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第 二 部
第一合宿が終了した、第二合宿まで2日間の休暇が入る。
試合が近づいてくるとスケジュールの変更よくがあるので菊池監督を始めマネージャーの金子や吉澄のように、妻帯者の選手達は連休は家族の元へ帰る。
独身者でも合宿が行われているここ静岡や隣県に住まいのある選手達はそれぞれ外出または外泊届けを出していた。
休暇の初日、宮坂は彼女と富士急ハイランドに行くと朝から出掛けて行き、香藤も浅野と一緒に朝からどこかへ出掛けていた。
岩城は午前中に洗たくを終え、同じく合宿所に残っているトレーナーの佐和と昼食を済ますと、自室で好きな読書をしょうと読みかけの本を開いた。が、どうしても集中出来ずにいた。
あのシャワールームでのこと以来、岩城は何かにつけて香藤の姿を目で追っている自分に気づき、その度に戸惑いながらも胸が熱くなるのを感じていた。
真すぐに嘘のない気持ちをぶつけて来る香藤、それを愛しく思う自分・・・
岩城は恋愛経験が無い訳ではない、バレーボール一筋だったので経験豊富とはいかないが今まで何人かと交際をしてきた、勿論すべて女性ある。
男である自分がこのまま男の香藤の気持ちを受け入れていいのだろうか。
それに自分は答えられるのだろうか・・・
香藤への想いが強くなる一方で受け入れる事を頭の片隅で躊躇している自分がいた。
元来真面目で純粋な岩城は遊びやいい加減な付き合いなど考えられない性格である。
香藤に対する自分の気持ちの切り替えが出来ままでいいプレイーなど出来るはずも無く、毎日の練習は不調とは言えないまでも、岩城もチームのメンバーも納得のいくものではなかった。
『このままではいけない、でもどうしたら・・・』
意識すればするほど、岩城はだんだん香藤を避けるようになっていた。
そんな中相変わらず好調なプレーを続ける香藤は、岩城の自分に対する行動の変化に気づいていた。
『岩城さん・・・どうして?』
コンコン・・・
「はい。」
「岩城さん、香藤です。」
「ちょっと待ってくれ。」
ドアを開けると、香藤がイチゴがいっぱい詰まったビニール袋を持って立っていた。
「美味そうでしょう。」
「どうしたんだ、それ?」
「今朝、イチゴ狩りに行ってきたんですよ。一緒に食べません?」
「ああ、じゃあ娯楽室でも行くか。」
「えっ・・・はい。」
香藤は部屋に入れて貰えるとばかり思っていたので少し不満そうな顔をした。
部屋を出て娯楽室へ向かう岩城の後を香藤は渋々ついて行く。
「美味そうだな、どこで取ってきたんだ?」
「結構近くですよ、浅野さんが知ってて連れてってくれたんです。」
「そうか、美味いな。」
岩城は美味しそうにイチゴを口に運んだが、香藤と目を合わそうとしなかった。
「岩城さん・・・」
「お前も食べないのか、甘いぞ。」
香藤はイチゴを取ろうとした岩城の手を握った。
「岩城さん、なんで俺を避けるの?」
岩城は香藤の手を振り払うと押し殺した声で言った。
「やめろ、休暇とはいえ俺達だけじゃないんだぞ。」
「俺はみんなに知られても構わない、岩城さんを好きな気持ちは誤魔化せないよ。」
岩城は小さくため息をつくと香藤の目を見つめてゆっくりと言った。
「香藤、俺達はバレー選手だ1人や2人でプレーするわけじゃない、俺達の特別な関係で6人のチームプレーを乱したくない。全日本代表だということを忘れるな。」
「特別な関係・・・って、岩城さん俺のこと・・・嬉しいよ俺。」
「何言ってる、お前俺の言ってることが分かってるのか?」
香藤は顔を上に向けてふーっと息を吐き出した後、岩城の顔を真っ直ぐに見た。
「岩城さんの言ってること、言いたいことも分かるよ。知られてもいいって言ったけど、勿論自分から言うつもりはない。俺だってチームを乱すつもりなんてないし、全日本代表として精一杯プレイする。今、俺のことを岩城さんが特別って言ってくれたことだけで俺もう50本サイドラインぎりぎりに決められるって感じだよ。岩城さんを好きって気持ちが俺には大切なんだ、それが今の俺のプレーの源だから。」
「香藤・・・お前ってヤツは・・・本当に真っ直ぐなんだな。」
「岩城さん呆れた?こんなこと言う俺って・・・ウザイ・・よね。」
情けない声で呟きながら香藤は俯いた。
「いや、俺はお前のそんなところに惹かれるのかもしれないな。お前の熱い情熱だ、俺にはそれが心地いい、温かいんだ。」
香藤が顔を上げると、はにかむように目元を薄っすらと染めて微笑む綺麗な岩城の顔があった。
「岩城さん・・・もう〜、今すぐ抱きしめたい!」
ゴツン!
「なっ、お前大声で何を言うんだ!」
「痛ってーー!だって、可愛い過ぎなんだもん岩城さんって。」
「バカ!可愛いって言うな!」
「ごめんなさい。でも・・・2人っきりになれないのは辛いよ。部屋も違うし、岩城さんは平気だろうけどさ・・・」
突然岩城はすっと立ち上がった。
「どしたの?」
「香藤、付いて来い。」
「う、うん。」
岩城は香藤を自分の部屋に入れるとドアをロックした。
「岩城さん?」
「俺だって平気じゃないってことだ。」
背を向けたままの岩城の白い首筋や耳が恥じらいに紅く染まっているのが分かった。
香藤は岩城をゆっくり前向きして抱きしめ耳に熱い息をかけながら囁いた。
「俺、凄く嬉しいよ。」
「・・ん・・っ・・」
優しく唇を重ねる、香藤が口腔が奥深くまで舌を差し込れた、岩城も積極的に応じる。
「岩城さん・・好き・・だ・・んっ・・」
「・・んんっ・・ん・・・」
顔の角度を何度も変え息継ぎをすることさえもどかしい程にお互いの舌を絡め合い貪り合う、口元か顎へ二人の混ざり合った唾液が溢れ滴る。
倒れこむようにベットに重なり、岩城の上に跨るようにして香藤はTシャツを脱がし自分も脱いだ。
岩城の薄紅色に染った白く滑らかな肌が露になり、潤んだ黒い瞳が香藤を見上げた。
「岩城さん凄く綺麗だ・・・」
「バカ、綺麗だなんて男には言わないぞ。」
「ごめん、でも岩城さんは綺麗なんだ、全部・・・ここも・・・ここも・・・」
すでに張り詰めている片方の胸の突起を舌先で転がしながら、もう片方を指で摘んだ。
「・・あっ・・んっ・・・」
「凄くいい声、可愛い。」
「・・・んっ・・・言う・・な・・っ・・」
可愛い・・、香藤のその言葉で恥ずかしくなりますます紅くなった顔を腕で隠した。
片方の胸の突起を弄ぶ指先をそのままに、耳に舌先を入れ内側を犯しながら囁く香藤の熱い息が岩城を煽る。
「ダメだよ、感じてる顔見せて・・・」
「・・っ・・香・・とう・・」
顔から腕を退かされて、唇を塞がれる。
香藤の興奮した熱い舌が口腔に押し入り岩城の舌を絡め激しく吸い上げる。
「・・・んふ・・っ・・んん・・」
胸の突起から脇腹へ、そして盛り上がった股間をジャージの上から焦らすようにゆっくりと香藤の手が這い回っていたかと思うと、その手がいきなり下着の中まで差し込まれ優しく包むように岩城の熱くなっているそれを握る。
「・・あっ・・ああ・・」
「岩城さん、こんなになって・・・凄く感じてるんだね。」
すでに濡れ始めているそれは熱をもって張り詰めドクドクと血液が波打っていた。
包み込んでいる大きな手の親指の腹で一番感じやすい先端の裏の部分を擦りあげる。
「・・あぁぁ・・・っ・・」
香藤は身体を起こし両手で岩城の一気にジャージと下着を脱がすと先走りを舐め取り一気にそれを口に含んだ。
柔らかい双果を優しく揉みながら躊躇わずに施される愛撫に、岩城は高みにどんどん押し上げられ、いつのまにか両膝を立て香藤の頭を抑えていた。
「・・ああっ・・・香・・とう・・ああ・・んっ・・・」
先端から窪みの部分を嘗め回していた香藤の舌先がゆっくりと岩城の蕾の周りを円を描がき始めると、岩城の身体がビクッと跳ね蕾の襞がキュッとしまる。
「・・あっ・・やめ・・ろ・・っ・・」
「岩城さん、力抜いて、感じて・・・ねっ・・」
握ったままになっていた手を優しく上下に動かしながら、更に香藤は濡れた舌先に力を入れ蕾の襞を一枚一枚広げるようにして侵入してくる、敏感になっている岩城の身体が前と後ろの攻撃にザワザワ粟立つ。
「・・んぁっ・・香・・とう・・そん・・な・・ああぁ・・」
濡れてヒクヒクと動く蕾に香藤の湿った指が硬い肉壁を押しのけて挿ってきた。
「や・・めろ・・・ああっ・・・」
岩城はその今までにない感覚に背筋がゾクッとした、身体が侵入してきた香藤の指を押し出そうとギュっと締まる。
「・・う・・っ・・」
「岩城さん、痛い・・?ゆっくり入れるから・・」
痛みの中に不思議な感覚があった。
入って来るもの押し出そうという感覚と、もっと奥まで入って欲しいと望む気持ちが同居しているようだ。
「岩城さんの中・・・熱くて蠢いてる・・・」
香藤はゆっくりと動かした。
「・・んんっ・・・ん・・・っ・・」
再び溢れ出した先走りが岩城の腹の上を濡らした。
もう一本の指を岩城がゆっくり飲み込んだと同時に何かに触れた。
「・・ああっ・・・あっ・・っ・・・」
前立腺を内側から攻撃され、初めての快感が身体を襲い、岩城の喘ぎ声が高くなった。
「岩城さん・・・気持ちいい?」
首を縦に振り快感に激しく喘ぐ岩城の姿に香藤は煽られる。
「・・あっああっ・・・んっ・・・ああぁ・・」
香藤は同じ場所を指先に力を入れて引っ掻くようにしながらグッと回した。
「・・あ・・あっ・・香・・とう・・ああぁ・・んっ・・」
「もう・・堪んないよ・・岩城さんの中に挿りたい・・・挿らせて・・・」
かき回され、出し入れされる指に喘ぎながら岩城が強く頷いた。
香藤は指を抜くと岩城の両足を持ち上げ抱え込む、柔軟な岩城の身体は綺麗な蕾を露にした。
「・・挿れるよ・・・」
香藤はいきり立った熱い塊を押し当ててゆっくりと腰を進めていく。
熱く硬い塊が先走りのヌルッとした感覚と共に侵入してくる、岩城は初めて経験する信じられないような圧迫間に身体を捩り縋るように香藤の腕を強く握った。
「・・んっ・・・んんっ・・・」
「・・岩城さん・・くっ・・力・・抜いてっ・・」
「・・・でき・・・な・い・・・うっ・・・」
「もう少し・・だから・・んっ・・」
岩城をキズ付けないようにゆっくりと根元まで挿れた。
「・・・ああ・・・」
香藤が湿った熱い吐息を漏らす。
「凄いよ、岩城さんの中・・熱くて、狭くて・・」
熱いのは岩城も同じだった、お互いの身体の熱を感じ合っているのだ。
「岩城さん、大丈夫?」
「・・苦し・・い・・・」
「ごめん・・・でも、凄いよ、ここ・・・」
硬くいきり勃っている岩城自身を握りしめると熱くドクンと波打った。
「・・ああぁっ・・」
先走りが溢れ出る、蕾がギュッギュっと香藤を締め付けた。
「・・うっ・・きっつ・・千切れそう・・」
握っている指先に先走りを絡め優しく感じやすい窪みに這わせた。
「・・ぁんっ・・ああぁ・・っ・・」
「・・ああ・・岩城さん・・我慢できない・・動くよ・・・」
香藤は腰をグラウンドさせながら岩城自身をしごく。
「・・ああ・・・香・・とぅ・・っ・・」
疼きが身体を駆け抜け岩城は仰け反った。
「・・岩城さん・・凄く色っぽい・・・」
香藤は上下する手は止めずに引き抜いた腰をずぶっと深く沈めた。
「・・・あああぁ・・っ・・」
経験した事ない強烈な快感に香藤の腕を掴んだ手に力が入り、体内の香藤を何度も締めつける。
「・・はっ・・いいよ・・岩城・・さん・・うっ・・・」
しごきのスピードと強さが上がるのと同じく香藤の腰の旋律も早くなる。
「・・あぁ・・香・・とぅぅ・・も・・うっ・・あぁぁ・・・」
岩城の腰が跳ね上がり蕾が香藤を激しく締めつけ絡みつく、抑えられなくなった香藤はパンパンと音を立て激しく腰を打ちつけた。
「岩城さん・・あぁ・・岩城さんっ・・・」
「・・香・・とぅ・・ああぁぁ・・っ・・・」
岩城の身体の奥で何かが弾けた・・・身体が硬直し頭の中が真っ白になる・・・
同時に香藤の身体にも鋭い戦慄が駆け抜けた。
「・・・くっ・・ああ・・・っ・・」
岩城の細い腰をグッと掴み、硬く目を閉じ仰け反ると香藤は思いきり精を放った。
荒い息をつきながら香藤が倒れこむ。
「はあ・・・最高、凄く良かった・・・」
香藤は汗で湿った岩城の頬に手を添え口吻けた。
「岩城さん・・大丈夫・・・?」
「・・ああ・・」
心地よい脱力感と気だるさに岩城は目を開けるのも億劫だった。
「岩城さん、好きだ・・愛してる・・」
岩城は汗ばんだ香藤の背中に手を廻しゆっくりと目を開けると香藤の双眸を見つめた。
「香藤・・・俺もお前が好きだ・・」
その言葉を口にした途端、岩城の心の中にあったモヤモヤしたものがまるで水に砂糖が溶けるように消えていった。
「い・・岩城さん・・・」
香藤は鳶色の瞳を潤ませ岩城の胸に顔を埋めた。
「嬉しいよ。俺、もうだめ・・嬉しくてどうにかなっちゃそう・・」
「バカ、どうにかなる前にどけ!」
「やだ・・・ここまま岩城さんを感じていたい。」
岩城の中の香藤が再び膨張し始める。
「うっ・・香藤、重い!」
押しのけようと伸ばした岩城の両腕の脇に手を差し込むと香藤は後ろに倒れた、岩城が香藤の腹の上を跨る形になる。
「おい、何を・・・」
勢いがついて体重がかかり岩城の中の香藤が敏感な部分にダイレクトに触れた、思わず岩城が甘い声を漏らした。
「・・あ・・んっ・・」
「岩城さん・・・」
岩城の甘い声に気を良くした香藤は腰を掴み突き上げた。
「・・あんっ・・あぁっ・・・」
腰に鈍い痛みが少し走った、が、それを上回る快感が岩城の中を支配し始めていた。
香藤が小刻みに腰を突き上げるとくちゅくちゅと濡れた音を立てる。
「・・んんっ・・香・・とう・・ああっ・・」
「ああぁ・・岩城さん綺麗だ・・・凄く色っぽいよ・・」
上気した顔で、香藤の動きに合わせて腰をシンクロさせる岩城の扇情的な姿に、香藤はすべてを忘れて溺れた。
ベットは激しく軋み、湿った熱い息が交叉する、汗に塗れた身体を揺さぶり揺さぶられながら二人は欲望に身を任せて何度も身体を繋いだ。
「岩城さん、愛してる・・愛してる・・愛してる・・・」
「・・・ああ・・・香藤・・・香藤ォォ・・・」
気を失ったように香藤の腕の中で眠っていた岩城が目を覚まし身じろぎした。
岩城は全身の力が抜けたようにぐったりしていることに気づく、フルセットの試合を続けてした後のように疲れきっていた。
「・・香藤・・今何時だ?」
「うーんと、6時過ぎ。」
香藤は岩城をギュッと抱きしめ額に唇を押し当てると綺麗な黒い瞳を覗き込んだ。
「岩城さん・・大丈夫?」
「ああ、腹が減ったな。」
「うん、俺も。今日食堂休みだよね、どっか食べに出ようか。」
「そうだな。」
起き上がってTシャツを着始めた香藤同様、自分も脱ぎ散らかした下着を取ろうとした時、ズキっと下半身が痛んだ。
「・・う・・っ・・」
「岩城さん、そのまま寝てて、俺なんか買ってくるよ。」
「いや、とにかく起きる。風呂に入りたい。」
「本当に大丈夫・・・起きれる?」
「ああ、大丈夫だ。」
岩城は身体を起こしTシャツとジャージを着てゆっくりと立ち上がった。
歩き出すと時折鈍い痛みが重い腰にズンっと響き、足を止めた。
「岩城さん、俺の肩に捕まって。」
「バカそんな事出来るか、誰に見られるか・・・」
「そう・・・だけど・・・」
「大丈夫だ。風呂に入って熱い湯に浸かればすぐに楽になる。」
「・・ごめんなさい・・俺が・・止まんなくなっちゃって・・」
「お前のせいだけじゃない・・俺だって・・」
恥ずかしそうに俯く岩城の顔が微かに紅く染まる。
「もう〜、岩城さんってば、ダメだよ、またそんな可愛い顔して誘わないでよ。」
「なっ、誰が誘ってるんだバカ!俺を殺す気か!」
「だって・・・そんな顔されたら・・・」
「もういい!風呂に行く!」
二人が廊下を歩いて行くとデートから帰ってきた宮坂と佐和が立ち話をしていた。
「なんだ香藤、居たのか。岩城さ・・んも・・・」
『えっ・・』といった表情で宮坂がじっと岩城を見ている。
佐和はその岩城の姿を見て眉間に皺を寄せ、少し慌てたように二人に近づいた。
「ちょうど良かった。二人に話があったの、ちょっと来てくれる。宮坂君じゃね。」
「へっ・・はぁ・・」
まるで急き立てるように佐和は二人を連れて行った。
宮坂は口がだらしなく開いたままで三人の後ろ姿を見ていた。
目の前で気だるそうにしていた岩城。
乱れた髪に手をやる様子は、これまでの何処か堅苦しいさの抜けない印象と大きく違っていた。
色っぽいのだ。
「何だ?俺・・・欲求不満?」
宮坂は慌てて首を左右に振るとそそくさと自分の部屋に戻っていった。
二人はミーティングルームの折りたたみ椅子に座っていた。
窓から外を見ていた佐和が振り向かずに言った。
「貴方達いつからなの?」
「・・何がですか・・・」
押し殺したような声で岩城がやっと言葉を発した。
佐和は大きなため息をついて振り向くと笑顔を見せた。
「誰にも喋ったりしないわ。貴方達だって知っているでしょう?私が同性愛者だって事。こんなおかま言葉で話すんですものね。バレー協会も薄々は分かっているけど私の実績と噂の域を出ない事だから、こうして全日本のトレーナーとして抜擢されたけどね。」
「どうして俺達が・・・その・・・」
「香藤っ!」
「岩城君そんな大きい声を出さなくても、別に責めようって言うわけじゃないのよ。試合を前にしてプレッシャーもあるでしょうし、若い時にはセクシャルな面でも興味を持つ事はいろいろあるわ、でもね・・・」
「違います!」
ガタンっと大きな音を立てて香藤は勢いよく立ち上がった。
「興味だなんて!俺は岩城さんを真剣に愛してます。そんな、そんないい加減な気持ちなんかじゃない。」
岩城が見上げると、訴えるように真っ直ぐに佐和を見つめる香藤の双眸とそれを真意なのか確かめるように香藤を真っ直ぐに見つめる佐和の双眸があった。
「香藤・・・」
先に視線を逸らしたのは佐和の方だった。
「そう・・・」
佐和は折りたたみ椅子を二人の正面に置き座ると、ゆっくり二人の顔を交互に見た。
「岩城君、貴方も真剣に香藤君が好きなの?」
「はい。」
岩城の迷いのない力強い即答に香藤は胸が熱くなった。
「岩城さん・・・」
「分かったわ、二人の気持ちが真剣だって事。それならますます言っておかないといけないわね。」
「佐和トレーナー。俺は確かに今好調プレーとは言えませんが、チームに迷惑のかかるような事はしません。公私混同は勿論の事、練習に支障をきたすような事は絶対にありません。ですから俺達のことは・・・」
「岩城君、それは分かってるわ。貴方は公私混同をする選手じゃないと思ってます。」
「えっ、じゃ俺の事ですか?俺だってちゃんと切り替えますよ。岩城さんが困るような事はしません。大切な人に悲しい想いなんかさせないよ、全日本の選手として岩城さんとコートに立つんだ。」
「貴方達って、本当にいいカップルね。羨ましいわ。」
佐和は嬉しそうに微笑んだ。
「でしょ、俺もそう思う。」
「いい加減にしろ。香藤!」
嬉しそうに微笑む香藤に岩城は強い口調で叱った。
「まあまあ。ところで、貴方達今日始めてセックスしたんじゃない?」
「・・えっ・・ええ、まあ・・なんで分かったんですか・・・?」
少し赤い顔をして渋々答える香藤の横で真っ赤に顔を染めた岩城が俯いている。
「分かるわよそりゃ私には、そこで経験者からのアドバイスよ。貴方達私も含めてだけど、男性同士のセックスは本来セックスに使う器官ではない部分で行為してることを忘れてはいけないわ、貴方達は現役のスポーツ選手なんだから特に無理はダメ。コンドームも使ったほうがいいわね。今回は明日も休みだからいいけど、今後は練習にも差し支えるから注意して。我慢できないの時は他にもお互いを満足させる方法はあるでしょう。」
「そうですね、気をつけます。今日は初めてで俺も岩城さんも抑えられな・・・」
ゴツン!!
「香藤っ!!」
「・・痛・・っ・・」
「プーーッ、あははは・・・、若いっていいわね〜。」
穴があったら入りたいと思うほど恥ずかしい思いをしている岩城を横目に、苦笑いをしながら頭をさする香藤を見て、佐和は楽しそうにお腹を抱えて笑っていた。
kaz
2005.10.3
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