絡んだ指が翡翠の熱を伝える。
滑らかに動く悪戯な指。
ぎこちなく固まる私をものともせず、深く複雑に絡み合う指。
「‥‥っ、翡翠」
からかうだけなら、やめてほしい。
これ以上近づけば‥‥私は。
「幸鷹、おめでとう。
‥‥君がこの世に生まれ落ちた意味を、教えようか」
「は?」
「君は私に出逢う為に生まれてきてくれたのだろう?
だから、異なる時空に生を受けても、この引力がある限り、私は君の許へと、君は私の許へと引かれ合ってしまう」
「馬鹿をいうな」
「そう?‥‥それなら、私から離れてごらん」
簡単なことだと笑いたい。
なのに‥‥絡む指が解かれる度、何かに縛られて。
ただ静かに佇んでいるだけの翡翠から離れることができない理由を、己の心にすら説けぬまま。
「翡翠」
呼びかけても、見つめ返して笑うだけ。
泣き出すまいと腹に力を入れながら、憎たらしい瞳を睨み付ける。
「翡翠、今日は私の誕生日を祝いに来たのではなかったか」
「そうだね‥‥君が、それを望むなら」
「寒い」
「?」
「冗談でも誕生日の祝いだというのなら、こんなに寒い場所で立ち尽くすような興は辞めていただこうか」
憮然と言い放つと、呆気にとられた顔でクスクスと笑いだした。
「それはすまなかった。‥‥では行こうか。私の全てで暖めてさしあげるよ、別当殿」
「‥‥‥‥‥当然だ」