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[翡幸]甘い熱

「ん‥‥‥幸‥‥もっと‥」
 コトの後のせいか、珍しく幸鷹から唇を合わせてくるものだから、つい調子に乗ってみる。やれやれと言いたげに笑う顔が『とても嬉しそうだ』なんて口にしたら、君はどんな顔をするのだろうね。
 興味はある。
 だが、今は‥‥‥早く‥‥。
 スーッと目を細めると、吸い寄せられるように唇をついばんだ。
「お前はまるで、毒のある花のようだな」
 うん。その表現はいいね。
「ならば君は、そうと知って吸い寄せられる蝶といったところかな」
 馬鹿らしいと吐き捨てる唇と、私を抱き寄せる素直な腕。
 幸鷹、わかるかい?
 君は私が求める全てを、知らぬうちに満たしているのだよ。