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(2)

口づけを交わしながら、クレオはゆっくりとミシェルに覆い被さる。
ミシェルは今度は遮ることなく、クレオの背中に手を回した。

二人の肌が全身で触れ合う。

クレオの重さと体温を感じると、こうして肌を合わせるということは、なんて心地よいのだろう。と、ミシェルは感じていた。
そんなことを考えていると、やがてミシェルの足の間にクレオの足が割り込んできた。
先ほどから太腿に当っていた堅いものが、今度は下腹の繁みの中に当たり、ごそごそと蠢く。
初めて体験する感触にミシェルは動揺した。
「ク、クレオ……」
「大丈夫だ。いきなり挿れねぇよ」
クレオはそのままミシェルの繁みの中に肉茎を押し付けながら、少しづつ身体をずらし、やがてミシェルの花弁へと滑り込ませた。
「い……いきなり、しないと言ったじゃないか……」
「だから、すぐにはヤラねぇてば」
クレオは暫く肉茎をミシェルの花弁に宛て行いながら、その感触を愉しんでいた。
やがて、それはミシェルの敏感な花芯に擦りつけられる。その刺激にミシェルは思わず小さく押さえ気味に声を漏らす。
「……ん」
「そんな、遠慮することはねぇだろ?感じているなら、もっとちゃんと教えてくれよ……」
クレオは益々激しく動いてミシェルの花芯を刺激する。
「あっ……ん……」
ミシェルの花弁の中が変化して行く。少しづつ蜜が溢れてくる様を、クレオの敏感な肉茎の先端が感じ取る。
「なかなか、イイ感じになってきたじゃねぇか……」
グレオはゆっくりと身体を起こし、一旦ミシェルから身体を離すと、両手でミシェルの膝を割った。

ミシェルの繁みの中の濡れた花弁が、クレオの目の前で露になる。

「……たまんねぇ」
クレオはごくりと唾を飲み込こむと、ミシェルの膝の間に身体を沈め、肉茎の先端を花弁の中に宛がった。

いよいよ来るのか?

ミシェルは獣のように息を荒げ始めたクレオとその行為に怯え、身を固くして目を閉じる。
自分の中に少しづつ押し入ってくるものを感じながら。

だがそれは、何度か強く押し当てられたものの、それ以上入って来ることなく、ミシェルの中から離された。

「ミシェル……お前……」

クレオが息を弾ませながら、身体を起こす。ミシェルはその様子が気になり、薄っすらと目を開けた。
「……クレオ?」
「すまねぇ。……ちょっと、焦りすぎたようだな」
苦笑を浮かべながら、クレオはミシェルの金色の髪を撫でながら囁く。
「もう少し、柔らかくしねぇとな」
「な、何を?」

「わかってんだろ?お前の………だよ」

耳元で熱く囁かれた言葉に、ミシェルの全身の力が抜ける。
クレオの無骨な指がミシェルの花弁に滑り込み、指先で花芯をと蜜壷の中を弄ぶ。
「あっ……ん」
執拗に繰り返されるその行為。次第にその部分が熱く、蕩けそうになる感覚にミシェルは酔う。
「ん……ふっあぁん」
ミシェルは無意識にクレオの指の動きに合わせながら、声を出して身を捩る。蜜壷からはどんどん蜜が溢れ出し、やがてクレオの指が動くたびに、ぴちゃぴちゃと水音を立て始めた。
「そろそろ、イケそうだな」
そう言ってクレオはミシェルの蜜壷の中から指を引き抜くと、蜜で濡れそぼって光る指をぺろりと舐めた。
クレオの両手がミシェルの膝を割る。再び露になったミシェルの花弁の中の蜜壷。

「いくぞ」
クレオはミシェルの蜜壷目掛けて、肉茎を一気に突きたてた。
「あうっ!」
再び押し込まれたものに、ミシェルは鈍い痛みを感じ、クレオの背中に回した手に思わず力が入る。
「……おい……力抜けよ」
「ん……」
クレオに応えようと、ミシェルは背中に回した手を解いた。
「そのまま……下のほうも……な」

じわじわと、ミシェルの中の肉壁が押し広げられる。鈍い痛みの中での奇妙な感触。

やがで、クレオが大きく息をつき、嬉しそうに呟く。
「ああっ……ミシェル。お前……スゲぇよ」
何度もミシェルの唇に、首筋に、乳房に、くちづけ絡みながら、クレオは互いの身体を横にする。
ミシェルは自分の中の奇妙な感触と、愛撫されることの心地よさに、苦痛とも快楽とも取れる表情をクレオに見せる。
「やっぱり痛いのか?」
「……少し。でも、かまわない……続けて……くれ」
「いいのか?……じゃあ遠慮なく……」
クレオはミシェルの背中に手を回し、強く抱きしめた。
「ああっ……クレオ!」
再び全身で感じたクレオの体温に感極まり、仰け反りながらミシェルは思わず叫ぶ。
「どうした?やっぱり止めて欲しいのか?」
「違うんだ……もうひとつ。もうひとつだけ頼みが……」
「今度はなんだよ?」
ミシェルはいつもとは違う高めの掠れ声で懇願する。

「今だけ、私の…真実の名を……ラシーヌと…お願……い」

「……いやだね。こんなときに、他の女の名前なんか呼べるかよ」

クレオは不敵な笑みを浮かべながら、意地悪く答えた。
「今、俺が抱いているのは、ウジウジと自分の殻に閉じこもっていた、その女じゃねぇ……」
そして、真摯な瞳で見つめながら、背中に回した手を腰へと滑らせると、がっしりと身体を密着させ拘束する。

「親父と兄貴の遺志を継ぎ、貴族でありながら人民のために尽くし、人民の期待を一身に背負った希望の星。……ミシェル=ヴォルバンという女だ」

そう言うと、激しくミシェルの唇を吸い、舌を絡ませながら、再び覆い被さる。
「もう、ガマンできねぇ……イカせて貰うぜ。ミシェル」
クレオはミシェルの両膝の裏を抱え、ミシェルの蜜壷をより深く激しく突く。
動かれるたびに増してゆく自分の中の痛み。ミシェルは目を堅く閉じながら、唇を噛んだ。
「ミシェル……すまねぇ…もう少しだけ……ガマンして…くれ……頼む」
苦痛に耐えるミシェルに、クレオはすまなさそうに囁き、指を絡ませミシェルの手を握る。
ミシェルは無言で頷き、クレオの手を握り返す。
クレオに上手く応えることが出来ない……。そう思うと、ミシェルの瞳からまた涙が流れた。
その刹那、クレオが思わず叫びだした。

「もう……だめだ、ミシェル。本当にスゲぇよ……お前の中……ああっ!ミシェル!ミシェル!」

クレオはたまらずミシェルの中に熱い精を吐き出した。いとおしそうにミシェルの名を繰り返しながら。
ミシェルは自分の中のクレオがびくびくと蠢くのを感じながら、恍惚に満ちたクレオの顔をぼんやりと見つめた。



大きく肩を揺らし、ミシェルに覆い被さったままだったクレオは、ゆっくりと身を起こし、ミシェルの中に挿ったままだった、萎えた肉茎を引き抜いた。ミシェルの花弁に生暖かいものが、どろりと伝う。

「……やっぱり、スゲぇことになってんな」

クレオにそう言われたミシェルが身を起こして見たものは、白いシーツで覆われたベットマットの上と自分の太腿に伝う混ざり合った体液。その廻りには赤い薔薇の花びらのような血の印。
情事の跡の生々しさに途惑い、ミシェルはクレオに背を向けて横たわる。
「すまねぇ。つい乱暴にしちまって。俺、生娘を抱くのは初めてなもんでな……要領を得なくってよ」
ミシェルは、はっと振り向き、クレオの濃紺の瞳を覗き込む。
「……でも……私は……」
再びミシェルの唇がクレオの指で塞がれる。
「だから何も言うなって。判っただろ?お前が俺だけのものだと……」
クレオの言葉のひとつひとつが心に響く。ミシェルはまた泣き出しそうになり、再びクレオに背を向けた。
クレオはそのままミシェルを背中から抱きしめると、掌を合わせて指を絡めた。

「ミシェル……お前があんまり良すぎるから、つい夢中になっちまったぜ」

どうして、こんな言葉が嬉しいのだろう。なぜ、この瞬間がこの上もなく幸福だと思うのだろう。

ミシェルは、そう感じると、絡めた手を唇に引き寄せ、クレオの指にそっと接吻した。
クレオがそれに応えるように、ミシェルの背中の刻印に唇を這わせながらそっと呟き、もう一方の掌で乳房を包む。

「いつか……もうすぐ、解き放ってやるぜ……この重い……」

そのクレオの呟きをミシェルはよく聞き取ることが出来なかった。
だか、それを聞き返すことなく、背中にかかるクレオの熱い吐息を感じながら、新たなまぐわいの波に身を任せていった。

─fin─


あとがき

クレオとミシェルの第一夜。
小説版ではミシェルは「ラシーヌ」に戻ってクレオとの「たった一夜」を過ごしたようで、それはそれで、物語的にロマンクテッィクで素敵だと思います。
ですが、私はクレオが「ラシーヌ」のだけ部分ではなく、「ラシーヌ」の部分も含める現在の「ミシェル」という人物そのものを欲しいと思っていて、抱いたのだと思っています。
あと、一度寝ただけでは、あの最後の「手の触れ合う」場面の濃密さ(?)はありえないだろう。と、私は勝手に思い込んでおりますので、これ以降の二人の「夜」を続けさせていただきます。

ちなみに、私の中のクレオは女慣れしていません。と、いうわけで、こんなクレオになってしまいました。
ちょっとミシェルがかわいそうだったかな?次回ではちゃんとフォローします……できるかな?


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