目の前には『美』と称せるような青年達の中に、落ち着いた物腰の中にも『少女』の部分が見え隠れする女性が一人、それは楽しそうに話している・・・ そんな『場面』を、私は見ていた・・・ 手ノ届カナイ 遠イ 遠イ 『世界』 記憶ニ薄イ 古イ 古イ 『時間』 わずかな 希望 =下= 煩い煩い羅苑と架愁に子供たちを押しつけた佳嗣は自分の部屋に客人を招き入れ、お茶を出す 会話もなく、お互いにお茶の温かさを喉で感じ、一息つく 「・・・久し・・・振りですね。・・・どうされたんです?」 いつもの様に佳嗣が話しかける そんな佳嗣に、眉を潜めも口を開く 「・・・やめない?」 「・・・えっ?」 「その、堅苦しいの」 「・・・・・」 佳嗣の表情が強張る 近しい者でなければ見落としてしまい兼ねない程微々たるものだが、そんな相手には不敵に微笑む 「・・・・・・・・何の用です?」 いつもの様に話しているのだが、どこか、いつもと違う佳嗣 そんな佳嗣に今度は優しく微笑む 「・・・うふふ・・・。そっちの方が、貴方らしいわ、天眠」 「・・・が どこか懐かしそうに、寂しそうにをみる は天眠から視線を外し、湯飲みのお茶に映る自分の顔を見つめる 「・・・いいえ。何も、何もないわ。いつも通りで、今ままで通り。昔と何も変らない」 「・・・・・」 目を瞑り、軽くため息をつく 「・・・・・・・・・ただ」 「ただ?」 「・・・・・・・・夢を見たの」 「夢?」 目元を細め、口元を柔らかく緩める 「 「・・・・・」 『暖かな時間』だった、と呟く・・・ 「私がいて、貴方達四人がいて・・・ふふふ・・・鬱灯もいたわね」 の言葉に、自然に天眠の取り巻く雰囲気も和らぐ と同じように湯飲みに映る自分を見つめ尋ねる 「・・・・楽しそうでした?」 「・・・えぇ」 「・・・・嬉しかったですか?」 「・・・えぇ、でも」 「でも?」 頬に暖かい何かが伝う・・・ 「・・・寂しかった・・・・」
「気がついたら、ここの屋敷の門を叩いてた・・・」 湯飲みから視線を外し、ようやく天眠の顔を見る 天眠も、そんなに「そうか」と答え残りのお茶を啜る * * * 夕日が半分ほど地平に沈んだ頃、は他の二人に挨拶をして、屋敷を出ようとする 「えぇっ?もう帰っちゃうのぉ?」 「もう少し、ゆっくりしてきゃ良いのに・・・」 突然現れた訪問者をよほど気に入ったのか、羅苑も架愁も、快くは帰してくれない そんな二人に深く頭を下げる 「ありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです」 屋敷の玄関を出ようとしているの後に続くように佳嗣も屋敷を出る 「私、そこまで送ってきます。後はお願いしますね」 玄関を通り屋敷の門を潜り、二人は決められた様に、小高い丘を目指し歩いていく なだらかな丘の天辺についたは二歩ほど後ろにいる天眠に声をかける 「・・・ここで、いいわ。ありがとう」 「・・・・・」 「突然、押しかけてゴメンネ」 「・・・フフ。の行動はいつも突然、でしょ?」 「・・・それもそうね・・・んじゃぁ、帰るわ」 天眠より距離をとり、胸元で祈るように手を組むと、の体を包み込むように白銀の輝きが溢れ出す 不意に天眠がを呼ぶ 「」 不思議そうに天眠を見つめ、言葉を待つ 天眠は少し、ほんの少しだが泣きそうな表情を浮かべ言葉を続ける 「・・・いつか、そう遠くない未来で、叶えられますよ」 「・・・・・?」 「その『暖かな・・・夢』・・・」 いつに無く照れている天眠 昔、共にいた時も『照れている』姿を見せることは稀で、だからも驚いた表情を見せる でも、天眠らしい・・・慰めてくれているような言葉に、自然と笑みが零れる 「・・・うん」 「そ、それと・・・」 「ん?」 今度は確りとから顔を逸らし、口を開く・・・ 「た、たまになら、『お茶の相手』してあげますよ 自身、滅多に、否、ここまで照れきっている天眠を見たのは初めてかもしれない。と断言できるくらい天眠は真っ赤になっている 特に・・・耳 時間は、人を変えるものだなぁ〜と実感しながらは天眠を見やる 「・・・天眠、ありがとう」 「・・・いつか、必ず会いましょう皆で」 陽の沈没と共に消え行くの姿 今度は互いの目を見つめあいながら『約束』を交わす 「「また、いづれ」」 青年の周りに輝きは無く、ただ夜の闇を白い月明かりが照らしている
「見つけたっ海堵!地補!!・・・って、気朴は?」
☆おまけ☆ 「結局、さんって、佳嗣の元恋人なのかな?」 「ただの古い知り合いではないな。雰囲気からして。架愁は知らないのか?」 「僕も知らない。つまり・・・」 「「これは、探りを入れるべし☆」」 ・完・ |