恋はいつだって朝露の如く消える運命にあったから。
                     うん、例えば朝顔の葉を滑る一滴の雫みたいに。 



                               *  1  *    



そもそも俺の初恋は割に早くて、そのお相手はネコヤナギ保育園のリサコちゃんだった。 微笑ましいボクらに親も先生も 「お似合いねぇ〜」 と相好を崩す公認ぶりだったけど、だったんだけど遠足に向かうバスの中、リサコちゃんは 「やっぱ、ケン君のお嫁さんになるから!」 とポッキーを齧る俺を振りました。 え〜嘘ぉ! ケン君はキリン組のワイルドな兄貴でジャングルジムの覇者で、ヤァ〜そんなン俺に勝ち目はないし、イキナリの失恋にもうショックでその日、俺はおやつも食べれないダメージ。 

てま、ココが始まりね。

二番目の恋は少し飛んで小三の夏休み、クラスのオキクライズミに告られて始まります。 ジャジャ〜ン! キュートなオキクラに好き好きビームを浴びせられ タハハ参ったなァ〜 と満座らでもない俺だったのですが、クリスマス直前の塾帰り 「あたし、クリスマスはカワデ君とこでパーティーなんだ!」 と唐突に元気良く振られちゃいました。 うわ突然!? カワデは地味で目立たないクラスの保護色のような奴でしたが、親はビルを三つ持ってるピカイチの金持ちだし、何よりカワデは、オキクラのバースデイに携帯をプレゼントしたッて云うからもう、そりゃ敵わねぇ! 齢九つにして俺は社会の仕組みを知りましたとさ! チャンチャン! 

で・・・・そっから先はと云えばまさに破竹の勢い。 三番目のショウコ先輩、四番目のナツメちゃん、5番目のヨシモト、6番目のワカナさん、


 「・・・・ど、どう云う事なのッ!?」

ハイッ!
そして今、真青な顔をして声を震わすのは十一番目のナナミちゃんでーす! 


アー相変わらず値の張りそうな服着て、ナンも役に立ちそうにない爪してカーワイィ! 俺はそんな君が好きだったよ。 お人形みたいに着飾るのが好きで、汚い事が嫌いで、いつでも自分を誉めてくれる誰かが居ないと死にそうになってしまう君の正直さが、ほんの二ヶ月とはいえ物凄く好きだったんだよ。 だから君がイシグロ先輩に乗り換えた時もアァ〜なるほどと思ったし、俺にサヨナラ言った時ひとつも寂しそうじゃないのに涙を流した君のあざとさだって、いっそ好ましいとすら思った。 だからまぁ、素直にサヨナラしても良かったんだけど、でもうん、2年前の俺ならそうして次のハッピィに進もうとか努力したけど、でも俺もそれなりに進化しちゃったんだよね。 

 「・・・ 嘘でしょ? ・・・・」

やーソレが嘘じゃないんだッてぇ。 

と暗に仄めかすように、俺は男の胸に背中を押し付け無言で俯くのです。 無意識に保護を求めるっていうかアハハ、作為丸出しなんだけどもまァいいじゃない? 見た目だよね、見た目確かに俺は罪悪感に胸が絞め付けられそうになりつつしかし、愛する男の誠意(プッ、笑っちゃう!)を試したい、 素直で純な恋する男 ッてのを演じてました。

なのにどうしましょう奥さん、この腰抜けはホントに使えないっていうかクズっていうか、いざとなるとアァ、きっと女捨てて逃げるなってのがモロわかる感じで俺の肩を抱こうともせず、かと云って目の前の女に弁明する言葉もなくただポカンと口を開けてガタガタ震えていたりするから遣ってらンないよ、もう。 

だからココは俺が勝手に先に進む。

 「・・・ごめん・・・ナナミちゃん、ごめんね・・・・」

意を決したように顔を上げ、謝りながらホロホロ泣くなんてのはどうよ? ンーやっぱ俺みたく男ッぽさの足りないタイプは潔くコッチのよろめき系で責めるのがグッチョイスなんだよねぇ、コレ、コレ見てよこの泣き顔! これ、仮にそこで石になってるバカが遣っても間抜けだよ、決まらないよ、それに引き換えどうよ? 俺って絵になるでしょう? 思わずホダサレルでしょう? ねぇ? 

ナナミちゃんが俺を見つめ、小さく息を飲んだ。 


 「瑞垣君・・・・・・だって・・・・」

え? だってなぁに? だってアタシとヤッたじゃないってヤツ?

ウンウン、ナルホドそのとおりです君とは二ヶ月で7回遣りました。 多いですか? 少ないですか? まァ妥当な線だと思うけど、俺はそれなりに良かったけど、だってそうでしょ? 好きな人とスルんだもの良いに決まってるでしょう? でもねェ〜俺の後にコレがクルって言うと、君はご不満だったんだろうな〜って物凄い直球で自覚しちゃうよねぇ、俺の後だよ、ッていうか殆んど重複せん勢いでコンナ熊と付き合うなんてさァ、しかも即ベッドインって噂だし、アハハ、うん噂だって! 噂だけど当たりナンじゃないかなァ、ビンゴ? 出所、君の親友だし。 ねぇねぇナナミちゃん、友達選ぶンならモチット口堅い方が良くな〜い? それと彼氏振るならやっぱキチンと終わりにしてから振るのがイイと思うなぁ、でないとこういう奇天烈な事態が起こらないとも限らないし、モト彼にィ〜今彼盗られちゃうなんてコト〜

さて、唖然としてるナナミちゃんに解かり易い説明をしてやろうね。

 「・・・ 最初は・・・・ただ、ナナミちゃんが好きになった男を見てみたかっただけだったんだ。」


そうそう! 冬場の張り込みは辛かった-・・・・コイツ意外に行動範囲広くってサァ、


 「どんなやつだろうって・・・どんな男をナナミちゃんは俺よりも好きになったんだろうって。」

は〜い、つまりこんなヤツでした! と、或る筋から入手したコンパ情報じゃ「流れ」と「押し」に弱いッちゅうことだったけど、いやもう最弱? まさか男相手にそれ通用するって言うか、アハハ君の彼氏、モラルの壁低すぎじゃないかなー?


 「・・・実際この目で見て、出来ればさり気なく一寸喋ったりして、そんであぁコレならしょうがないって思えたら俺、気持ちに区切りがつくと思ったんだ・・・・・。ホントにそれだけだったんだ、だけど・・・・」

けどつい ス・キ・に・なッ・ちゃい・ま・し・たッ! キャーってねー、わかったかなナナミちゃん? 察してくれちゃったかなナナミちゃ〜ん! 


うッと詰まるナナミちゃんは察してくれちゃった様子で、俺と後ろのバカを交互に見て

 「だッだからッてなんでそうなる訳? 二人ともホモの癖にあたしと付き合ってたッて云うのッ?!」

キャー反撃!


 「や、お、俺は違うッ!」

・・・・ッておまえはイキナリ保身かよ?

 「違うって何がよッ! コレは何なのよッ!」


だァよねぇ〜、てめぇのマンションに男連れ込んでソファーでベロチュウしてて、在ろう事かオサワリまでしちゃってた癖に、なのに、この場に及んでこのオトコってば馬ッ鹿だねぇ〜! で、コレ選んだ君も結構大馬鹿。 

あーあ、盛り上がる君達に悪いけど俺はこんな三竦み抜けるよ? てな訳で、


 「・・・・・ごめん・・・」

消えそうで、しかしちゃんと聞こえる小声で俺は呟く。 そしてキュッと後ろの馬鹿の腕を一瞬きつく握り、

 「・・ もう係わらないから・・・・・」

縋るような目でホロリ。 

そして次の瞬間スルリと身を離し、立ち上がり、すべるように、鮮やかに今宵のジョーカーは退場。 


んじゃっ! 後は御自由に! バイバ〜イ!!

          **



 「・・・・・・ で、おまえは楽しいのか?」

 「えー、楽しいって言うか、使命って言うか、意地とケジメの中心でバカヤロウを叫ぶって言うか〜」

静かな沼みたいな目を避けて、俺は、横を向いて薄く笑う。 

 「・・・ 俊、」

 「アー、やっぱさ、当て馬オトコにも意地があるじゃナイ?」

ヒラヒラ振ってみせる俺の手の平は、やけに白く見えた。 

それ即ち人生の分かれ目。 
道を違えた俺らの今そのもの。


 「ふん、厭味なくらいの真ッ黒ケ」

 「なに?」

 「ウゥン、日に焼けた精悍なアナタって素敵ッと思っただけ。 まさにスポーツマンの鏡!」

 「・・・ま、俺は海だの山だので焼けたいんだが・・・て、ソラ、おまえが白すぎなんじゃ! おい、この夏おまえ、どこも行かんかったか? 」


ハッシと掴まれた腕は情けないほどの白さで、細さで、掴むその腕は腹立たしいほど逞しくて、褐色で、あぁなんだろうな、改めてみる違い、違う、あの頃とは全ッ然違う。 あの頃俺らは確かに同じ場所で同じ空気を吸い同じように汗を掻き、そう、あの頃の俺は決して白くは無かった。 白いどころか真ッ黒に近い、青春ド根性にありがちな、エセ爽やかな、折り目正しい野球小僧の一人だった。 そう。 コイツの後ろで、コイツの背中を見つめ、コイツを羨み、憧れ、そして憎む、一人のギラギラしたガキだった。


 「俺は〜、こう見えてインドアな私立文系なんですよ」

 「文系なのは知っとるよ」

 「あらま、秀吾クンてば野球以外で知ってる事があったなんて! で〜、今や美白命のカワイコチャンズは日焼けするデートなんか端からお断りなんザマスよ。 ねぇ〜お台場にスッゴイ美味しいスウィーツのお店があるって聞いたんだけど瑞垣君連れてってぇ〜ッていうか極上スウィーツなのはキミさッ! きゃぁん嘘ぉッ!」

 「ハイハイもうえぇよ・・・・んでな、さっきの続きじゃけど、意地・・・ なぁお前のそれはホントに意地だけなんじゃろうか?」

 「ン〜〜それ蒸し返すのかよ〜〜しつこい人キラァイ・・・・ ホントは趣味の領域?」

そう。 もはや趣味かもなと最近思う。


 「趣味? よぉわからん・・・・そんなんで、いっぺんは好きンなったやつなんじゃろ? そういう相手にそういうんはあんまりできんことやと思うぞ? それにおまえ、別に男が好きいうわけでもないんじゃろうし、俺は、俺にはわからん・・」

 「でしょー? ワカランでしょう? わからんわからん、恋愛素人の秀吾君には未知なる不思議が一杯ッ! さてヨロシイか? 愛と憎しみは表裏一体、漱石先生曰く愛とは煉獄に似ているのですよ、煉獄! 練乳違いますよ? あれは甘くてとろけるイチゴちゃんの恋人なのです! ね? さぁ〜一つ賢くなりましたか? 存分感謝なさい、ササ遠慮せずに秀吾君、手始めにこの伝票をホレ、キュッと握ってキュッと、」

 「・・・俊、日増しに性質悪くなってる気がするんじゃが・・・・」


へ〜そうですかサイですか? もうイイよ、ほっといてよ、でも見たい、でも見たくない、コイツがコンナ顔してどんなふうに俺を軽蔑するのかしないのかどうか、見放すスレスレの同情とか哀れみとか落胆とか怒りだとか、もはや腐れ縁とも言い切れないヘンテコリンなしがらみでコイツが俺なんかに縛られるところをスッゴク見たい、見たくない、でもほっといて、でも俺は、

 「キャーウレシィツ! アタクシの弛まない努力に裏づけされた日々是勉強也のバージョンUPを秀吾クンてば大っぴらに正々堂々ガツンと認めてくださるのかしらッ?!」

 「・・・・・・・・」


でもだから、俺はこうしてはしゃぎ、クルクル墜落し、懲りもせず飽きもせず執拗に好奇心一杯の三歳児の如く、己の恥部をどうしたのこうしたあぁしたの一々細かく、その都度御苦労にもわざわざコイツに報告して、その反応をビクビク確認するのだった。 

そしてその行為が意味する事といえばそう、片時も忘れた事のない、忘れる事すら許されなかったあの白茶けて熱い砂埃立つマウンドに於いて、今や何一つ必要とされない自分への怒り、失望、そこにはもう存在し得ないという恐怖、無意味と云う名の底無しの虚無。 元を正せば野球を離れて感じた事象の全ては散り散りに不可解な靄をつくり、離れねばならないという必然を感じたあの頃のどうしようもない切迫した様々な理由に未だこうして絡め取られて悪足掻きするケッタクソの悪い自虐大好きな俺、


   けどコイツにそれは関係ない。 


俺の中ではオオアリだけど、コイツにとっては何一つ関係のない他人の頭の中の鼻糞みたいな理由。 


で、少し本音の言い訳。

 「・・・だって、選ばれるのって嬉しいじゃない? 付き合ってください! とか 好きです! とか、イヤ〜もう直球でその時は求められちゃってるわけだし、例えばそれがカスみたいな理由にせよ一番っていうのはイイよねぇ、うん。 なのにそんな風にイイ気持ちにさせといて やっぱヤメタ ッてイキナリ突き落とすのは如何なモノかと俺は思うんですけど〜 酷い酷いアタシの心を弄んで嘘ぉッ、キィ〜ッ! 許せないッ! とか? 天誅ッ! とか?」

 「おまえがそう思うならソレは、ソレでかまわんよ・・・・・じゃが俊二、おまえは、おまえの一番てのは本当にその相手だったか? よぉわからんが、おまえは、ホントの恋愛をしとらんような気がする。」

 「ホントの恋愛! やーん秀吾君から恋愛談義して貰えるなんてアタシ感激ィッ!」

 「茶化すなて、そんなじゃない。 俺はただ、俺はそんな風に無茶をするおまえは見てるんがつらいんじゃ・・・・ なんていうか、つまりな、大事な親友やしな・・・」

つらい?! ツ ・ ラ ・ イッ?! 

そしてアラヤダこのワタクシメが、ワタクシメがアナタ様の大事な親友なんですかッ!?


 おまえに言われたかねぇよ


二本目の煙草を真ん中から折る。


ねぇ神様、神様、渇望しても手に入らなかったその言葉を、こうして最も言われたくなかった奴から言われる僕の不幸を、神様は見てらっしゃいますか?

 「別につらいって言うか、人生山アリ谷アリッていうか、願わくば糾える禍福の如く楽は苦の種苦は楽の種、やがてフォ〜ミィ〜してくれるだろう新しい恋に向かい僕はこうして日夜努力を怠らないのでありますよ! レッツ、ポジティブシンキングッ! イェ〜〜イッ!」

 「・・・あぁ、もうえぇよ」

と、ソッポ向きますか? まだ向きませんか? とりあえず温いコーヒー飲みますか? ッてアハハさっき俺飲んじゃったもんアンタのもう残ってないよアハハごめ〜ん! で、水飲むのね、怒らないのね? 怒らないでしょうがないな〜って余裕カマスわけね? わ〜オヤサシイ秀吾君! それに引き換え俺ってばもうサァイテェ〜イッ!!

先を急ぐように次々煙草を点すのは後ろめたい焦燥を隠しているからに他ならず・・・・ 

長く吐き出したタバコの煙が霞の様に都合良く、今見たくない目の前の、真面目な男の顔に紗をかけた。 
僅かに潜められた眉。 


わかるよ、人の吸う煙草は不思議と煙いし嫌なもんなんだよ。 そんで煙草以上に悪い俺の素行に、この人はイヤァな気持ちになっているんだよ、そしてそんなヤな気持ちになる自分を後ろめたく感じて、でもどうして良いかわからず、認識不能のフリーズ寸前なんだよ、わ〜い御愁傷様。 でも非難したりはしない。 あからさまに責めたりしない。 コイツはしない。 しないよな? けど、しない癖に物凄い直球で俺を糾弾するんです。 コンナふうに、目の前にただ居るだけなんて卑怯な手を使って、コイツは。

 「怒っちゃイヤ!」

 「・・・怒っとらんよ」

けど目は笑わないよね。 


キッチリ作りこまれた身体は 『悪いもの』 なんか一つも入っていないからイヤミなほどきっちりしているんだろうと思うし、アーやっぱソレって視覚に訴える糾弾? イヤミなほど見た目同様キッチリ。 なのに、なのにそれに引き換えどうでしょう? 酒、煙草、カラオケ、夜遊び、異性交遊(不純じゃアリマセンよッ!)、これまでだって俺はそこそこコソコソしてましたが、改めて外れた箍はやっぱ箍だったのねとあの時確かに俺は 「決壊! 決壊ッ!」 と叫ぶ心の声を聞いたのです。 そして転がる小石のように転げて転げて転げて えぇどうぞご自由に の、この六年。 六年たら奥さん、オタクの坊ちゃんが可愛い幼稚園児からババァ死ねとか言いやがる生意気小3に至るミゼラブルヒストリイと同じ! 侮り難し六年! そして無情な六年でイヤ〜ン俺ってばこのありさま。 

なるほど、人が墜落するのは容易い。 

そして転げ落ちた下のほうで見上げるアナタは何て眩しいんでしょう! 

けどコイツは、そんな俺を見捨てないココロ優しいヒーロー。

でも知ってるよ、ヒーローは俺一人のものじゃァない。


 「秀吾クンさァ、思うんですけどもう俺にそうそう付き合わなくっても構わないから、」

エッて顔してヤだね、コッチまでチョッと胸の奥がズキンとしましたが、でも、そんなアナタは眩しいです。 眩しいけど後ろめたくて憎いよ。 もう憎い、いっそ殺しちゃいたいほどアンタは憎たらしいです。 ねェわかりますか? 俺はアンタに今殺意ターボです。

 「ナーンセそうよ、キミは来年の今頃、日本のプロ野球を背負う期待のヒ〜ロ〜だもの。 毎日、練習とかナントカ、汗・涙・青春! ハードでしょう? ならさ、たまの休みはダラダラしたいんじゃねぇの? なのに休みのたんびに俺とってのはさァ、ていうかこうしょっちゅう俺とつるんでばかりだと ―― オイオイあの野郎チョッとばかり注目されてると思って付き合い悪いっていうか何ていうか、俺らなんかとは話合わねぇからALL圏外とか思ってるんじゃないの? ムカツクッ! よォし、グローブん中にカミソリ入れちゃうの決定ッ! ―― とか何とか悲しい事件の原因にもなりかねないし、アハハ、ハブにされちゃってたりしてぇ〜とかチョッピリ俺も心配なんだよねぇ〜、それにソッチの面子でつるんでどうこうってのもたまにはアリだろうし、もういい加減、幼馴染離れした方がイインじゃないかな〜って思うわけよ、」


―― だから、昔馴染みの義理ならもう終わりにしてね・・・・


ッて、言った方がわかりやすいかと思ったけど俺は言いません、そんなマゾなこと口裂けても言いません、言いませんから、口裂けても言わないから、


 「・・・俊は、俺と会うのが嫌か?」

だから、

だから俺に、ソレを、そんな風に、どうか聞き返さないで下さい。 これ以上キミに引き摺られたくないから。 これ以上キミを恨みたくないから。


 「ん〜〜やっぱカワイコチャンと会うのが好きッ! でも門脇君と会うのもチョッと好きッ!」

 「阿呆・・・・」



                  でもヤメらんないのは何故かしら?
  
                  コレすなわち当て馬男の意地ッ?






                                                       NP 2へつづく