novelsトップへ love is blind ? - 2へ

love is blind ? - 1 …………


 ざわめいた街。真夜中になっても消えないネオン。冷め切ることのない、アスファルトから立ち上る熱気と目的など持たず、たむろしている人の群。乾いた笑い声と、冷めた眼差し。
 何もかもが空虚で刹那的で、その全てが俺を安心させ、同時に責め立てる。
 薄汚れたアスファルト。吐き捨てられた幾つもの痰。転がっている空き缶の山。煙草の吸い殻。
 薄汚れた街の中で、そこだけが澄み切っている。まるで、間違い探しの絵のように、ビルの谷間に浮かんでいる銀色の月のように、彼はただ、そこに存在していた。それは途方もない違和感。薄汚れた、どこか荒んだ空気の漂うその中で彼の周りだけが清浄な空気を保っているかのようだった。
 どこか重たい生ぬるい風が吹き抜けると、彼の黒い髪の毛と白いシャツがふわりと揺れる。それは、確かに不快な淀んだ空気の流れであるはずなのに、彼の周りだけ涼しくて澄んだ空気が流れているようだった。
 彼はただ、そこにいるだけ、だった。何をするではない。ただ、ガードレールに腰掛け、道行く人を眺めている。特に仲間や知り合いがいる様子も見えない。一人きりで、ただ街の中の人を観察しているだけだ。
 もっとも、俺達も特に目的があって集まっていたわけではないし、やることと言っても、お酒を飲んだり、煙草を吸ったり、どうでも良いことを仲間と話したり、酔っぱらいを冷やかしたり、お金があるときは合法のクスリをやったり、その程度だった。
 けれども共通して言えるのは、誰も彼も一人きりで時間を持て余すのが好きではないからここへ来る。だから、何となく名前は知らなくとも顔見知りの人間と連んで無意味に時間を潰しているのだ。
 けれども彼は違った。誰かと一緒にいるのを見たことがない。時々、女の子や男や、時には中年くらいの男性に声をかけられてることはあっても、決してなびいたり後をついて行ったりはしない。いつも同じ所にいてただ人を見ているだけで、その近くにいつも集まっている俺たちは何となく彼のことを覚えてしまった。
 もしかしたら、同じ教室にいて彼がクラスメイトだったなら、さして気にも留めなかったのかもしれない。けれども、その淀んだ空気の中で明らかに浮いている、その清潔な空気が酷く目立ったのだ。
 金が欲しくてウリでもやってるのかと仲間内で噂になったこともあった。女の子に言わせると、そういう雰囲気が彼にはあるらしく、そう言われればそんな気もした。確かに彼は整った顔をしていて、どちらかというと中性的な顔をしているし、体もまだ未成熟で華奢な感じがするから、もし本当にそうならば、そこそこ稼げそうな感じがする。けれども、どちらかといえば地味な印象で、顔が整っているのも注意して見たならようやく気がつく、という感じだ。それなのに人の目を引いてしまうというのは、やはり彼の雰囲気というか、纏っているイメージのせいなのだろう。
 いつの間にか、彼は俺達の仲間内ではすっかり時の人になってしまい、中には面白がってみんなで賭をして彼を落とそうとした女の子もいた。けれども彼はけっしてどの子にもなびかなかった。仲間内で一番キレイな氷川が声をかけたときでさえ、名前すら聞き出すことが出来なかった。
 氷川は仲間の贔屓目抜きに見ても十分美人で、学校でもかなりもてるらしい。もっとも、性格に多少難があるので、仲間の中には彼女に言い寄る男は一人もいないが。学校では性格がバレておらず、優等生で通っているからきっともてるのだろうというのが仲間内での見解だった。
 氷川に限らず俺達のグループは、昼間は大概が学校では上手くやっている連中ばかりだ。夜は散々マズいことをしていても、一度も見つかったことは無い。警察の厄介になるなんて馬鹿な連中のやることだ、と言うのがみんなの口癖だった。
 別段、家庭環境が不幸だとか、何か悩み事があるだとかいう訳ではない。どちらかと言えば、みんな家は裕福だし、学校でもいじめられているなんて事はおおよそあり得ない。ただ退屈で、時間を持て余しているからこうしてフラフラと集まってくる。ただそれだけの関係だった。
 彼がそんな風にガードレールに腰掛けて時間を潰すようになってから大体一ヶ月が経つ頃には、いつも街をうろついている連中は彼に構わなくなった。彼がどうやっても落ちないという噂が広まったからだ。
 中には賭をしたり、遊び半分で声をかける奴も時々いたが、ことごとく撃沈されていた。それよりも、どちらかというとサラリーマン風の中年男性にウリを持ちかけられることの方が圧倒的に多かった。
「何かそういう雰囲気あるから」
「ちょっと影があるカンジだし」
「捨て猫っぽいカンジするよね」
 と女の子達は好き勝手なことを言っていたけれど、俺が見ている範囲では、彼が誰かについて行ったことなど一度もなかった。何だか寂しそうで、少し優しくしたらホイホイついて行きそうだと女の子達は言っていたけれど、俺にはどうしてもそんな風に見えなかった。なぜなら、彼はいつも街の雑踏を眺めながら微笑んでいるからだ。まるで、小さな子供や小犬や子猫や。そんなものを見るときのような、穏やかな眼差しと表情。寂しくて、街を彷徨っていると言うよりは人ごみを観察するのが好きなのだろうか。
 例えば。
 例えば、どんなに美しい魚でも、あまりに澄みすぎた水の中では生きていけない。ある程度、濁った水の中の方が住みやすい場合もある。そんな風なのかと考えたりもした。考えて、我ながら馬鹿馬鹿しくて笑ってしまった。こんな事を言ったら、川原や氷川は腹を抱えて笑うだろう。けれども、こんな薄汚れた街角で少しくらいは子供みたいな幻想を抱いていてもバチは当たらないんじゃないだろうか。


 俺が初めて彼と話したのは、その夏一番の暑さを記録した熱帯夜のことだ。
 うだるような暑さの中では缶ビールもあっという間に生ぬるくなるし、冷房機の発する熱気と、アスファルトが昼間の太陽からもらった余熱が不快な空気を更に煽り立てている。気怠い空気が蔓延していて、みんな暑さにぐったりとしていた。それならさっさと家に帰れば良いのにね、とお互い言い合いながら、それでも何となく誰も帰らず、逆にその不快な暑さに自棄になっているようにも見えた。
 その暑さの中、彼もいつものようにガードレールに腰掛けて、何が楽しいんだか街の様子を眺めている。平然とした顔をして、少しも汗なんてかいてないように見えた。まるでそこだけ涼しい風が吹いているようだ。
 なぜだろう。いつも彼の周りだけ空気が違うような、そんな錯覚を起こしてしまうのは。
 俺が何気なく彼を見つめていたら、周りの連中も気がついて彼の方に目を移す。
「何か、ちっとも暑そうじゃないよな」
「ホントホント。変な子」
「この間、あっちのグループの連中が声かけてたけどやっぱり落ちなかったってさ」
「あそこカワイイ子多いのにね」
「そうそう。エッチッぽい子が多いしな」
「もしかしたら男の方がいいのかもよ」
 茶化しながらケラケラ笑っている連中を半ば呆れながら見ていたら、女の子の一人が急に俺の方を向いた。
「ね、平良(たいら)。声かけてみなよ」
「あ、面白そう。平良なら落ちるかも」
 からかい半分で俺の周りに寄って来る。もともとそういう空騒ぎが好きではない俺は、更に呆れて肩を竦める。
「馬鹿な事言ってるんじゃないよ」
「えーー? 試してみてもいいじゃない」
「いってみたら? 落ちたら今度は男タラシの称号上げるわよ」
 氷川が面白半分に追い討ちを掛けると、周りの連中がゲラゲラと笑った。
 以前、絶対に落ちないと言われていたクラブの店員に告白された事があって、それ以来、氷川は事あるごとに女タラシだと俺を呼んで憚らない。正直迷惑だったが、わざわざ刃向かってトラブルを巻き起こす事も無いと思って、その時は放っておいた。だが一度きちんと言った方が良いのかも知れない。肩を竦めて注意しようと思ったときだった。
「また引っ掛ってる」
「質(たち)悪そうな男だなあ」
 川原と原田の声が聞こえて俺は振り返る。時々見掛ける光景と同じに、彼は少し派手な格好をしている20代後半くらいの男に絡まれていた。けれども、いつもと同じに彼は少しも臆している様子が無い。ただ困ったように笑って、首を横に振り、一生懸命男を撃退しようとしているらしかった。けれども、どうやら質の悪いしつこい男らしく、中々彼は解放してもらえない。最初苦笑いをして誤魔化していた彼の顔が、だんだんと顰められていく。
 かわいそうに。断り方を知らないのかな? 俺は肩を竦めて氷川の方を振り返る。
「幾らくれる?」
 軽い口調でおどけたように言うと、氷川は、おや? と言う風に形の良い眉をあげた。
「どういう風の吹き回し? 普段はそういうの興味無いくせに?」
「たまにはね」
 俺が肩を竦めて答えると、氷川は暫く腕を組んで何か考えていた。
「そうね…名前と歳を聞けたら3枚。ついでに別の場所で会う約束ができたら6枚。キスでもかましたら10枚」
 そう言うと、ふふん、と不敵に笑った。自分が一度失敗しているから、俺になんて無理だと思っているんだろう。まあ、女の氷川が無理だったんだから、当たり前と言えば当たり前だ。
「幾らなんでもキスはやり過ぎだろ」
「でも平良ならやりそうだよな」
 俺達のやりとりを聞いていた川原と原田がゲラゲラ面白そうに笑う。今日は酷く暑いからいつもよりビールの量が多いんだろう。飲み過ぎだ、と心の中で毒づきながら氷川の方に向き直る。
「OK。10枚ね」
 俺はそう言うと踵を返す。周りの連中が驚いたような表情で俺を見ているのが分かった。それもそのはずで、氷川が言うように俺はそういう遊びには一切関ったことがない。苦笑いしながら一番外側で見ているタイプだ。けれども、今はいい口実を作ってもらったようなものだった。上手く行けば一石二鳥だし、失敗しても笑い話で済む。
 俺は、彼が座っているガードレールに少しずつ近づいていく。彼は男に腕を捕まれていて困った顔をしてその腕を振りほどこうとしていた。そんな風にしたら逆効果なのに。
 何か言い争っている声が聞こえる。「困ります」とか「そういうんじゃありません」とか言ってるらしかったが、彼は何を思ったのか、ふと顔を上げこちらを向いた。もしかしたら、俺が近づいてきたのを気配で感じたのかもしれない。とにかく、俺と彼は初めて目を合わせることになった。
 大きな、真っ黒な目。
 一瞬、時間が止まったかと思った。人と目があって言葉を失ったり緊張するなんて初めてのことだった。けれども、俺はそれを瞬時に振り切り、なるべく鮮やかに見えるように笑った。どういう風に笑えばどういう風に見えて、それが他人にどういう影響を与えるのか、ということを俺は熟知していた。
 この年でそんな駆け引きが出来るのは、あまり好ましいことではないと言うことも分かっていた。けれども、俺は周囲の人間とは多少違う外見をしていたから、イヤでも目立ってしまい、自己防衛の手段としてそう言う駆け引きをしなくてはやってこれなかったのだ。
 案の定、彼は俺の顔を見て少しだけ驚いて目を見開いた。心なしか頬が赤くなったような気もするけど、俺の都合の良い錯覚かもしれない。
 俺は彼の顔を見つめて微笑んだまま、軽く頷いて見せた。それから彼の男に掴まれていない方の腕を取る。
「待たせて悪かったね」
 男が振り返り、怪訝そうな顔をする。何者だ、というような面白くなさそうな顔。どこか卑しい貧相な顔をした男だったが、彼と話すきっかけを与えてくれたことには少し感謝した。俺は、彼にしか分からないように軽くウィンクして見せて、それから男に向き直る。
「悪いけど俺の連れなんで」
 そう言って半ば強引に彼と男の間に割ってはいる。男の真正面に立ち睨み付けてやると、男は怯んだ様子を見せ、それからフンっと面白くなさそうに鼻を鳴らし、踵を返して立ち去った。暫くその男が立ち去るのを見届けてから彼に向き合うように振り返る。
 困ったような顔をしているか、それとも、戸惑ったような顔をしているか。そのどちらかだろうと踏んでいたので、彼の表情を見た途端、俺は面食らってしまった。面白いものでも見ているかのように、彼の表情には楽しそうな笑いが浮かんできたからだ。
「ありがとう。困ってたんだ」
 初めて聞いた彼の声。想像していたより少し高めで、想像していたより少し子供っぽいしゃべり方。
「いや、余計なことだった?」
「ううん? いつもはあんな風にしつこく絡まれたりしないんだけど。今日は運が悪かったみたいだ」
 屈託無く笑う。想像してた通り邪気が無い。君は運が悪かったかもしれないけど、俺は運が良かった。知らず知らずに目を細めていたらしい。不思議そうな表情で俺を見上げてくる。
「名前、なんて言うの?」
 さりげなさを装って尋ねたつもりだった。けれども、彼はその黒い目を大きく見開き、それから悪戯っぽく笑った。あどけないその目がくるくるしている。まるで子猫の目のようだ。
「幾ら?」
 突然、脈絡のない質問をされて俺は戸惑う。そんな俺の様子を見て、彼は楽しそうに笑った。
「君、珍しい髪と目してるね? 日本人?」
「…半分だけ。ハーフなんだよ。でも、こういう色なのは病気だからなんだ」
 へえ、と、少し意外そうな顔を見せる。それから何を思ったのか、バツが悪そうに少しだけ肩を竦めた。
「それじゃ悪かったかな」
「何が?」
「キレイだなって思ったから。病気のせいなのに」
「…それは、どうも」
 真っ正面から誉められて、思わず俺は右手で口を覆う。何となく困ってしまって、マズいな、と思った。何がマズいのかは良くわからなかったが。
「名前教えると、幾らもらえるの?」
 あっけらかんと尋ねられて、え? と聞き返す。
「あこにいる人達と賭してるんだろ? こっち見てるよ」
 そう言うと、彼はさして気を悪くした風もなく笑った。
「別に隠してるわけじゃないのに、いつのまにか遊びの対象にされてるみたいだね。前もそういう人いた」
 すっかりバレてしまっていて俺は思わず閉口する。思ったより馬鹿でもなければ、それなりに世間ズレしているカンジだ。だからといって、それに俺が失望したかというとそうでもなくて話が早くて都合が良いと思った。
 話が早くて? 何の話が?
「名前と年を聞けたら3枚。会う約束が出来たら6枚。…キスできたら10枚」
 最後の条件を聞いて、彼は少しだけ眉を上げた。それから、何か暫く考えていたみたいだった。
「キスするだけで10枚?」
「らしいね」
「ふうん。安いね」
 安い? どちらが? 君のキスの値段にしては? それとも、キス位でそんなにもらえることが?
 けれども彼はそれ以上は何も言わなかった。ただ、とにかくクスクスと楽しそうに笑っている。
「ね、キスしたら半分くれる?」
 子供がお菓子をねだるように、下から覗き込まれて俺は一瞬言葉に詰まる。それは反則なんじゃないかと眉をひそめると、急に叱られた犬みたいに、しょぼんとしぼむ。
「男同士でキスするなんて変だよね」
 悲しそうに言われて、それすらも反則だと思ったけど。
「たった半分で良いの?」
 俺がさっきの彼と同じように悪戯っぽく持ちかけると、途端にぱっと顔を上げる。駆け引きが上手いんだか単純なんだか計りかねていると、今度はまた違う表情を見せる。花が咲くみたいな、鮮やかな笑い顔。真正面から受け取った俺が、完全に沈没してしまうみたいな。
「十分だよ」
 そう言いながらガードレールから立ち上がる。わざわざ位置を移動して、氷川達にもきちんと分かるように体の向きを変えた。こう言う所はやっぱりスレてるというか、駆け引き上手のような気がしてしまうけど。
「目、閉じる?」
 そんなことを聞いてくる辺り、天然なのか慣れてるのか本当に分からない。
「じゃ、閉じて」
「いいよ」
 簡単に目を閉じて顔を傾ける。こういう遊びしなれてるの? と、喉まで出かかってなんとか押しとどめた。
 もともと、あんまり男っぽい顔じゃなくて、そんな風に目を閉じたりするとオンナノコなんじゃないかと錯覚する。でも、骨格や肉の付き具合は明らかに少年のそれで、確かに、オンナノコとはどこかが違った。
 キスするのなんてもちろん初めてじゃない。さすがに男とするのは初めてだったけど。セックスするわけじゃあるまいし、男も女も唇はそう大差無いはずだった。けれども、唇が触れた時は、まるで初めてキスしたような気がした。なぜだろう。すごく新鮮なことのように思えたのだ。
 彼の唇は柔らかくて、オンナノコの唇と少しも変わらなかった。割と長い間キスしていたと思うけど、その間中、ずっと不思議な感覚だった。キスなんて簡単でどうってことない事だと思ったり、逆に、それがとても特別なことのように思えたり。ひどく自然なことで当たり前のことに感じたり、逆に、不自然なことで違和感を感じてみたり。ジェットコースターで、上ったり、降りたり、回転したりするのに少しだけ似ていた。
 やっと唇を離すと、彼が至近距離でゆっくりと目を開くのが見えた。
 キスしているときはそれ程でもなかったのに、何故だか、その瞬間はひどく緊張して心臓が高鳴った。まるで、眠り姫が目覚める瞬間を目撃しようとしているみたいな気分。でも、そんなこと言ったら、きっと氷川も川原も原田も笑い死ぬまで笑い続けるに違いない。
 彼は、目を開いて俺を見つめると、また別の顔で笑った。大きな黒い目が少しだけ潤んでいるみたいで、何となく、男なのにイロっぽいカンジだった。
 彼は、暫く俺を見つめてから、スルリと体を離す。向こう側で、ヒューヒュー口笛を鳴らしたり、ゲラゲラ笑ったり
「ホントにした!」
「ばか〜〜〜! !」
 と、散々冷やかす声が聞こえて、俺は少しだけ興ざめしてしまい、腹が立った。
「何かあそこ大騒ぎになってるから、お金はまた今度会った時で良いや」
 彼は少しだけ頬を赤く染め、苦笑いしたまま軽く俺に手を振ると、そのまま踵を返し雑踏の中に消えていく。何となく、俺も笑いたい気分のまま彼の華奢な背中を見送った。
 この次会った時で良いって事は、この次も声をかけて良いってことだろ?
 そう思ったら、何となく、つまらない街角が少しだけ楽しいものに思えたりして。
 我ながら、自分の現金さに笑ってしまったけど、決して悪い気分じゃなかった。





 尚、氷川の千円札10枚はその日の内に俺の財布に収まり、その内5枚は正当な持ち主に渡される日を心待ちにしている。




novelsトップへ love is blind ? - 2へ