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悲恋夢書きさんに10のお題

文字打ちリハビリ中。
お題を借りて、短文に挑戦。
DF団長中編トリップ夢の。
元の世界に帰ること選択した版。


● 分かれる前日の夜。

 長い永い口付けの後。
 イグラシオはNoNameの黒い瞳を捉えて口を開く。

「いいか。私から手を放してやるのはこれ1回っきりだ。
 おまえの人生だ、すべておまえが決めろ。
 おまえが私を選んでここに戻ってきたのなら、二度と手放してはやらんから、覚悟しておけ」

 青い炎を宿した瞳に迷いはない。
 言葉通り、NoNameが『ここ』を選ぶなら、彼の横で一生過ごせるのだろう。
 逆に、NoNameが『元の場所』を選んだとしても、彼はその選択を責めるつもりも否定するつもりもないのだ。

 全てを、NoNameの望むままに。

「……イグラシオさんのソレがプロポーズだってわかる子、そうそういませんよ」

 くすっと笑い声を洩らし、NoNameは頬を緩める。
 潔すぎて脅迫にも聞こえる『プロポーズ』であったが、NoNameにとっては最上の言葉だった。

 ――――――本当は、ほんの少しでも引き止めて欲しかったのだが。

 愛する男に引きとめられたなら、一度きりの機会を逃した『フリ』をして『ここ』に残ることを自分は選択しただろう。
 けれど、彼はそうしなかった。
 おそらくはNoNameの思惑など知っていたであろうに。
 愛で縛りつけて自分の元へ置くことよりも、NoNameを愛する家族の元へ返すことを選んだ。
 元々出会うはずのなかった2人が、元の正常な状態に戻るだけだ。

 ほんの少し―――否、かなり―――の喪失感は埋められないが。
 
 厳しくも優しい男を愛したのは、NoNameなのだから。
 
 
 
 明日の朝、男は騎士として師団を率いて城をでる。
 NoNameはそれについてはいかない。
 ここまで彼を追って従軍してきたが、これからは違う。
 彼の居ない世界へと『帰る』のだ。

 離れた唇が物悲しく、もう一度、と口付けをねだりたくなる。
 が、NoNameは唇を引き締めてイグラシオを見上げた。

 心から愛した男の面影を、目に焼き付けるために。


配布元:Abandon
お題としては3番目のタイトル。

このお題でリハビリ企画(企画だったのか)、普段の書き方と違ってタイトルを見て浮かんだネタをガリガリ打ってるんですが……そのせいか、ぱっと書けるのはDFネタばっかで。
どうせDFネタだらけなら、DFの20題やった方が建設的じゃあ……?
とか思って20題を覗いてみたんだけど、無理だった。
あれ、私が埋めるの無理。
もしくは、文で埋めるの激ムズ。
お題というより単語が主なので、絵なら簡単そうなんですが。

そんなわけで、諦めてみた。

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