真白な部屋。

真っ黒な部屋。

いっそ目が痛くなるようなほど、純白さ。

頭の中が、壊れていくんだ。

その部屋の真中。

もう、どの位待っただろう。

天井にまで届くほど大きな卵形の何かがある。

あの子が、目覚める声がするの。
唯一僕を判ってくれた、あの子。
ちゃんと、約束したの。だから。

ドクンッ……

きっと僕を思い出してくれる。
きっと此処にやってくる。
きっときっと……。

この部屋全体を揺るがすほどに、ソレが震えた。

鐘は鳴る。始まりと終わりの鐘が。

「なにを怯えているのです……?」

僕が怯える? まさか。喜んでいるんだよ。

卵形のソレに寄り添うようにして座っていた男が、小さく呟いた。

ねぇ。あの子が来る前に、あの人は来てくれるかな?
あの子が来る前じゃないと、意味がないの。
来てくれなかったら、僕はこの身体を捨てるから。


ドクンッ……

最後の力を、全てあの子に。
僕の可愛い、海堵に。

もう一度、ソレが震えた。

やっと開放される。この不要な力から。

今度は、男に何かを伝えるようにして。

さぁ、早くあの子の記憶を起こして。
目を閉じたって、夢なんて見れない。
叶わないなら、コロシテ欲しい。
さぁ、一緒に数えようか。


…………目覚めのときがきた……

……終焉までのカウントダウンを……




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