小説TOP ≪ || 目次 || 01
--
【逢夢辻】〜プロローグ〜
『今、ドウシテル‥‥‥』
無事を案ずれば、逢瀬の道が。
『コノ先ドウナル‥‥‥』
先を案ずれば、予知の力が。
過去も未来も今この瞬間も、思いのままに。
ただし、見るだけですよ。
わかりますか。
何を見ても手出しはできないの。歯痒くとも心細くとも、変える力は神子様のもの‥‥それは違えることのできない古の約束。
この力は道標‥‥。
幼い貴方達に何も教えてあげることができないのは、とても残念だけど。
無邪気に眠る三つの顔は、先に待ち受ける苦難も知らず、穏やかな時を刻む。
幾通りもの未来。
繰り返し繰り返す中に何が待ち受けているのか、もう私の力でも辿ることはできないけれど‥‥少なくとも、この力を守り通すことはできた。
神子様を包むように眠る貴方達が、私の希望。
一つ、お呪いをしてあげましょう。
遠く険しい旅をする貴方達にとっては、ささやかすぎる御守りかもしれないけれど。
これが私の最後の願い。
これが私の最後の力。
どれだけ遠く離れても、どれだけ長く途絶えても。
いつかきっと。
夢の辻で、逢えますように。
--
小説TOP ≪ || 目次 || 01