目の前には『美』と称せるような青年達の中に、落ち着いた物腰の中にも『少女』の部分が見え隠れする女性が一人、それは楽しそうに話している・・・




そんな『場面』を、私は見ていた・・・








手ノ届カナイ  遠イ 遠イ  『世界』

記憶ニ薄イ   古イ 古イ  『時間』













わずかな 希望  =中=











「けいち(佳嗣)〜。くりは、おなかすいた〜」
「はいはい、栗杷さま、もう少し待っていて下さいね。今、架愁のうすノロが持ってきて下さいますよ」




室内から聞こえる幼い少女の声と、青年の声



「・・・(ここね)」




「んぎゃぁ、んぎゃぁ・・・」
「あぁ〜まろさま、泣かないで下さい!(ったく、架愁といい、羅苑といい!何やってんですかっ!!子供たちが泣いてしまわれるじゃないですかっ!!本当に、奴等は・・・)?!!」



赤子と幼女をあやしながら、お守りをしていた佳嗣は、部屋の外に有る、知っている気配に気付くと、子供たちを庇うように声を出す






「っ誰です?!」





緊迫した空気の中、気配は襖を開ける・・・

佳嗣は警戒を深める・・・





その時・・・





「あっれぇ?入らないのぉ?」


第三者・架愁が『外にいる気配』に声をかける
それに続くように、羅苑が口を開く


「ばぁか、一応他人の家だぞ?お客が勝手な事しねぇだろ?・・・て、そのお客を置いてったのは俺等、か?」
「あはははぁ〜」


一枚の襖越しに聞こえてくる二人の声
『お客』という人物の声は聞こえない・・・


「・・・(架愁?羅苑?)」


「・・・ここに、佳嗣いるから・・・」

羅苑はそう言いながら襖に手をかけ開く
佳嗣の警戒が更に強くなる





「ぅぉ〜い、佳〜嗣〜お客さん」
「スッゴイ美人さん〜」


パッと現れたのは羅苑と架愁


口を開きかけた佳嗣を遮ったのは、栗杷と呼ばれた幼女


「かちゅぅ(架愁)〜おなかすいたぁ〜」
「ごめんねぇ〜栗杷さま。ハイ、お菓子」
「わぁいvありがとう〜」


栗杷は腰を下ろした架愁の膝上に確りと座り、お菓子を頬張る


「はい、佳嗣。まろさまのオムツ、それとお客さん」
「・・・客?」


羅苑からオムツを受け取りつつ、そのお客がいるであろう襖の方へ視線をむける
そして、そこにいた人物、つまり知っている気配は・・・


「はぁいv佳嗣v久しぶり」


場違いな程明るい声を出し、親しそうに佳嗣に話しかける

先ほどとは雰囲気の違うに驚きつつも羅苑と架愁は佳嗣を見て、再び驚く

の態度にも驚いたが、を目にした佳嗣の滅多に見ることの出来ない驚愕した顔は、彼等にとって最も驚く事なのだ・・・



「・・・・・・?どうし・・て―――「や〜ん、可愛いvv何々?この子達佳嗣の隠し子?!やるじゃない!!」


呆然と口を開く佳嗣の話もろくに聞きもせず、佳嗣から赤子をふんだくると優しく抱き上げる

赤子は赤子で驚いた顔をしたものの、柔らかく、暖かい抱き心地に安心する


「そうっか、佳嗣もようやくパパかぁ〜・・・奥さん誰?」
「ち、違いますよ!!この屋敷の主の子です!!」
「え〜?違うのぉ〜?つまんな〜い」
「違います!面白くてどうするんですか!!」
「あら?アナタは女の子?お名前は?」
「人の話を聞いてます?!」
「・・・くりは」
「栗杷ちゃんって言うの?私は、よろしくね」
「ん(うん)」


あの佳嗣が珍しく肩で息をしており、更にはそんな佳嗣をかち無視しながら話を進めていく

そんな光景を、初めて目にする羅苑と架愁


「な、何々?佳嗣?さんとどういう関係?」
「僕も知りた〜いv随分仲良さそうじゃん」




興味深々な二人に佳嗣とは顔を見合わせ、少し考える
そして、お互い話し合ったわけでもないのに、同時に答える・・・微妙に疑問系で





「「・・・・・・・・・・・・・『腐れ縁』?」」


「「・・・知らないって・・・」」









続く





2004,8,14