真白な部屋。
真っ黒な部屋。いっそ目が痛くなるようなほど、純白さ。
頭の中が、壊れていくんだ。その部屋の真中。
もう、どの位待っただろう。天井にまで届くほど大きな卵形の何かがある。
あの子が、目覚める声がするの。ドクンッ……
きっと僕を思い出してくれる。この部屋全体を揺るがすほどに、ソレが震えた。
鐘は鳴る。始まりと終わりの鐘が。「なにを怯えているのです……?」
僕が怯える? まさか。喜んでいるんだよ。卵形のソレに寄り添うようにして座っていた男が、小さく呟いた。
ねぇ。あの子が来る前に、あの人は来てくれるかな?ドクンッ……
最後の力を、全てあの子に。もう一度、ソレが震えた。
やっと開放される。この不要な力から。今度は、男に何かを伝えるようにして。
さぁ、早くあの子の記憶を起こして。…………目覚めのときがきた……
……終焉までのカウントダウンを……