源氏の武将。最愛の幼なじみ。譲が大切にする、譲を大切にする、全ての存在から攫ってしまいたかった。
「兄さん、何するん‥‥っ」
「黙ってろ。舌噛むぜ」
離れていた間も戦いが終わるまでも焦がれ続けていた心は、もうとっくに壊れていた。取り繕う必要も感じない。
あの地獄のような戦火の中で、俺は誓ったんだ。
もしも譲を失うことなく帰還できたら、その時はもう二度と我慢をしないと。
絶対に手放さない。誰にもやらない。
譲‥‥本気で抗えば、逃げることはできるだろう?
それをしないお前が悪い。
これがお前の返事だと決めつけて、攫ってくぜ。
「兄さん、降ろして‥‥恥ずかしいって」
「恥ずかしくなきゃいいのか?」
「‥‥‥っっ」
「誰も見てねーよ」
いっそ見せびらかして宣言してやりてぇけどな。
お前が俺のモノだってこと。
それと‥‥俺の身体が、お前以外に反応しねーってこともだ。
「オアズケとか言うなよ。今度こそ発狂するぜ」