課題 B 痛いBL
『放課後の嘘吐き』
− 承 −
―― ここでは、キミ達の自主性を重んじるからね・・・
転入当日、生徒手帳を手渡す若い担任は、校則が殆ど無い理由を、そう説明した。
校則の無い分、生徒らで選出する生徒会の統率力は強い。
担任が誇らしげなに語るように、確かに、ソコは規律正しく、高校生男子としては
些か穏やか過ぎるような日常が存在した。
東寮の二人部屋、ちょっとしたビジネスホテルのような余分も不足も無い部屋で
俺は寝起きし、意外なほどメニュウ豊富な食事にも満足していた。
窓際に飾ったクロッカス、ミチタカの形見になった鉢植えも、陽射しを浴び緑を濃く長く葉を伸ばす。
けれど、入寮一週間たっても同室者は姿を見せなかった。
そして、学園の異風にも、間も無く気付く。
『あの人の事は・・・あんまり、言わない方がいい・・・』
みんな、ソレに怯えていた。
ミヤダイという名は、絶対であったから。
絶対的信頼を寄せるべく生徒会が、その一方で、ミヤダイという男に象徴される
絶対的な恐怖でもある事に、俺は間も無く気が付いた。
全寮制という、いわば一つの社会、そこは、生徒会長ミヤダイ率いる閉鎖された帝国であった。
そして、一見平和な独裁帝国の裏には、必ず、搾取される弱い者が存在する。
顔を見せない同室者の噂は、不思議と皆無に近く語られず。
欠席中だという教師の説明も、肝心な所曖昧で、もうすぐ戻ってくるから・・・という
歯切れの悪い返事。クラスの連中に訪ねても、含みの有る『わからない』。
その反応は、ミヤダイの存在を問うた時と、少し似ていた。
そんな、訳ありな同室者の私物は部屋にそのまま放置され、
その様子を見る限り、予定して欠席した風ではない。
先ほどまでそこに居たかのような、椅子の背にかけられた濃紺のカーディガン、
伏せられた数学の参考書、閉じたノートの表紙に整った細い筆跡で『香月蛍』、
薄っすら埃を被ったそれは、有に数週間、持ち主がここに戻っていないことを物語る。
そして、入寮13日目、思わぬカタチ、最悪のカタチで、俺達の初顔合わせはなされた。
美術の課題中、脚立ごとよろけた友人を支え、筆洗いの水を被った俺は、
取り敢えず着替えの許可を得て、寮の自室へと戻った。
平日日中の寮は静まりかえり、主不在のドアの行列は整然としている分、薄気味悪い。
その静寂を破り、争う声がした。肉を叩く、鈍い音。
『言ってみろよ、何でも手に入るその口で、吐き出してみろよ、みんな大好きです?
馬鹿言うな、コレでもまだソレを言うのか?憎んでんだろ?殺したいか?どうなんだよ!』
『・・・ち、ちが・ぁッ・・・』
『謝って、俺を責めるのかよ?!』
『ぃ・・いやぁぁッ・・ん・・』
蝶の標本・・・・縫い止められた手足は、最後の羽ばたきのように虚しく揺れた。
圧し掛かる男は額にかかる髪を乱し、剥き出された白い喉元に唇を落とす。
食い破るようなくちづけ。欲情とは無縁の目、憐れだと思ったのは、どちらになんだろう?
俺は、自分の部屋の光景に、立ち尽くし、言葉を失っていた。
やがて、捲り上げられたシャツの下、覗く薄べったい腹部に点々と散る朱の印、
それに混じる青黒い打撲傷、思わず息を飲み、ソレが行為を中断させた。
冷ややかで偽悪的な表情に先刻の、不可思議な悲哀は微塵も無い。
低く、しかし良く通る声。
『・・・誰だ?・・見ない顔だが・・・』
『・・誰だって言われても、ここ、俺の部屋ですよ・・・ノセシロカネト、2年B
・・・今度からそういうの、他所でやってくれませんか?』
『ノセ・・シロ・・?・・』
方眉を器用に釣り上げ、一瞬の怪訝の表情のあと、さもありなんと言う薄ら笑いの男は、
組み敷いて縫い止めた身体を放り出すように解放し、身を起こすと俺に近付き右手を差し出す。
まるで、俺を許してやるとでもいうような横柄さ。
『ふん・・お前が転校生ね、なぁ、蛍、頼りになる王子様が来たよ。
俺はミダイクニヒロ・・・覚えておくといい・・・ここで、俺に逆らうな。』
釣られて差出した俺の手を嫌なタイミングで払い除け、
拍子抜けするほどの悪びれなさで男は部屋を後にした。
残されたのは、身づくろいする蛍という男と、俺と、気まずい静寂。
『・・・ごめん・・・』
至極当たり前すぎて、寧ろ不自然な謝罪を口にしたのは、
噛み締めたような赤味の差す口唇だった。
血の気の無い薄い皮膚に、蒼白い翳り。
息を吸い込み緩く上下する肩の線は、心許無く細く、
決意を孕み不意に凝視する瞳は、硝子球の琥珀色。
少女じみた顔立ちに浮かぶ、奇妙な老成と諦観が、
香月蛍という存在を危うい緊張で包む。
目の前に佇む姿は酷く遠く。
それ故、引き摺り寄せたいジレンマをも湧き上がらせるのだった。
俺達は出逢ってしまった。
* * ポイント
どぉ〜〜だい、セニョリィタッッ!! ワケアリ臭がコレデモカッだぜッ!!
てかま、先の事はノォプロブレム。
あはは、締まる一方の作者の首なんて、クソくらえだヨォン!! あははは(遠い目)
まず生徒会!治外法権、理不尽の温床、役立たずの教師陣。
お前、ナニモンなの? な、イカレタ生徒(ライバル)をココで出して今後の動脈を作るべし!。
して、時に動脈が切れて、志半ばの死(や〜めた!)てのも大有りだけどイイじゃん
・・・だって、人間だもの・・みつを・・・
そんで、寮だろ?
おい、24時間サカリのついた小僧どもと、それに期待する煽ら〜の腐女子には
天国みてぇなシチュじゃねぇかっ!!
ガッチリ活用すべし!!
して、同室者が美人だったりイケメンだったり、
大金持ちだったり、薄倖な奨学生だったり、血ィ吐いたりする綺麗系不治の病だったり、
強烈な巨根、もしくは名器だったりすんのはアタリ前田のクラッカ〜。
言って置く!! 間違っても同じタイプをココに詰め込むなっ!!
読者は、受け二人の女子高的キャピ生活を見たい訳じゃない!!
そして、攻め二人の、金持ち自慢及び、俺様チンコ話大会を
拝聴したい訳ではないのだッ!!
そぉ言うコト期待する奴は、BL界から出てけッッ!!
(で、ウチとかにクルと読めるよ!うふっ!)
今回、傷心の攻めヲ君が、ワケアリ同室美人受けタ君に御対面して、
既にチョッピリ魂抜かれかけて終る。
ワケアリ三昧でつまんないだろうから、チョッピリ屁みたいな濡れ場を入れるのが
サーヴィスというもんだ、(基本給プラス時給50円UP).
ま、次回、美形悪役生徒会長にヒト暴れしてもらって、丸く収める大技が期待される。
大技 = 都合良くはしょる
押忍!! 次!!
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