史上最高のバツゲーム−18




私は優哉を待っている間に、真紀と携帯を通して連絡を取っていた。

真紀なら絶対的な信頼があったし、私が知った事を話しても大丈夫だろうと、全てを彼女に打ち明けた。

開口一番、大丈夫なの捺?という心配そうな声が聞けたのだけど、私が打ち明けた話によってそれは一変した。

耳から携帯を離しても漏れてくるほど絶叫する真紀。

それは優哉があのYUだという事に、ではなく、真紀の大好きな竜と直接コンタクトを取れるかもしれないからと言うもので。


さすがは真紀だ。

自己利益が優先してやがる。


竜と直接コンタクトを取れるように頼んでみる事を条件に、優哉の秘密は誰にも口外しないこと、そして今日は真紀の家には行かずに優哉と一緒に帰ることを快く承諾してくれた。

よかったね、捺。という言葉と共に。

真紀との電話を終えて暫くそこで待っていると、扉の向こうからYUの姿ではなく、見慣れた暗ダサキモ男の姿で現れた優哉。

見慣れた姿とは言え…カナリの豹変である。

前髪が鬱陶しいほど目に被さり、さっきまでお洒落に弄ってあった髪の毛は見事に寝癖へと変化し、背中はこの上なく猫背で。

おまけに服装は…もう、敢えて言わなくても分かるだろう。

この姿を見て、もしかして学校でのあの姿も今のようにワザとなのか、という私の問いかけに、優哉は笑いながら、あれは天然。と答えた。


天然て、あなた…

やる気がないのにも程があるだろう。


この恰好で堂々とホールを通りCLUBを出ても、誰も優哉があのYUだと気付きもしない。

私がまだファンの子数人が残る場所にある、ロッカーから荷物を出すときも、エレベーターに一緒に乗ってもだ。

黄色い悲鳴が聞こえるどころか、みんな優哉を避けるように顔を背け、なるべく距離を置こうとする始末。

こりゃYUが謎だらけなのも分かるな。と、なんだかおかしかった。

みんなさっきまで「YU!」と絶叫していたのに、そのYUが目の前にいるというのに優哉のなりを見ただけで避けている。

みんな、YUのどこを見ているのだろうと思えてくる。

やっぱり、あの女の子を魅了する外見が一番なのだろうか。


――――結局外見しか見てもらえてないんだってちょっと悲しかったりするんだけど…


以前、優哉がそう言った言葉を思い出していた。

外見がカッコイイからとYUの事を好きになる女の子。

外見が気持ち悪いからと優哉の事を毛嫌いする女の子。

私もそうだった…表面だけを掬い取って決め付けていた優哉のこと。

だけど、色んな優哉を知った今、そんな彼女達と一緒にはなりたくないと思った。

私は、岡崎優哉自身を好きになったんだから。


電車を降りて優哉のマンションへ向かって歩く途中、私は先を歩く彼のジーパンからはみ出たシャツをキュッと引っ張る。

「ん?捺…どうしたの」

私は振り返った前髪の隙間から覗ける優哉の優しい眼差しを見つめながら、にっこりと笑みを浮かべて見せた。


「優哉、私ね…YUの姿の時の優哉はすごくカッコよくて素敵だと思う。けど、私は今の優哉の姿の方が優哉らしくて好き…すごく好き」


優哉は私の言葉に一瞬驚いたような表情を見せてから、すぐに嬉しそうにはにかむ。

そして私の体を引き寄せて、力いっぱい抱きしめてきた。

「ひゃっ…ゆ、優哉?」

「ありがと…捺。そう言ってくれたの捺がはじめてだよ。なんか、すごい嬉しい」

「優哉…」

「好きだよ、捺…捺は僕の最高の彼女だよ」

「クスクス。私も優哉が好き…今までで一番の最高の彼氏」

そんな事を言い合い、お互いに見合わせて笑い合うと、引き寄せられるように唇を重ねる。

重ねるだけのものから次第に深くなる優哉とのキス。

いつの間にか私の腕は優哉の首に絡みつき、口内奥深くで絡み合わせるように舌が動く。

ここが道端だと言うことも忘れ、優哉とのキスに夢中になっていた。


「んっ…ゆ…やぁ…」

「捺…ヤバイ…」

「ん…?」


「今すぐにでも捺が欲しい…」


そう唇を離して耳元で囁いてくる優哉の声がすごく色っぽくて、思わずドキン。と胸が高鳴ってしまう。

優哉は私の返事を待たずに、体を離すと手を引いてマンションに向かって足早に歩き出す。

エレベーターが1階に下りてくるまでの間にキスをされ、乗り込んでからも壁に背中を押し付けられる形で熱いキスが注がれる。

充分すぎるほど、私の身体は優哉のキスによって熱く火照っていた。

あの時すぐに返事はできなかったけど、私も同じ気持ちだった。


私も優哉が欲しい…と。


優哉の部屋に辿り着き、なだれ込むようにベッドに2人して倒れこみ、求め合うようにキスを交わす。

角度を変え、唇を吸われ、優哉の舌が私の口内に滑り込む。

舌先でお互いの舌をなぞり、それを伝って奥まで進み絡み合わせる。

心地よいキス、うっとりするほどのキスに次第に私の息が上がり始める。


「捺…このまま、いい?」


耳元に、熱い吐息を吹きかけられるように囁かれ、私の身体がビクッと反応を見せる。

「ん…いい」

そう答えるのが精一杯だった。

何故か心臓がドキドキと高鳴り、身体が微かに震える。

こんな場面は幾度か過去にあったけれど、まるで初めてのように私は自分の体の震えを止めることが出来なかった。

今まで感じたことのない体の震え。

まるで全身が優哉を待ち望んでいたかのように、優哉が触れた場所から肌が粟立つ。


優哉の唇が私の首筋を這う。

優哉の指先が私の腿を滑る。

それだけで身体の芯が熱く火照り、自分の秘部が潤い出すのが分かる。


「捺…震えてる…怖いの?」


首筋を舌先でなぞりながら耳元までやってくると、耳朶を甘噛みしながら優哉が囁く。

それにも自然に肌が震えてしまう私。

ふるふるっと首を小さく横に振り、分からないけど震えるの…。そう小さく呟くと、私の服を脱がせながら優哉は嬉しそうに笑って、また耳元に囁いてくる。


「捺の肌が悦んでくれてるのかな?僕に触れられて」


あぁ、そうなのかもしれない。と思った。

初めて自分が好きだと思えた人に抱かれる。

それはこんな気分になれるんだと思うと、なんだか心の中がぽわっと温かくなった気がした。


「もっと触れて…優哉…私の身体にもっと…もっと優哉を感じたい…」

「心配しなくていいよ、捺。捺が嫌っていうほど感じさせてあげる…僕の身体…僕の心…どれだけ僕の中が捺でいっぱいなのか…教えてあげる」

「優っ…んっ…」


再び重なる優哉の心地よい唇。

私の唇を舌先で割って、優哉の舌が奥深くに入り込んでくる。

苦しいくらいの激しいキス。

熱いくらいに感じる優哉から与えられるキス。

それでもすごく優しいキス。


優哉の指先が手のひらが、私の肌を直に滑る。

滑らかな指先、温かい手のひらが私の肌を撫で、私を夢の世界へと導いていく。

優哉の唇が首筋を這い、胸の膨らみに添って熱い舌が肌を撫でる。

優哉の熱い息が私の肌を撫で、敏感にさせていく。


「ぁっ…ん…ゆう…やっ…」


優哉は私の両手を束ねて頭の上の部分で軽くベッドに押さえると、ピンと張った胸の蕾を口に含んでチュッと音を立てて吸い上げる。

同時に、ビクッと震える私の体。

優哉は更に胸の蕾を舌先で転がし、あいている片方の手で、もう片方の胸を優しく包み指先で弄る。


「ぁんっ…あっ…あぁっ…優哉っ…んっ…」

「すごく可愛い声…もっと聞かせて?捺…」


優哉はまた肌の上に唇を這わせながら耳元まで戻ってくると、そう、熱い息を吹きかけるように耳元に囁いてくる。

その声にさえも刺激されて、どんどん私の身体が熱く火照り、自分の秘部が潤いを増すのが分かる。

優哉は軽く啄ばむようなキスと、舌を絡める熱いキスを繰り返しながら、胸に触れていた手を私の肌を舐めるように指先を動かしながら、下腹を通り、内腿を軽く撫でて秘部に指をあてがう。

ビクッとまた震える私の体。

優哉の指が触れただけで、蜜が増したような気がした。

ゆっくりと優しく優哉の指がミゾに添うように秘部を撫でる。

それに合わせてどんどん溢れ出す私の蜜。

身体の芯が熱く火照り、疼きだす。


こんな…触れられただけで気持ちいいだなんて思ったことないのに。


「捺?どんどん溢れてくるね…まだ中に入れてないのに、これだけでも気持ちいい?」

「あっ…んっ…ん…気持ち…いっ…」

「そう?じゃあ…もっと気持ちよくしてあげる…」


そう色っぽい声を聞かせて、角度を変えて優哉の指が中に入ってくる。

最初はゆっくりと、中を解すように円を描くように。

そしてそれは徐々に内壁を擦るように、私の身体が敏感に反応する場所を探るように激しいものへと変わっていく。

くちゅっくちゅっと指の動きに合わせて卑猥に漏れる水音。

私の意識も徐々に高波へと誘い込まれていく。


「捺の中、すごく気持ち良さそう…僕の指をぐいぐい締め付けてくる…こんな中に這入ったら即アウトかも」

「やっ…ゆうっ…あぁんっ…あっ…あぁっ…ダメっ…そんな…イっちゃうんっ…やぁぁんっ!」

「いいよ、イって?可愛いよ、捺…すごく色っぽい…」


優哉はそう言って、私の首の下に腕を通して肩を抱き寄せると、色っぽい視線で私を見下ろしながら更に激しく私の中を指で刺激してきた。

痺れる肌、高揚する自分の身体。

私は腕を伸ばし、優哉の髪の毛を鷲づかみにするように握ると、彼から与えられる快感の波に、身体を捩り甘い声を響かせた。


「いやっ…いやっ…イクっ…いやぁんっ…あぁっ…優哉っ…優哉ぁぁっ…」

「ヤバイ…今の顔…もっと見せて?その顔…僕だけが見れるその顔を…」

「あぁっ…あぁぁあんっ…ゆ…やぁぁっ!!もっ…ダメ…あぁぁっ!!!」

「捺…ホント、すごく可愛い…このまま軽く先にイカせてあげるね…」


そう、色っぽい声が耳元から聞こえたかと思った瞬間、私の中を弄(まさぐ)る指が角度を変えて更に激しいものへと変わった。

優哉からの激しい刺激に、途端に目の前がスパークし、ガクガクっと自分の身体が震えると同時に、私は優哉の頭を引き寄せ自ら激しくキスをせがんだ。

彼もそれに応えながら、ギュッと私の体を愛しそうに抱きしめてくれた。




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