*恋は突然に… 俺は2人の処理を手早く済ませると、智香さんの横に寝転び彼女の身体を抱きしめる。 凄く触り心地のよい肌・・・離したくない。 体を重ねた今、俺は幸福な気持ちでいっぱいだった。 「忘れさせてやるよって言ったのに・・・俺の方が余計に忘れられなくなった。」 「秀・・・。」 「智香さん、俺本気だから。何があっても離れない自信があるから。好きだから、ずっと。」 「私は秀を利用することになるのよ?それでもいいの?」 「あぁ。俺が言い出した事だからね。それでも俺は智香さんが好きだから。傍にいたい。」 利用してくれたって構わない。それで智香さんの気持ちが癒えるなら。 俺の気持ちは必ず届くはずだから・・・・・。 抱きしめた腕に力を入れると、智香さんもそれに答えるように俺の体に腕をまわす。 「・・・ね、この商品の保障期間はどれくらい?」 突然智香さんの口から発せられた言葉。 最初何の話をしているのか分からなかったけど――――『・・・俺を買ってよ。』 あぁ・・・そういう事か。 俺は満面の笑みを智香さんに向け、もちろん、永久保障。と囁く。 自信を持って言える――――この先ずっと俺は智香さんの傍にいる。 「クスっ。じゃあ、契約させてもらおうかな。ただし、8日間はクーリングオフ効くのよね? 頑張って商品の良さを見せてもらわないと。」 マジで?本当に・・・? 俺は心の中でガッツポーズを決める。 「任せて。じゃ、契約成立ね。8日間で俺の虜にさせてみせるから。絶対後悔はさせません。」 そんなやり取りに俺達は顔を見合わせて笑った。 ――――智香さんが25歳を迎えた今日この日。 俺も智香さんと共に人生最高の日を迎える事になった。 傷心につけこんで5年来の想いを遂げた卑怯な俺・・・彼氏を忘れる為に俺を利用しようと決めた 弱い智香さん。 始まる形はおかしいかもしれないけど、こんな始まりだってあってもいいと思う。 これからお互いを知ればいい。これからお互いの気持ちを理解していけばいい。 来年の智香さんの誕生日でもある俺達の記念日には絶対幸せな2人がいるはず。 今回の誕生日は特別な事をしてあげられなかったけれど、来年の今日は・・・・・。 ・・・・・思いっきり豪勢にいくのも悪くないよな。 何てたってすっげぇ記念日なんだから。 でも今しなくちゃいけないことは・・――――。 「あ、智香さん?」 「ん?何?」 「誕生日おめでとう。今度の休み一緒にプレゼント買いに行こうね。」 + + 『 秀編 』 Fin + +
|