事させてるオレッてば! 

けれどこのハッピィにも無関心な息子。

その愛想無い息子に、お嬢様の細いエッチな指先がシットリやわやわと絡む。 したらオレも〜! と、ジョーはお嬢様のドレスをモゾモゾ弄るが、ファスナーがココで紐みてぇのがココで、剥けども剥けども玉葱の如く次があり。 姿を見せぬ柔肌にキィッとなりそうな苛々。 だけどもドレスの中に触れるのは、シットリ滑らかに、吸い付くような玉の肌。 前がダメなら後ろォッ! ドカッと開いてる背中に攻め入るジョー。 細い項に吸い付けば

「ぁッ、あ、ァン・・・・」

予想以上の反応にカァ〜ッとなんかがメラメラする兆し。 

キィタキタキタキタッ! 

ピクンと身震い始めた息子、ゴワシと片手で扱き、バァサァッと捲り上げる薔薇のようなドレス、ぷりッと小振りのヒップが入れて入れてェと揺れる、そうか! イクか! 待ってろよッ! スワと引き寄せた柳腰、壁に手を付く立ちバックのお嬢様。

 ォオレの為に、お嬢様が壁に手を付いてあぁオレの為にッ! 

久方振りに陽の目を見る息子、まだ見ぬデルタにウズウズ指を走らせれば

「へ?」

ナイ? え? アル? 嘘ッ! 思わず衝撃にリキ入り、掌のブツがビクンと跳ねる。

「マジですカァッ?!」

握ったチンコの凄まじさ。 
デカイ、デカイ! デカイよ! オレよかすんげぇデカイッ!

「大丈夫ッ! カメガヤ君はそこらの女の子チャンより百倍イケてるから、ノブヒコ君もきっと新しい目覚めが始まるよッ! ファイトッ! 脱インポッ!」
「うふ、僕に任せて・・・・」
「ヒィイィ〜〜ッ!」


   ―― オレの坊やが顔を出すまで、股を濡らして待っていなッ! ――

濡らし濡らされ大格闘。 

ナゼに感じる野郎のカラダに? お嬢のテクにジョーはクラクラ、愚息感激ミタビの昇天。


「イィようッ、ノブヒコ君ッ! タートルマン復活ッ! ねェコレ、新境地開拓だよぅッ!!」

はしゃぐサブロウスケをやけに遠く感じ、真っ白に燃え尽きたノブヒコは ・・・あぁんコンナの始めて・・・・ 未だかつてないオレ頂点的セックスを脳みそ蕩ける限界まで満喫するのだった。 そして抱き締めた腕の中、グッタリしな垂れかかるスカーレットを心底愛しいと思う。 ハニィ、人生って素晴らしい。 ていうかオレッて鬼畜攻め?



そして月日は流れ、ゲイユーザーの為の新シリーズ 【必殺タートルマン オトコ殺しサウナ地獄】 始動。

「や〜以前からねェ、ゲイ会員の皆さんからソッチ向けタートルマンシリーズを創れ言われてたんだよねぇ〜アハハ、キミは見込んだ通りだよ、守備範囲の広さに感謝ッ!」

サテリコン企画の秘蔵っ子として、今日も未来へハッピィ邁進中のノブヒコ。 今や公私共にパートナーで実は小金持ちのスカーレットことカメガヤと、海の見える土地付き一戸建てに愛の巣を構える。 

だから、もしあの時、電波ナカヤマに圧し掛かられなかったら、もし気のイイ親父の店でトグロを巻かなかったら、もしもサブロウスケの誘いに乗らなかったら

「僕ら出逢ってなかったよねぇ、ノブちゃん、」

そうだよハニィ、キミの本名がカメガヤゲンゴロウだという事も、僕は生涯知る事は無かっただろう。 そんな幸せな二人の元、久しく音信不通だったあのユズノキから、一通の写真付き葉書が届く。 ミドリ目に染む草原、馬、牛、山羊、牛、そして沢山の犬達に囲まれて柔らかく微笑む、幾分日焼けしたユズノキの姿。 背後の立て看板には、濃緑に白抜きで 【ユズノキ動物王国】 の文字。 葉書には几帳面な文字で

  ―― わたくしも、夢を叶える事が出来ました。 こちらも愛に溢れてます。――


果たして人生は逆バンジ−。 



             キミよ、煌めく未来の為にジャァンプッ!!






Sunday, June 20, 2004


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      > ウンコチンコマンコインポ…とにかくお下劣なの  という御題により書く。