『はぁっ…はぁっ…もっとイヤラシイ音立てて…そうっ…』 『じゅるっ…んぱっ…ぐじゅっっ…じゅるじゅるっ…』 なっ… 『はぁっ…いいねっ…んんっ…可愛い顔して…俺の ピーッ 、しゃぶってるよ…』 『じゅるるっ…くちゅっくちゅっ…』 な、ななっ… 『あぁっ…はぁっ…んっ、も…出そう…いいよっ…あぁっ…うぅっ…』 『くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ…んっ…じゅるぅっ…ぐちゅっ…』 『あぁぁっ…はぁぁっ…もっと吸って?いいよっ…あぅぅっ、イクッ ピーッ から出そうっ…あぁぁっ…あぁぁっ! 出すよ?出すよっ…あぁうあぁっ…プチッ────』 なっ…なっ…なんじゃこりゃぁぁあっ!!! 私は自分の部屋で、火を噴出しそうなほど真っ赤な顔をして、ヘッドホンを耳にあて、リモコンをテレビに翳した姿勢で、何故か息を荒げながら暫く固まってしまった。 ドキドキする…というか、心臓がバクバクしてる。 そう…見てはいけないものを見てしまった。みたいな… なに、コレ…。なんなんですかっ、これはっ!? 昨日、蒼斗先輩が、次の特権をやるための予習みたいなものだ。なんて言って、この背表紙も何もついていないビデオテープを貸してくれたんだけど… 見るときは、ヘッドホンしたほうがいいぞ。って言われたから、そうして見てみたけど… これって、所謂そのっ…エッチビデオ?! ぎえぇぇっ。そうだとわかっていれば見なかったのにぃっ。 いや…蒼斗先輩の言うことは絶対だから、わかっていても見ていたと思うけれど… 先輩…なんてものを貸してくれたんですか。 はぅっ。と、ため息を漏らし、私は力なくリモコンを持った手を床に置いた。 画面に映し出されていた映像が、消したあとでも目に焼きついて離れない。 ヘッドホンから直(じか)に届いた、生々しい音や声が今も耳に響いている。 私には、まだまだ強すぎる刺激。 でも先輩は、これは次の特権をやるための予習みたいなものだと言った。 つまりは… つまりは、次は私にコレをやれと言うのですかっ!? むっ…無理。絶対無理!これだけは、ぜ〜ったいに無理ですってば!! 私が、その…先輩の、ごにょごにょをああするってことでしょ…?? ひゃぁぁっ。もう、考えるだけで頭がおかしくなりそうだってばーっ!! 私は一人、消えたブラウン管を見つめ、泣きそうな顔になっていた。 「こっこれ…ああありがとう、ござい、ました…」 いつもの工場まで、いつも通りコッソリと誰にも見つからないように蒼斗先輩と一緒に来て、私は真っ赤に頬を染めながら、カバンから紙袋を取り出し、それを先輩に差し出す。 「ククッ。お前レベルだとかなり楽しめただろ?最後までちゃんと見たかよ」 そう言って、ニヤリとした笑みを浮かべながら先輩がそれを受け取った。 楽しめるもなにも…途中で気を失いそうでしたよ。 「さっ、最後までは…ちょっと…」 「な〜んだよ。最後のほうは、3人の男にヤラれまくってすげーことになってんのに。それ、見なかったのか?」 さっ…さんっ!? あーで、こーでと、簡単に説明してくれる先輩の言葉に目を白黒させながら、見なくて良かった。と、心底思った。 って、言うか。それこそが予習とか言うんじゃっ!? 若干、身を硬くして先輩を見ると、それに気付いた彼がおかしそうに笑う。 「あははっ!なに。もしかして4Pやられんのかと思って警戒してんの?ククッ…予習のためにとは言ったが、いくら俺でもそこまで鬼畜なことしねえって。まあ…里悠がお望みなら別だけど?」 「のっ望みません!そんなことっ!!」 4Pの意味がいまいちピンとこなかったけど、話の流れからその内容を指してのことだとわかったから、力いっぱいにそう訴えると、そ?ざ〜んねん。なんて、カバンに紙袋をしまいながら先輩が少しからかうように言う。 「あの…先輩って、ああいうビデオ…よく、見るんですか?」 「ん?あぁ、たまにな。でも、こういう表のモノはイマイチ乗れねえから裏のほうを、だけどな」 「裏?」 また意味不明な言葉が出てきた… 「お前に貸してやったコレは、モザイクとかピー音が入ってたろ?それがないヤツってこと」 今度、貸してやろうか?なんて、先輩が言うもんだから、思いっきり首を横に振った。 それだけでもぶっ倒れそうだったのに、更に過激そうなモノなんて絶対に見れない。 大袈裟なほどに首を振る私の様子に、先輩は、見たくなったら言えよ、いつでも貸してやるから。と、おかしそうに声を立てて笑った。 絶対に言いません。 って、言うか。それを見て、先輩はどうするんですか?という疑問が浮かぶ。 ああいうのって、男の人にとっては見ているだけでも面白いものなんだろうか…。 何が楽しいんだろう?私には全く理解ができないよ。 でも…自分の部屋で、あんなビデオを見てる先輩。 以前なら、絶対に想像できない姿だったけど、今なら出来てしまう気がするその姿。 硬派で凄くカッコよくて人気者で、私の憧れだった蒼斗先輩。 なのに、彼のマスコットになってからどんどんそのイメージが崩れていく… 逆に、先輩は本当はエロ大魔王で、更に今回ムッツリスケベというイメージが加わってしまった。 だけどね… だけど、やっぱり好き。傍に居たいって思ってしまう。 どんな姿でも、どんな先輩でも、やっぱり私は蒼斗先輩が好きなんです。 そう思う私って、相当重症ですか? 「ところで、里悠」 「あ、はい…」 「このビデオ、最後まで見れなかったにしろ途中までは見たんだよな?」 「え……あ、はぃ…」 恥ずかしくて、思わず尻つぼみになる私の声。 「って、ことは。今回の特権が何かってことは、大体想像できてるよなぁ?」 意地悪く笑う先輩の素敵すぎる笑顔を見て、頬がまた紅く染まり顔が俯く。 「あ、の…その…ハッキリ…とは…」 「そ?じゃ、ハッキリ言ってやろうか?」 「え…」 先輩は私に歩み寄ってくると、身を屈めてコソッと耳打ちしてくる。 ────俺の、舐めろよ… 「……………っ!?」 ボッ。と、音を立てて、また更に茹ダコのように顔全体が紅く染まった気がした。 いや、あのビデオを見て、そうかもしれない。という構えはあった。 だけど、実際に先輩の口から聞かされると、やっぱりたじろいでしまう。 「あっ、あの…でででもっ…」 「デモもストもねえの。俺が言ったことは絶対だって言ったよな?」 「あぅっ…はぃ…」 「大体、この特権に進むまでに、散々お前の身体舐めて気持ちよくしてやったろ?今度は俺の番だって言っても、お前には拒否する理由はないと思うがな」 はぅ。仰るとおりでございます… 3つめの特権…先輩が私の身体を舐めること。 それは、あの日だけでは終わらなかった。 もう少し慣らしてやると言って、あのあとも、何度かその特権を与えられて、数えきれないほど意識が飛んだ。 自分の身体が、先輩から与えられる快楽を覚えてしまったんじゃないかと思うほどに何度も… だから今回の特権は、私が先輩にしてあげること? そうだよね。私だけ与えてもらうばかりじゃダメってこと…だよね…。 私は、ギュッとスカートを握り締め、ある決意を胸にゆっくりと視線を蒼斗先輩に向けた。 「あ、あの…頑張り…マス…」 それに先輩は満足そうな笑みを見せると、そうこなくっちゃな。と、呟き、ソファに腰掛ける。 「あぁあのっ…それで私は、どうすれば…」 「ん?とりあえず…脱げば?」 「え…どうして…」 何故に私が脱ぐんですか。 今回は先輩が脱ぐんじゃ… 「どうして?決まってんだろ、触ってやるからだよ」 「えっ、えっ!?」 「お前、チェリーのクセに感度がいいからな。弄ってると面白いから、触ってやる」 ……面白いからって。 その意味をどう解釈したらいいのかわからないけれど、先輩が言ったからには脱がなきゃいけないのはもう、わかってる。 まるで、餌付けされたペット。 褒美をやるから、言う事を聞きなさい。みたいな。 だけど、これが私の選んだ道…なんだよね────特権を与えてもらう代わりに、先輩のマスコットになるって。 無知だった私が先輩からの特権によって、色んなことを覚えたし、どんどん自分が変わっていく。 今日の特権で、きっとまた私は別の私になってしまう。 先輩好みだという、エロい女の子に……それでもいい? うん、それでもいい。先輩が私を見てくれるなら。 先輩が私を特別だと言ってくれるなら、どんな女の子になっても構わない。 頬を紅く染めて、俯きながらもブラウスのボタンを外し始めた私に、先輩が、やっと自分から脱げるようになったか。と、ソファに背中を預ける。 本当はもの凄く恥ずかしい。 出来る事なら、今すぐにでもこの手を止めてしまいたいくらい。 でも、そうするとまた、出来ないならいいよ別に。次を…って言うでしょう? それだけは絶対にイヤ。 先輩の特別でありたいから…恥ずかしくても必死で頑張っているんです。 それが少しでも、先輩に伝わっていたらいいな。 パサッ。と、軽い音を立ててブラウスが床に落ちる。 続けて、少し間をあけてスカートが同じように床に落ちた。 だけど、それ以上先はどうしても手が伸びなかった。 はっ、恥ずかしすぎる。もももう、私には限界ですぅっ!! 恥ずかしさのあまり、薄っすらと涙を浮かべながら先輩を見ると、クククッ。と、含み笑いを洩らしながら手招かれた。 「まあ…お前にしたら上出来だな。そこまでで許してやるよ」 自分の元までやってきた下着姿の私を、上から下まで流し見る先輩。 それだけでも、実際に触れられているようで身体が熱くなった気がした。 「言いつけどおり、俺と会うときはそういう下着にしてるのな」 「………はぃ」 私には大人すぎる色っぽい下着。 先輩に買ってもらったセットに加え、少しだけバリエーションが増えた。 もちろん…先輩も一緒に選んだ下着、だけど。 先輩に見られていることに、モジモジと視線を彷徨わせていると、ククッ。と彼が笑い声を漏らし、自分の親指に軽く歯を立てた。 「おまえ、本当に俺の言うことなら何でも聞きそうだよな…なあ、ところで里悠?乳首、勃ってっけど脱ぐだけで感じちゃった?」 「えっ?ややっ!そそそんなことっ…」 慌てて胸を両腕で隠ししゃがみ込むと、頭上から先輩の笑い声が落ちてくる。 そこまで笑わなくてもいいのにぃ… 泣き出したい衝動を何とか堪えていると、先輩がソファから体を起こして前かがみになりながら、私の顎を指先で掬い上げた。 「なに、泣きそうな面してんだよ。俺はそのほうがいいって言ってんだから、恥ずかしがる必要なんてねえだろ?でもまあ、そうだな…お前、今日はちょっと頑張ったから、特別にプラス褒美をやるよ。舌、出せよ」 「え……」 え…今、ちょっと頑張ったからって、言ってもらえた? 特別にプラスご褒美もくれるって…? 先輩、私が恥を忍んで頑張って脱いだってこと、わかってくれているんだ? なんか…嬉しいかもしれない。 単純な私はそれだけでも嬉しくなって、優しく微笑みを向けてくれる先輩を見上げながら、おずおずと舌をチロっと出した。 ホント従順なヤツ…。と、呟き、先輩がフッと軽く鼻先で笑う。 そして、そのまま顔を近づけてくると、顔を傾け瞼を少し伏せた。 その表情がまた凄く色っぽくて… 思わず見惚れてしまうほどに、カッコよかった。 先輩は、私との顔の距離を縮めてくると、自らも舌を出して、私のそれに触れてくる。 舌先が触れ合い、先輩の舌が私の唇ではなく舌自体を舐めるように艶かしく動く。 そして、その私の舌を唇で挟み込むと、更に引っ張り出すようにチュプッと音を立てて吸い上げた。 舌を絡ませながら、時折それを吸い上げるように唇を這わす動作を繰り返す先輩。 頭がクラクラした。心臓が破裂しそうなくらいドキドキした…こんなキスもあるなんて、って。 「里悠…こうやってしゃぶれよ?」 じゅるっと音を立てて、先輩が舌を吸う。 「っ……?」 「俺の、舐めるとき…」 えっ!? という、私の戸惑いの声は、そのまま重なってきた先輩の唇によって奪われてしまった。 「んっ…んっ…」 先輩と、こうして大人なキスをするのはもう何度目になるだろう。 初めての衝撃的なキスからはじまって、戸惑いながらも2回、3回と回数を重ねて。 数を覚えていられたのは、それからの数回まで。 だから、これが何度目かなんてもう、私にはわからない。 だけど、戸惑いだらけだった先輩とのキスも、今では体が覚えてしまって、意志とは関係なく自然に応えている私がいる。 ────随分成長したじゃん。 蒼斗先輩はもう、そんな言葉をかけてはくれないけれど、私とのキスを気に入ってくれている気がする。 それは、単なる私の自惚れかもしれないし、勘違いかもしれない。 でも、なんとなく…最近のキスは、初めの頃のキスとは少し違うような感じがする。 何が?って聞かれたら、答えられないんだけど、お前からしてこいよ。と言われる回数より、先輩から重ねてくるキスのほうが多いような気がするからかもしれない。 あくまで気がするだけ、です…はい。 口内で舌を絡ませ、零れそうになる唾液を吸い上げながら、唇を吸いあう。 以前の私なら考えられない姿。 慣れというものは怖ろしい…。 「里悠…俺のシャツのボタン、外せよ…」 キスで頭の中がボーっとし始めた頃、先輩の両手が私の胸の辺りをサワサワと彷徨いだし、キスの合間に色っぽくそう囁かれる。 「んっ、せんぱっ…やっ…ぁっ…触ったら…ボタン…外せ、ない…んっ!」 ソファに座る先輩の脚の間で、床に両膝を立ててキスをしていた私。 先輩の言葉に従うように、腕を伸ばし彼のシャツに手をかけたけれど、キスと胸への刺激に体が反応を示して指先が上手く動かせなかった。 「触るって言ったろ。ココ…お前の敏感ポイントの一つだもんな?」 少し唇を離し、口の端をあげて意地悪く笑みを見せながら、先輩は人差し指を使って私の両胸の蕾を擦るように細かく振動を与えてくる。 「あっ、あっ…イヤッ…あぁっ…せんぱぃっ…あぁあっ…いやぁんっ…」 途端にビクビクッと電流が走ったような痺れが走り、体が捩れて鼻から抜けるような甘い声が漏れる。 思わず、そのまま先輩のシャツをギュッと掴んでしまった。 「クスクス…相変わらずいい反応。お前のその『イヤッ』って声、結構気に入ってるから聞いてやるけど、やめてはやらない。ほら、手…止まってんぞ?早くボタン外せよ」 「んんっ…でもぉっ…あ、やんっ!」 こういう時、本当に先輩は意地悪だと思う。 身を捩りながら、刺激に耐えながら、必死で先輩のボタンを外そうとする私の様子を楽しむように、先輩は両胸の蕾を弄ったり、首筋に舌を這わせたりしながら、私の弱い部分を攻めてくる。 たった数個のボタン。 普通なら簡単に数秒で外せてしまうボタンなのに、最後の一つを外し終えた私の息は、先輩からの刺激により完全にあがりきっていた。 「外し…ました…」 「そ?じゃ、ついでにベルトも外して、チャック下ろしといて」 「……え゛っ!?」 なんてことをサラリと仰られるんでしょうか… 「そこがメインなんだから、外さなきゃ始まんねえだろ?」 メインって!そそ、そうかもしれないですけどっ… でもっ…。と、言いかけてやめた。 そう、先輩が言うようにこれが今日の特権。 そして私には拒否権が…ない。 私は逸る鼓動を抑えつつ、慣れないベルトを外すと、チャックをジ、ジッと詰まらせながらなんとか引っ張って下ろした。 「お…おろし、ました…」 その言葉を合図に、先輩は一旦私の体から手を離し、ゆっくりと体を倒して少し腰を落し気味にソファに背中を預けた。 肌蹴たシャツ、そこからチラリと見える先輩の肌。 ベルトが外され、チャックを下ろした制服のズボンの隙間からは、紺色の生地が少し見える。 いっ色っぽすぎる… 思わず、ほぅ。とため息を漏らしながらその姿に見惚れてしまった。 色気さえも感じるその姿は、どこかの芸能人さながらに絵になる。 先輩の写真集出したら絶対売れると思う。と、本気で思ってしまった。 先輩は、髪を軽くかきあげるとそのまま私と視線を合わせてくる。 「今日の特権…俺のカラダを触らせてやるってことで。お前の好きに触っていいぜ?ただし…俺が気持ちいいと思うようにな」 「ほっホントですかっ?」 カラダを触らせてやるだなんて、なんともイヤラシイ響きだけど、興味がないわけじゃない。 あ、いや…変な意味じゃなくて。 だって、制服の上から先輩に触れることが出来る女の子はいっぱいいるだろうけれど、制服の下の肌を直(じか)に触れられるのは、今はきっと私だけだと思うから。 ちょっとだけ優越感を感じられた。 だから、私の顔もつい綻んでしまう。 「なに嬉しそうにニヤけてんだよ。そんなに嬉しいか?オトコのハダカに触れることが…クスクスッ。エロい女」 「ち、ちがっ…。先輩…の、だから…その、嬉しくてつい…」 「ふーん…俺のだから、ねぇ。まあ、そうだろうなぁ。お前は俺に惚れてるわけだし?制服の下なんて誰でも触れるわけじゃないから、そりゃ嬉しいわな?」 「はいっ!」 殊の外元気よく返事をすると、先輩は小さく笑い声を洩らしながら、思いっきり尻尾振って喜んでる子犬。と、呟いた。 なんとでも言ってください…きっとその通りだと思いますから。 じゃ、触れば?という先輩の言葉を受けて、私は先輩の肌に恐る恐る手を伸ばす。 今まで私ばかりが脱がされて、一度も見たことがなかった先輩の肌。 いいのかな、見ても。触っても本当にいいのかな… そんなことを思いながら、ぴとっと人差し指で、先輩の胸の辺りの肌に触れてみた。 気持ちいいと思うようにな。という先輩の言葉をすっかりと忘れて… かっ…感動。先輩の肌に触れてるよ、私の指が触れてるよーっ!! もう、これだけでも充分に私は満足だった。 だけど… 「なにやってんの?」 という先輩の呆れたような声に、感動の空間からちょっぴり引き戻されてしまった。 「え…なにって…」 触ってますけど…? きょとんと首を傾げる私の様子に、先輩は空(くう)を見あげてため息を漏らす。 「そんな触り方じゃ、俺、気持ちよくなんないけど?」 「え…あっ!す、すいません…どう、触ったら…?」 「自分で考えたら?俺がお前をどう触ったか、どうしたら俺を気持ちよくさせられるか…チェリーのお前に最初から期待してねえから、思うように触ってみろよ」 「ぁ…ぅぅ…」 なんと難しい課題を出すんですか… どうしたら先輩を気持ちよくさせられるかなんて。そんなの私に分かるはずが…。 うぅ…。と、唸りつつ固まっていると、先輩が自分のシャツを掴んで、バサッと開け広げた。 完全に晒された先輩の引き締まった肌。 肩口まで露になって、更に色っぽさが増す。 「俺をその気にさせてみろよ。お前を押し倒して襲いたくなるくらいにな…」 どっひゃぁぁっ。ばっ爆弾発言!? その気にさせてみろって…押し倒して襲いたくなるくらいにって… まっ益々どうしたらわからなくなったし、心臓がバクバクしてきたんですけどーっ!! パニック状態に陥った私の様子に、ククッ。と意地悪い笑みを浮かべ、先輩がポツリと付け加えてきた。 「っていう気持ちでやってみろってこと。言ったろ、期待してねえって。俺をその気にさせるなんて、お前にはまだまだ早ぇんだよ。間違っても今日、押し倒すなんてことにはならないから。イチから順に教えてやることがマスコットになる時の条件だったろ…特権としてな。だからお前はその特権を確実に体に覚えこませて早く熟れろってことだ」 あ…なんだ。そういうことか。 そうだよね?私なんかが最初から先輩をその気になんかさせられないもん。 ちょっとホッとしたかも。 先輩の言葉になんとなく納得し、少しだけホッと胸を撫で下ろせた私。 今のこの現状をやり取りするのが精一杯で、この先のことだとかを考える余裕すらなかった私は、この特権の行き着く先を、まだハッキリとは把握できていなかった。 先輩の先導を受けながら、自分でもどうすればいいかなどを知識のない頭で考えつつ、手と唇と舌を使ってたどたどしくも彼の肌にそれらを滑らせる。 信じられなかった。 自分がこうして先輩の肌に触れていることが。 でも、幸せだった。 手や唇に、先輩の肌の温もりを感じられることが。 ゆっくりと時間をかけて先輩の肌に触れ、その場所が徐々に下に移っていく。 首筋から胸へ…胸から鳩尾(みぞおち)へ…そして、鳩尾(みぞおち)から下腹部へ。 おへその辺りやわき腹の部分を、丹念に唇と舌を使って刺激を与える。 意外にも落ちついていたように思う。 優しく私の髪を撫でてくれる先輩の手の感触が心地よくて、落ち着かせてくれていたからだと思う。 だけどそれも、もう終わり。 先輩の次の一言が、私の鼓動を急速に逸(はや)らせた。 「里悠…俺の、そこから出して」 ごくん。と、喉が鳴った。 先輩と私の視線が同じところに集まる。 制服のズボンのチャックが開いている、そこから見える布地の下に隠れているそれ。 どれ?なんて探さなくても、見た目的に一目瞭然で。 いっ、いよいよ… 私の喉が、ごくん。と、再び鳴った。 |