2011年05月31日(火)23:55
「…兄さんに、怒られそう」
ぽつんと少女が漏らした声は頼りなく、どこかすがるような響きを孕んでいた。
それを拠り所にしているのが透けて見えるようだ。
それが堪らなく気に入らなく、海動は思わず静子の頬をつかみ
「っぁ?!」
唇と唇を合わせれば、小さな悲鳴が上がった。
そういや、えらいおぼこいからな、こいつ。初めてかもしんねぇ。
どこか頭の隅から浮かんできた考えに、知らず興奮を覚え、海動は更に先に行為を進める。
相手に全く了承も得ないまま、唇から舌を割り込ませて、彼は無理やりに彼女の口内を蹂躙した。
「ん、やっ」
静子の嫌がる様子に、海動は少し気分を良くする。
悲鳴を上げて、こちらの胸を足りない力で押し返す抵抗を、自分がさせているのだと、思えばこそだ。
横井静子という女は強い。
世界を移動し、自分を知るものが一人も居なくなって尚、泣いた所を海動は見たこともない。
危機に面しても悲鳴も聞いたことがない。
おそらくとして、それは己のみならず、彼女に関わってきた人間全てに当てはまるのだろう。
容易く、それには予想がつく。
その彼女に、弱気な行動をさせているのだと思うと、酷く気分が良かった。
そうして、その気分の良さのまま、歯列を舐め上げ、舌を撫でるように絡ませると
潰すようにいつの間にか押し倒していた女は、目を潤ませて
ぽつっと水滴を目から流した。
「う………うぅー…!!」
そのまま、嫌嫌と静子が首を左右に振る。
そんな彼女の抵抗に、海動はなんとはなしに顔を上げ口を離した。
泣きまでするとは思わなかったから、なんとなく、だ。
そしてぱちっと瞬くと、静子はそんな海動の様子に唇を震わせて
続けて文句を言おうとした様子だったが、意味のある言葉は出ず。
代わりにひっくというしゃくりあげる声が部屋に響く。
「ひっひっく、う、うぅー……ひっ」
「うおっすげぇ泣き方だな、おい。そんな嫌かよ」
「い、やとか、そんな、じゃ、ひっ」
ぶるぶると目をこすりながら、目の前の少女が首を振る。
だが、明らかにその反応は嫌だったということだろう。
先ほどと同じ、弱気な反応であるけれども、今度は何故か気にいらず
海動は静子の頬を伝う涙をじっと見つめた。
何が、さっきと違うってんだ?
考えてみるが、考えるということは海動には向かない。
それどころか、イライラとしてきて自分がしたというのに
顔を隠して泣く静子に向かって、泣いてんじゃねぇ、顔を上げてこっちに面見せろよと
非道なことを思う。
なんという人非人ぶりか。
しかし、海動剣はれっきとした人格破綻者で、人非人なのだ。
故に、彼はこうすりゃ嫌でも顔見せんだろと、懸命に目を押さえ
泣き顔を見られまいと隠す彼女の震える唇に、もう一度自分のそれを押しあてる。
…効果はてきめんだった。
横井静子は顔を隠していた手をぱっと離して、ついで顔を赤く染めながら
ぱくぱくと金魚のように口を開閉する。
その口の動きを追っていくと、信じられないと動いていた。
さもありなん。
当然そうだろう。
だが、彼女が対峙しているのは海動なのだ。
彼はその彼女の反応を気にした様子もなく、僅かに首を傾げて
それから静子の口が開いた瞬間を見計らい、己の指を彼女の口の中に突っ込んだ。
「……っ?!」
「金魚みてえなことやってんじゃねぇ」
「だ、れがさせていると」
「俺」
突っ込んだ指を顔を歪め払いながら言う少女に、海動が悪びれもせずに答えると
静子は呆然という表情を浮かべた後、がっくりと項垂れる。
「……………も、なにがしたいの…」
その声は、非常に疲れきっていた。
当然だろう。
海動も、自分でも明確な理由すらつかめぬまま行動しているのだ。
その行動をぶつけられる彼女の方は、更につかめず困惑と疲労を覚えるだけに決まっている。
だけれども。
俯いたせいで、静子の首筋から髪の毛が流れ落ち、うなじがあらわになった。
綺麗な黒髪から覗く白に、海動はまたもや明確な理由をつかめぬままに欲情を掻き立てられ
「あ?……あー…犯りてぇ」
「っ!?ーっ!!」
何を言われているのか全く理解不可能だと、そういう表情をした相手の首筋に
海動は本能の赴くまま、噛みつくように歯を立てた。
2011年05月30日(月)23:22
「おい、横井!」
機体から降りると、下から海動が叫ぶ声が聞こえた。
視線を下におろすと、そこには機体の前に立つ海動の姿。
「…………」
反射的に口を開きかけた静子だが、すぐに彼の特性を思い出して
黙ったまま機体のコクピットから飛び降りた。
すると、彼は不満そうな顔をしながらこちらに向かい歩み寄り
静子の方に腕を載せて唸るような声で。
「んだよ、呼んだらすぐに返事しやがれ」
「そう言いながら、上から返事したら上から話すんじゃねぇって言うくせに」
「あぁ?」
近い顔に、かかる吐息。
おまけにこちらは一つも悪くないのに不機嫌そうな、恫喝するような低い声ときた。
思わず顔をしかめた静子が漏らした一言に、更に海動のガラの悪い顔に皺が寄る。
相変わらず、人の神経を逆なでるのが上手い男だ。
なんとなく相性が悪い男を相手に、簡単に静子のイラっとメーターはふりきれて
反射的にぼそっと言葉が口をついて出る。
「………………チンピラ」
「んだとぉ?!」
挑発的な静子の言葉に、まんまと乗せられて海動がいきり立つ。
しかし彼が彼女の胸ぐらをつかむ前に、割って入る人影があった。
こういう時には必ず現れる由木中尉、その人である。
「やめなさいよ。あんたがそんなだから静子もそう言うんでしょ」
「由木、突っかかってくる代表格のてめぇが言うんじゃねぇ!」
「突っかかってくる?!あんたがおかしいことするから
私が口うるさいこと言わないといけないんじゃないの!」
由木が割って入ったなら、もはや海動の目には静子は入っていない。
由木翼という女は、海動の目をそらすのに非常に役に立つジョーカーだ。
だから始まる、喧々囂々のやり取り。
ギャンギャンキャンキャン。
大型犬と小型犬が喧嘩するような、そんな騒ぎはスカルフォース隊のもはや名物といっても過言でない。
「…また始まった」
『ここ』に来てから幾度も繰り返される二人のそれに、自分が発端だというに
呆れの混じった気持ちを抱いて、静子は肩をすくめる。
その様子は計らずしも彼女が兄と思った人物に似ていたのだけれども
それが分かる人間はここには居ない。
代わりに、自らが発端であるというのに他人事の顔をしている彼女へ
向けられる笑いがあるだけだ。
「ふっ」
小さく洩らされた笑い声。
聞き覚えのある声に、そちらの方を向けば、そこには予想通り真上が腕を組んで立っている。
彼は、静子が視線を向けたのに更に僅かに口の端を上げて
「良いのか?お前が始まりだろう」
「由木中尉の仕事をとるのは気が進みませんので」
さらりと静子が返答を返すと、真上はそれを聞いた瞬間に
くっくと笑い声を洩らした。
珍しく。
「スカルフォース隊に随分馴染んだものだ」
そして続く言葉も好意的なものではあったが、いかんせん声色が皮肉的過ぎる。
素直に受け取れないその言いように、この人もなぁと面倒くさい気分で
静子は気がつかれないよう、こっそりと息を吐いた。
あぁ、あの素直にそのままやり取りを出来ていた場所が懐かしい。
しかしそうして思い返し懐かしんでいても、静子が現在所属しているのが
スカルフォース隊だということに変わりはないので、仕方なく彼女はそれはどうもと返そうかと思った。
「…………褒めて、いませんね?」
が、どうあがいても素直に返すと馬鹿をみそうなので、心の赴くままに言葉を発すると
真上は笑いながら肩をすくめる。
「言葉のままに素直に受け取ったらどうだ」
「その皮肉気な調子を何とかしてもらえれば、そうします」
「減らず口を言う」
「そういうとこ可愛くねぇよな」
のしっと、後ろから体重がかかった。
いつのまにやら近づいてきた海動が、静子の頭を肘置きに使っているらしく
旋毛辺りに結構な負荷がかかっている。
それに静子は眉間にしわを寄せたが、男の手は身をよじっても離れそうには無い。
一瞬、裏拳でもたたき込んでやろうかと思ったが、海動の身体能力は異常だ。
そうした暴力をふるっても、当るとは思えない。
むしろ、反射で殴られるオチが目に見えている。
それが堪らなく気に入らなくて、静子はやめておこうと思ったのに身をよじり
海動の手から逃れようとしたのだが、無論、逃れられるわけがない。
し、逃してくれるわけがない。
どうしてか静子をからかいたがる男は、そんな彼女の反応に面白そうに唇を歪めて
反対に彼女の体を抱え込んで、にひひと楽しげに笑うのだった。
「………セクハラですよ、海動さん」
「今さらだろ」
2011年05月30日(月)00:59
こてんと、女の頭が膝の上に乗る。
「…おい」
「ふぁい」
「寝んのかよ、ひょっとして」
「……んぅ…」
うにゃうにゃと口の中で何事かを言っているようだったが、到底意味のある言葉ではない。
普段のクールさが嘘のように、子供のような表情を見せる少女に
海動が軍人らしかねぇなと、お前が言うなの典型のような事を思えば
「…おねえちゃん」
ふにゃっとだらしなく顔をゆるませて、少女が笑った。
本当に幸せそうな顔をして。
年頃の少女らしい、柔らかな表情に海動は「うぅわっ」と正直な声を漏らし
静子の額に手を当てる。
そうすると、本当に寝てしまったのか、更に海動の膝に加わる重みがその比重を増した。
その事実に困惑を覚えながら、海動は膝で寝だした少女の名を呼ぶ。
「おい、横井」
「……」
「横井静子。お前、俺の膝で寝んのかよ」
「……ん…」
「………本気か?お前」
この少女の、この肝心な所での警戒心の無さが信じ難く、海動が思わず彼女の鼻をつまめば
静子は嫌そうに顔をゆがめた。
が、起きはしない。
相も変わらず、静子はくぅくぅと、よりにもよって海動の膝の上で
気持ち良さそうに寝息を立てている。
年頃の、十七の少女が男の膝で寝るなど、誤解されても仕方ない行為だ。
しかもそれを普段クールぶっているこの少女がやるというのだから、余計に。
だがしかし、そのような事をしながらも、彼女に他意は決してないのだろう。
眠たかったから、ずり落ちて、たまたまその下に海動の膝があっただけ。
そこに慕情だの何だのの感情は無い。
すべてたまたま。
ついでに言えば、襲われる心配も最終ラインではして無いのだろう、この少女は。
…全く。どうやったらこんなのが育つのやら。
海動が困惑するほどに、少女の最終ラインは、甘い。
その事が分かるから海動は、珍しくため息をつくと、諦めた表情で自身も瞳を閉じて
眠りの淵へと誘われることにしたのだった。
考えるのは自分の役目ではないし、ご親切に忠告してやるような人間じゃない。
そうしたならば、面倒くさいからこの状況では寝るに限る。
そういうことだ。
2011年05月30日(月)00:39
WSOには、事務職員も大勢いる。
また、情報分析員もそれなりに数はいて、その中の何割かは無論、女性だ。
後方支援系の職員には女性が多い。
これは男女平等が叫ばれ始めた頃からの黄金法則であり、この荒んだ世界においても
それは有効なのであった。
そしてどうしてこのような話をつらつらと静子が思い浮かべているかと言えば。
「………海動特務中尉って、それなりに格好良いわよねぇ」
「遠目で見るだけならね。でも私は真上中尉の方が良いなぁ」
「えー。あんたああいうすかしたタイプの方が良いのぉ?」
「あんたこそ、ああいういかにも肉食系な男が好きなわけぇ?」
罵りに半ば発展しそうな空気で女二人が姦しく喋っている。
作戦行動の指示を受けるため、本部へと足を運んだスカルフォースメンバーを遠目に見ての
事務職・情報分析員の女性たちの忌憚ないご意見が、食堂で飛び交わされているのだ。
あぁ、本人たちが未だ作戦行動指示中で良かった。
海動は、別段女に興味もないくせに、この女性達のやり取りを聞けば調子に乗るだろうし
真上はあからさまに鬱陶しがりそうだ。
本人たちの反応が分かりやす過ぎるから、静子は目の前に座る由木と二人
彼女達と目を合わさないように、黙って頼んだラーメンを啜る。
「…本部のラーメンって、あんまり美味しくないよね」
「うん。あんまりね」
目立たないように、小声で喋りながら、会話を交わす。
スカルフォースの中で『真っ当』な神経を持つ彼女との会話は楽で良い。
静子も静子で螺子が二本も三本も外れてはいるが
それでもスカルフォース、いやあの二人にはついていけれない。
ぶっとびすぎだよねぇ、あの二人。
元所属していた部隊も変人の集まりのような感はあったが、さすがにあの二人ほど
螺子の外れた人物はいなかった。
それを思えば、顔だけできゃあきゃあと騒いでいる女性たちへの
視線が冷たくなるのも、仕方がないだろう。
「ワイルドなのが良いんじゃない」
「クールなのが良いの」
未だ、言い争って入るけれど、そんなの無意味だ。
確かに顔だけ見れば、海動も真上も格好良いとは思うが。
………でも。なぁ。
結局のところ、人格破綻者だし。
とんだ世紀末野郎な性格をしている両者の性質を知っていれば、顔で騒ごうとは絶対に思わない。
おまけに、少し見ればその世紀末野郎な性質は、顔に十分表れているのだし。
騒ぐ人間の気が知れない。と言っても過言じゃあない。
少なくとも静子にとってはそうだ。
そうして、静子に次いで彼らの傍に在る由木の方も同じくな思いのようで
静子と彼女は視線を合わせると、二人揃って肩をすくめるのだった。
遠目から見れるって幸せですね。
2011年05月29日(日)23:46
びらっとスカートがめくられたのに、静子は無言で相手を見つめた。
「……あの、何してるんですか。海動さん」
「ん。中見てる」
女のスカートをめくり、この平然とした態度。
どうかと思う。
ただ、色めいた視線は感じない上、静子は軍服のミニスカートの下にショートパンツをはいているので
慌てることなく、彼の相棒たる真上へと救いの視線を送った。
「…………真上さん」
だけれどもニヒルクールと言えば聞こえはいいが、ぶっちゃけて非人道的に冷たい真上遼は
彼女の視線に、ひらりと手で追い払うような仕草をしただけで終わらせる。
「俺に振るな。その馬鹿のやることを俺が理解できると思うな」
「なんだと!真上このヤロー!!」
「………言われても仕方がないだろう」
「だってよ。軍人なんだろ、お前」
「はぁ、一応」
本当に、一応だが。
静子はDCから出向している身なので、正規軍人とは言い難いのだが
まぁ、一応軍の命令に従わなければならない、軍の部隊に所属しているので軍人でも間違いでは、無い。
ただ海動はその静子の答えに訝しげな顔をして、めくった静子のスカートをぺらぺらと動かす。
「つって、最初にも言ってたけどよ。
なのになんでこんなピラピラした制服着てやがんだよ、お前。
こんなもん着てたら、セクハラしてくれって言ってるようなもんだろうが」
「いや、そういうのはあったこと無いんですけど」
「マジでかよ。信じらんねぇな。つぅか、お前の所の部隊がお坊ちゃんお嬢ちゃんの集まりなのか」
「否定は、しませんが」
静子の所属していた部隊は、異様に若い人間たちの集まりだった。
まさに、お坊ちゃんお嬢ちゃんと呼ばれても仕方ない年頃の少年少女ばかりが戦って。
軍というよりかは学校と言った方が良いような年齢層の集まりだった部隊を思い出し
あそこでセクハラは発生しまいなと、静子は密かに苦笑した。
確かに、海動のいうとおり、静子の着ている制服は、上はきっちりとしたジャケットだけれども
下はミニスカートでまるで学校の制服のようで、歩くたびにひらひらと揺れる。
そのような制服を荒くれ者の多い軍の中で着ていれば
セクハラをしてください。とプラカードを下げて歩いているようなものだろう。
ただ、静子はαナンバーズという地球圏最強の部隊に所属した
その部隊のエースであり、かつDCの庇護下にあったから、表立ってそのような目に晒された事が無いだけで。
…ということは、とどのつまりここではその肩書きはないのだから、気をつけないと駄目ってことなのよね。
αナンバーズとDC。
ついでにサイコドライバー。
強力な傘を静子に与えていたそれらはこの世界には無い。
世界を超えた転移をしてしまったせいだ。
………だから、もうちょっと気をつけないとだめなのかな。
世界を超えてすぐにWSOに拾われて、それからスカルフォースに配属され
生活面では不自由せずここまで来れたが、これからはこちらに合わせた生活をしなければ、多分、駄目なのだ。
いつか、ただの小学生からパイロットへと無理やりにされた時のように
高い環境適応能力を発揮して、静子が身をここに馴染ます算段をしていると
太ももに、暖かな感触が当った。
その感覚に、意識を戻しもう一度視線を下に落とせば
海動は今度は静子の太ももに手を当てて、眉間を寄せ見つめている。
なんという紛うこと無いセクシャルハラスメント。
もういっそ、呆れの気持ちで男を見つめ、静子は海動を蹴ろうと足を動かしたが
その前にいともたやすく海動は、静子の足を掴んでその動きを止めた。
「んー。一応筋肉はついてんのか。わりとムキムキしてんな」
そうして口を開いた海道が言うたことと言えば、年頃の少女に言うことではとてもなく
静子はびきりとその額に青筋を浮かべる。
よりにもよって、お前。そう言うことを言いやがるか。
静子だとてパイロットなのだから、訓練をしていて
そのおかげで機体を動かす為の筋肉は、十二分に備わっている。
それはパイロットとしては誇るべき所なのだが、いかんせん年頃の少女としては
腹筋が六つに割れていたりだとか、太ももがちょっと太くて筋肉質だったりとか
そういう所は気になるものなのだ。
もっとぶっちゃけて言えば地雷なのだ。
それを堂々というかこの男。
全くもって見かけ通りにデリカシーが無さ過ぎる。
筋肉の付き具合を確かめるように、海動が静子の太ももに当てた手のひらを滑らせたのに
彼女は青筋を立てたまま、彼の相棒たる真上を振り返り
「…………真上さん、この人殴っていいですか」
「好きにしろ。俺にいちいち許可をとらなくても良い」
スカートを左手で持ち上げ、右手で静子の太ももを触る馬鹿を殴る許可を求めれば
いともあっさりとそれが出たので、彼女は右手を動かして
―海動がスカートを掴んでいた手を離し、静子の右手を捕まえたその瞬間
思い切り自身の頭をぶつけヘッドバットをかますのだった。
お前に悪意が無いのは分かるんだけど、いい加減にしとけよこの馬鹿。