とりあえず書ききらないと他に行けないので、成就させてみた(笑)
譲は受けですよ?
だけど決定権をもってるのは譲だし、精神的にどっちが優位かって言われたら‥‥‥将臣は下僕でも満足みたいです(コラッ)
ここんとこ書いてた将×譲の「総まとめ」ってことで。
「どーすんだ?‥‥お前が嫌なら、無理強いはしない」
無理強いなんざ『できないんだ』と素直に言うべきか悩んだ。
「兄さん‥‥‥」
4回抱いた。
初めは、明日をも知れぬ京。キツイ夢に錯乱状態だった譲が俺の腕を求めて、いっそそのまま殺されても構わない‥‥そんな覚悟で組み敷いた身体は、抵抗もなく。現実より酷い夢を忘れるために、痛みすら利用しているかのように乱れて震えた。そんな夜が二回。
次は鎌倉。俺の正体に気付いた譲が、源氏に‥‥白龍の神子に、協力を求めて。のっけからそのつもりだったことも知らずに、その身を捧げてきた。まったく冗談がキツイぜ。嫉妬に狂って手酷く抱いた俺を恨みもせずに笑った顔は、忘れようにも無理な話だ。
その次が‥‥こっちに帰ってきてからだったな。散々飲んで、ベッドも何も客人に明け渡した俺達が、何を思ったか倉庫の中でコトに及んでいたことなんざ、誰が知るはずもない。
死の恐怖、勝利の代償、酒。
そんな言い訳が一つもない状態でも、お前は俺を受け止められるのか?
こんな平和な世の中で、モラルに縛られて。
それでも‥‥俺を。
「意外と疑い深いんだ。‥‥知らなかったな」
深く沈んだ声が、震えていた。
「譲、お前」
「こんなこと嫌に決まってるだろっ。組み敷かれて女みたいに感じればいいのかっ。それが気持ちいいから『もっとして』とでも言えばいいのかっ。そんなの‥‥そんな自分なんか、認めるわけない。兄さんが求めないなら、なにもあげない。身体も‥‥心も」
泣くな。泣くな。泣くな‥‥ゴメン。
「欲しがったらくれるのか?」
「アンタが欲しがって手に入らなかったものなんか、一つでもあるのかよ」
あるよ。お前とか‥‥‥‥他には‥‥。
「ないんだろうな」
「ほら」
「無いんだよ、お前以外に俺が欲しがったものなんか、初めから、たった一つも」
アレもコレも記憶にあるものは全部、譲が欲しがったから価値があったんだ。泳げるようになりたいとか言い出したから、俺が教えてやりたくて必死で練習した。お前が望美のマネばかりしてたのと、大差ない。‥‥ただ少し、俺の方が器用で、年上で、やり方を知ってたから。
「俺は、お前が欲しかっただけだ」
いつだって、こっちを見ろ!と念じてた。望美とセットでいなけりゃ、お前の視界から外れるくらい盲目にアイツばかり見ていた時も、ずっと。
「俺のものなんか何もない。お前が欲しがればお前のものになる」
この命さえ。
「だから‥‥」
そっと伸べた手に、ゆっくりと降りてくる体温。
「お前を」
「もう黙って。聞いてる方が恥ずかしい」
「譲‥‥?」
肩から胸へと滑り落ちていく指先が、絡んだ糸を一つずつ解いていった。
初めて譲から重ねられた唇。
初めて許された、想い。
二人して激流に足を取られたようにベッドへ沈みこんだ時、耳元でそっと零れた名前は‥‥甘すぎて、とても自分のものだなんて思えなかった。