〜 愛してる 〜




今日は会社の1泊2日の親睦旅行なんだ。

会社って言っても課ごとに個別に行われるものだから、旅行に参加するヤツは毎日見慣れたツラばかり。

何が嬉しくて親睦なんてしなくちゃなんないんだ。

一泊旅行するぐらいなら、休みをくれっつぅの。

そしたら優里と一日一緒にいられるのに……。

ここんとこ忙しくて土・日も関係なく現場に呼び出され、優里との休日を満足に過ごせない日が続いてる。

結構フラストレーション溜まってんぞ?

天気は梅雨時だと言うのに、恨めしいくらいのピーカン晴れ。

俺の日頃の行いがいいのか悪いのか。

はぁあ、めんどくせぇ。

俺等は宿に着く前に日本庭園だか何だか知らないが、立派な建物の前でバスを降ろされて否応ナシに中に連れて行かれる。

ぞろぞろと連れ立って中に入り、館長らしき人物が中の説明をし始める。

俺は少し離れた場所に立って、タバコを加えジッポで火をつけた。

同じようにタバコを吸いにやってきた木下が、フー。と煙を吐きながら灰皿を挟んで俺の前に立つ。

「はぁあ。めんどくせぇよな、奥田。」

「な〜にが嬉しくてお前なんかと旅行になんぞ来なきゃなんねんだろうな、木下。」

「あー、それ同感。俺もお前とだけは来たくなかったよ。」

お互いに憎まれ口を叩きあい、煙を口から吐き出す。

「あー、そういえば奥田。今日の夜って宴会だろ?いいのかよ。」

「あ?何がだよ。」

「中里。あいつ酒癖悪いじゃん…色んなヤツに絡んでくんじゃねぇの?」

俺はゴメンだけどな。と付け足して、煙を肺に送り込む。

どうやら木下はあの一件以来、優里の事はきっぱり諦めたらしく、最近じゃ経理の女の子を追い掛け回してるらしい。

俺は灰皿にタバコを押し付けながら、同じ事務員達と盛り上がってる優里に視線を向ける。

あいつ…事務員と一緒の時は極力俺と話す事を避けてやがるから、今日はまだ一言も喋ってない。

まぁ、あいつなりに気を使ってるらしいから、敢えて俺も話しかけないでいるけれど。

「優里には酒は飲ませねぇよ。タチ悪いからな、あいつが酔うと。」

「あぁ、マジタチ悪いよな。」

「お前が言うな。」

俺の言葉にクスッ。と小さく笑ってから、けどさー。と木下が続ける。

「支店長とか他の営業とかってアイツが酒癖悪い事知らないだろ?結構中里ファンが多いから、飲まされんじゃねぇの?」

「絶対させねぇ、そんな事。」

「お前さー…」

「何だよ。」

「中里にゾッコンラブだな。」

……………死語だ、木下。

とりあえず木下の言葉に、うるせぇよ。と返し、今日の宴会は優里に一滴も酒は飲まさないと心に誓う。




一行は旅館に着くと、それぞれに割り当てられた部屋に行き、各々夜の宴会時間まで自由な時間を過ごす。

部屋に着いて一番に出た言葉。

「また、木下と一緒かよ。去年も同じ部屋だったよな?」

「お互い様。何が嬉しくて奥田と添い寝しなくちゃなんないんだっつぅの。」

「添い寝なんぞお断りだ!お前、あっちの端っこで寝ろよな、俺もこっちの端で寝るから。」

「わぁってるよ、俺だってゴメンだっつぅの。あー、でも今日は俺、この部屋に帰ってこねぇかもしんねぇ。だから、鍵はお前に預けとく。」

「はぁ?何でだよ。」

「俺、事務の高橋狙ってっから。」

「え…お前、経理の女じゃなかったのかよ。」

「あー。あの子ダメ。体の相性悪いんだよね、だからサヨナラー。」

「お前ねぇ。」

この女っタラシが。いつかバチがあたんぞ。

木下は、んじゃまそう言う事で。と、いやらしい笑みを浮かべて部屋を出て行った。

ポツンと一人残された部屋。

俺は座椅子に腰を下ろし、タバコに火をつけて、どうしたもんかと天井に上っていく煙を見つめる。

暫くボーっとしてから、携帯を取り出し優里を呼び出す。

『……もしもし?』

「おぉ。俺…何してんの?」

『何って、みんなでお土産見てる。』

「俺の部屋来いよ。今、一人で暇を持て余してんだけど?」

『え、嫌。』

このヤロ…即答しやがった。

「何でだよ!」

『何でって、みんな一緒だからに決まってんでしょ?誰も遊んでくれないなら一人遊びでも考えたら?』

「お前ねぇ…一人遊びってお前想像してか?」

『バッカじゃないの?変態。』

「変態とか言うな。いいから来いよ、宴会までもうちょっと時間あっし。」

『無理!そんな子供みたいな事言わないでよ。もう切るからね?また宴会場で……』

「あっと…優里!」

『なによ』

「お前、今日絶対酒飲むなよ?」

『何でよ』

「酒癖悪いから。」

『ムッカツク。そんなに悪かないわよ!大体ねぇ、何で飲むななんて隆志に命令されなきゃなんないのよ。飲みたい時に飲むっつうの!じゃね!!…プツン…プープープー…』

ムカツクー…切りやがった。

あーもー、アイツだけは……何で俺はあんな女に溺れてんだよ。

ったく、ベッドの上じゃ可愛らしく「愛してる」なんて言って来るくせに、一旦外に出るとこれだ。

気が強くて天邪鬼な女。

ムカムカっと込み上げてくるモノを抑えながら、気分転換に温泉に入る事にした。

……絶対宴会じゃ酒は飲まさねぇからな。




風呂から上がり、タバコを1本吸い終わったところで、宴会の時間になった。

大広間にはずらりと料理が並び、そこにみんなが座る。

社員の大半が先にお風呂に入ったようで、殆どが浴衣を身に纏う。

優里もその内の一人だったのだけれど……。

俺は奥の真ん中辺りの席、優里は入り口辺りの前の席に座る。

クソっ…遠い。しかも浴衣姿……すごい色っぽいじゃねぇか!本気で今日は飲ませたくねぇ。

店長が前で挨拶をするのを聞き流しながら、俺は優里に向けて視線を送る。

視線に気付いた優里は、口を『何よ』と動かしてくる。

『飲むなよ!』と、自分も口を動かすと、ぷいっとヤツは横を向く。

その手にはもう既に乾杯の為のビールが入ったコップが持たれていた。

あのヤロ…飲むなっつったのに!!

この距離じゃどうする事も出来ずに、俺は乾杯を終えてアイツを気にしながら目の前に並んだ料理に箸をつける。

時間が経つにつれてバラけていく社員達。

俺の周りにもいつの間にか事務の女の子達が寄って来ていて、飲んで飲んでと酒を注いでくる。

まぁ、これぐらいの量じゃ酔っ払う域にも達しないんだけど。

場が場だけに、追い払う事も出来ずに彼女達に酒を注がれながら絶えず視線は優里に向く。

うわっ…アイツまた酒をおかわりしやがった。

うわうわっ…田中っのヤロっ…新人のクセに優里に酒なんか注いでやがる!優里も嬉しそうに貰ってんじゃねえよ。そいつに笑いかけんなっ!!

うーわ、支店長まで…おぃおぃ、その腰にまわった手、セクハラじゃねぇの?…ぶっ。抓られてやんの。

つか…ちょと待てよ。え、アイツの周りヤローが多くねぇか?

気付けば優里とその隣りに座る、木下が狙ってると言う高橋って事務員2人を囲んで一つの輪が出来ている。

しかも2人以外全部男。

当然高橋を狙ってると言う木下はちゃっかりそいつの隣りに座ってやがるんだけど。

優里のヤツ…何考えてんだよ。

俺がじっと優里の方を見ていると、周りにいた事務員達が口々にいらぬ事を言ってくる。

「あら、中里と高橋の周り男だらけじゃない。ハーレムねぇ。」

「そういえば、中里の隣りに座る田中君。彼女の事狙ってるって言ってたよ?」

「うそー。そうなの?結構可愛いから私狙ってたのにぃ。」

「じゃぁ何でココにいるのよ。」

「え。だって一番は奥田君だから♪」

「あぁ、でも支店長も何気に優里の事気に入ってるとかって噂だけど。」

「えー、マジ?キモイー。」

「結構優里って人気あるよねー。やっぱ女は顔で勝負かぁ?」

「羨ましい。こーんな素敵な奥田君という彼氏がいるのに、あ〜んな男ばっかりに囲まれて。いいよねぇ。」

「ねぇ、奥田君。中里やめて私にしない?」

「あ、先輩ずるーい。私も立候補する。ね、誰がいい?」

いや…誰がいいって…全員いらねぇし。

「あー、ごめん。俺、浮気出来ないタチなんで。」

周りの女の子達から、えー。と言う声を浴びながら、俺の視線が固まる。

視線の先にはカナリの状態で出来上がってる優里の姿。

あれだけ飲むなと言ったのに、あの様子だとカナリ飲んでやがる。

酔った優里は隣りの田中と言う新人の肩に頭を預け、ケラケラと楽しそうに笑ってる。

その田中の腕が事もあろうか優里の腰にまわっていて……プチン。と自分の中で何かが小さく切れた気がした。

そろそろ宴会も終盤に近づき、各々がカラオケに繰り出したり、ホテルに設置されてるバーに引き続き飲みに行ったりし始める。

俺も事務員達に無理矢理カラオケに連れ出されそうになるのを何とか逃れて、宴会場から姿を消した優里を探す。

クソッ!ちょっと目を離した隙にどこ行きやがった優里のヤツ!

もしもあのまま田中と連れ立ってどこかへ行こうとしてるなら、絶対許さねぇからな。

急ぎ足でロビーまで辿り着くと、少し奥に設置されてる自販機の前に優里の姿を見つけた。

しかも隣りには田中の姿。

2人して何かしら楽しそうに笑いながら話してやがる。

「田中…お前、いい度胸してんじゃねぇか。」

俺は2人に駆け寄り、田中に声をかけると同時にヤツの胸倉をぐいっと掴む。

「え…あっ!おっ奥田さん……あわわっ。す、すいません…ちょっと調子に乗りすぎましたかね?」

「大いに乗りすぎだ。ぶん殴られない内にさっさと消えろ。」

「あっ…あははははー。すぐっすぐ退散しますー。」

本当は一発くらいお見舞いしたい勢いだったけど、そこは一応俺も大人だし?許してやったけど…。

許せねぇやつがここに一人。

「優里…お前、何考えてんだよ。」

「何考えてるって…別にお酒飲んでただけじゃない。何か文句でもございますか?」

「あぁ、あるね。あれだけ飲むなっつった酒をがぶ飲みしやがって、周りにヤローどもをはべらかして?おまけに田中の肩に寄り添って、それに調子こいて田中はお前の腰に手をまわしてるし。どんな気持ちで見てたと思ってんだよ。」

「あんただって、周りに女の子はべらかしてたじゃない!ニヤニヤといやらしく笑っちゃってさぁ…ムカツクっつうの!!」

ニヤニヤって…いつ俺が笑ったよ。

愛想笑いとの区別もつかねぇのか、この女は。

「とりあえず、来い!」

「やっ…ちょっと…どっどこ行く気よ!」

「俺の部屋。」




ふらふらと千鳥足の優里を無理矢理引っ張り、自分の部屋に連れ込んで鍵を閉める。

木下……は、まぁ高橋とシケ込むだろうから、まぁいいか。

部屋にはもう既に布団が敷かれていて、思わず自分の口元が上がる。

用意いいじゃん、仲居さんよ。

「お前だけは許さねぇからな。」

「なっ、なっ、何よぉ…」

「お前は俺の女だっつぅ事をまだ自覚してねぇのかよ!あれだけ酒は飲むなっつったろうが。聞けよたまにはよ!!」

「だーから!命令されんのは嫌いなんだっつぅの!!あんたから命令されると無性に背きたくなんのよ。仕方ないじゃない。」

「んっとにムカツク!お前みたいな女、初めてだよ。俺に尽く楯突きやがって…可愛くねぇ女!!」

「あ、それすんごいムカツク!大体惚れたのはあんたの方でしょうが!!なーんで、上の立場に立ってんのよ。」

「あぁ、惚れたよ!すんげぇ溺れてるよ、お前に。だから余計にムカつくんだろうがよ!!」

「わっけ分かんない!もぅ、自分の部屋に帰る!!」

「帰すわけねぇだろっ!」

「やっ、ちょっと!何する気?!」

「大人しく抱かれとけ。」

俺は優里の体を引き寄せると、激しく彼女の唇に貪りつくようにキスをする。

ホント、すげぇムカツク。言う事を聞かないどうしようもねぇじゃじゃ馬も、そいつにどうしようもなく溺れてる自分も。

口内の奥深くで舌を絡め取り、浴衣の前を少し乱暴に引っ張り前を肌蹴させる。

途端に露になる優里の白い肌。

優里に激しくキスを送りながら、片手で優里の腰を抱き、もう片方で胸を包み刺激を与える。

「あっ…んっ…たかしっ…」

「お前、あんなの見せ付けて俺にヤキモチを焼かせてどうするつもりだ、ぁん?」

優里の肌に時折強く吸い付き、紅い痕を残しながら腰に巻きつく帯を解き脇に投げ捨てる。

「やっ、ん!どうするつもりって…どうもしないわよっ!あんたがやってる事をそのまま仕返ししただけじゃない。」

「俺がいつ女の肩に頭預けたよ、いつ腰に手を回したよ!」

優里の胸の蕾を口に含み舌で弄びながら、下着をずらして直接潤った敏感な部分を刺激する。

「はぁっん!…女が周りにいるだけで同罪なの!大体ねぇ、私が田中君とどうにかなるとでも思ってんの?ちょっとは自分の女を信用しなさいよ!」

「だったら紛らわしい行動を取るんじゃねぇよ!ひとっつも俺の言う事を聞きゃしねぇ……人の気も知らないで。マジクソムカツク!」

「ムカツクって…そう言うんだったら、私なんてやめときゃいいでしょ?!え…あ、きゃっ!あぁぁんっ!!」

俺は優里の体を敷いてあった布団に押し倒し、自分の下着を半分ずらして自身を一気に彼女の中に突き刺す。

途端に自身に絡みつく、優里の熱くて溶けてしまいそうな蜜。

それに屈しそうになりながら激しく律動を送り、優里の足から中途半端な位置にあった下着を引き抜く。

「やめられるもんならとっくにやめてるっつぅんだよ!だけど、俺にはお前しかいらないんだ…何回言わせりゃ気が済むんだよ!」

「何回でも言えばいいでしょっ?……言っててよ…ずっと、愛してるって…不安にさせないくらい…ずっとずっと言ってなさいよ。」

「お前が不安になる事なんて何もねぇだろ。何度も何度も愛してるって言ってるじゃねぇか…それでもまだ足りねぇか?」

「足りないわよ、全然!…人の気も知らないでって、あんただって全然私の気持ちなんて分かってないじゃない。」

「……え?」

「お酒だって飲まないつもりだったわよ…悔しいけど、隆志がそう言ったから…最初の乾杯の時だけって…そう思ってたのに。いつの間にか隆志の周りには女の子ばっかりで、楽しそうに笑いながら注がれたお酒を美味しそうに飲んで…なによ、って思うじゃない。だったら私だってって…そう思うじゃない!私はいつだって隆志の言う事聞いてるじゃない……素直に返せないんだから……そういう所ちゃんと理解しときなさいよ。」

言われて初めて気付く。

思い返してみれば、そうだったような気もする……いつも憎まれ口を叩きながらでも、最終的には俺の言ったように行動を見せる優里。

コイツが言ったように、分かってなかったのは俺の方かもしれない。

俺は激しく打ち付けていた腰の動きを一旦止めて、上体を折ると優里の体に覆い被さる。

「優里……」

「なによ……」

「言っててやるよ……ずっと、お前だけを愛してるって、言い続けてやる。天邪鬼なお姫さんが不安にならねぇように。」

「一言余計だと思うけど。」

「お前にぴったりの言葉だろ?……優里…愛してる。愛してるから…あんま俺を不安にさせるな。」

「隆志……ごめん……だから、もっと言って…愛してるって。」

「愛してる。」

「もっと……」

「愛してるよ…優里。」

「もっ……と……あぁっ…んっ!」

耳元で何度も愛してると囁きながら、律動を再び送り始め、優里を徐々に追い込んで行く。

優里の腕が俺の首にまわり、唇を重ねてくる。

お互いの舌を深く絡め合わせながら、俺はリズムを早めて行った。

優里の悦が最高潮に達する前の艶のある表情と、俺の腰にまわった手。

優里は奥をねだるようにぐいっと俺の腰を引き寄せる。

「優里……もうイキそう」

自分の果ても近づいてきて、掠れた声を耳元に吹きかける。

ビクッと震える彼女の体と、心地よく締め付ける優里の中。

「いいっ…イって…隆志っ…あんっあぁ!あっ…私も…イっちゃうっ!!」

「んぁっ!…ゆうりっ…愛してるっ…」

「私もっ…愛してるっん!あぁぁあぁんっ!!」

下腹にクッと力を入れて、少し上体を起こすように優里が体を震わせる。

途端に強い締め付けを受け、俺も激しく腰を打ちつけた後、熱いモノを解き放った。




「お前さぁ…もう俺に対抗してとかそんな変な考え起こすんじゃねえぞ?」

「……さぁ。それは今後の隆志の行動次第でしょう?」

寄り添うように布団に寝転び、優里の顔にかかる髪を指先でよける。

ああ言えばこう言う……ホント、コイツだけは。

「俺の行動って見てりゃ分かるだろ。愛想笑いかどうかぐらい。あ、営業スマイルが素晴らしすぎて見抜けねぇか?」

「バッカじゃないの?あんたの仮面ぐらいお見通しだっつぅの!」

「だったら、今日みたいな事にはなんねぇだろうが。」

「あれはあんたの鼻の下が伸びてたから天罰を下してやったの。」

「……いつ伸びてたよ。」

「先輩があんたにもたれ掛かって、胸の谷間が浴衣の隙間から見えた時。」

……見られてたか。

でも、男だったら誰しも見るだろ?その女に興味がある無い別にして。

っつぅか、別にあれは鼻の下が伸びてた訳じゃなくて、お、ラッキーぐらいにしか思ってなかったんだけど…って、それが鼻の下が伸びてるってか?

でも、何だかんだ言って、こいつも俺の事をちゃんと見てくれてんだな。

そう思うと自然に自分の顔から笑みが漏れる。

「何笑ってんのよ。」

「別に?やっぱお前は俺に惚れてんだな、って思って。」

「はぁ?自惚れんなって言ってんでしょうが、この自意識過剰男。」

「天邪鬼。」

「変態スケベじじい。」

「ホント…気の強い女。」

「悪かったわね!」

「バーカ、そこがいいっつってんだろ?」

「言ってるように聞こえませんが?」

「体で感じときゃいいんじゃねぇの?……覚悟しろよ、今日は寝かさないからな。」

「はぁ?何、バカな事言ってんのよ、寝るに決まってん………ぅっ…」

「うわっ!おまっ……何、ぅっ。とかって言ってんだよ…ちょっちょと待てお前…まさか!」

突然口元を押さえ、小さく唸りを聞かせる優里に俄かに自分の顔が青ざめる。

まさか……まさかお前。



「ぎもぢわるいー」



やっぱりか!!

あれだけ飲んだ後の激しい運動…の、ようなモノ。

一気にアルコールが体に回ったらしく、優里の顔が徐々に青ざめていく。

「うわっ!うわっ…ちょっ…こっ、ここで吐くなよ?トイレに連れてってやるから、そこまで我慢しろ!!」

「ぅっぷ…我慢できないかもー。」

「出来なくてもしろっ!だぁーっ、もうお前だけはっ!!」

慌てて立ち上がり、優里の体を抱き上げるとトイレに駆け寄り、彼女の体を中に押し込める。

バタン!と、ドアが勢いよく閉まると同時に、この世のものとは思えない優里のうめき声。

トイレの外にいた俺の顔も一緒に渋いものへと変化する。

優里の呻き声を聞きながら、こんな姿を見せられてもコイツしかいねぇって思ってる俺は、相当重症かもしれない。

そんな事を思うと自分の口から苦笑が漏れた。




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