*君の あなたの 微笑に 長い長いキスだった。だけど、その唇を離したくなくて・・・離してほしくなくて。 「――――・・俺と付き合う事になっても、一緒に近くに出かけたり友達の間で彼氏の話題になっても話せなかったり、辛い目に合わせてしまう事になってしまうけど、平気?」 先生は唇を離してから、そう目を見て呟く。 「うん、平気。先生と一緒にいれるだけで充分だから・・・それだけでいい。」 「ごめんね。」 「どうして先生が謝るの?私は今すっごく幸せだよ?謝らないで・・・。」 「ん、ありがとう。でもよかった・・・君が笑ってくれて。この2週間、ずっと元気がなかったからさ。気が気じゃなかったんだ。」 先生は私の髪の毛に指を通しながら、そっと微笑む。 私の大好きなその微笑に自然とこちらの顔にも笑みが浮かぶ。 「だって・・・フラれたと思ってたんだもん。冗談でも言っちゃいけないよって、君は大事な生徒だからって言われて。」 「それを言うなら、俺が先にフラれたんだと思ったよ?」 「え?・・・・・どうして?」 「あの時、俺に最初になんて送ってきたか覚えてる?」 最初に・・・?確か『先生の彼女として居ついたりして』だったっけ・・・その後すぐにヤバイ。と思って『冗談です。』って送ったんだよね。 私は2週間前の出来事を思い出すように、顎に人差し指を当てながら呟く。 「先生の彼女としていたりして・・・って入れました?」 「うん、そう。あれ見た時ね、すっごく嬉しかったんだ。狭山さんも、もしかして俺と同じ気持ちでいてくれるんじゃないのかって。だからすぐに返信できなかったんだ。俺は教師だし、君は生徒。タブーとされている間柄でこんな気持ちになってもいいのかな、って。でも、それでもいいやって思った。君とならそうなっても乗り越えていけそうな気がしたから・・・そう思って返信打ってる最中に君からのメールが来た。」 「あ・・・・・。」 先生は私の顔を見ると、意地悪く笑いながら先を話す。 「そ。画面を見てうな垂れたよ。冗談です、先生は私の担任の先生ですもんね。って返ってきたから。もうね、この上なく落ち込んだよ。やっぱり冗談だったのかって。こんな気持ちになってるのは俺だけだったんだって思ったら悲しくなってきてさ・・・だから、冗談でもそんな事言っちゃダメだよ。って入れたんだ。」 「家に来ない方がいいって入れたのは・・・・・。」 「ん〜・・これ以上個人的に会っちゃったら、俺自身が抑えられないような気がしたからね。あのメールは俺の精一杯の大人の部分。」 先生は少し照れたように視線を私から少しずらすと最後の部分は、ぼそっ。と呟く。 「ごめんね、先生。私・・・知らないうちに、すごく先生を傷つけてた。」 「クスクス。いいよ、今日思い切ってメールして気持ちが聞けたから充分。それで傷も癒されたから。」 笑いながら、頬を先生の指で撫でられてくすぐったさと嬉しさが混じって首が竦む。 こんなに幸せな気持ちになってもいいのだろうか・・・そう思うくらい私は幸せだった。 だって無理だと思っていた先生と両想いになれたんだもん。 ううん、正確に言えば最初からお互いに両想いだったんだけど・・・。 「でも先生・・・6歳も年の離れている私みたいな子供でもいいの?それでも好きでいてくれるの?」 「俺は君の事、子供だなんて思ってないよ?俺には充分すぎるほど魅力がある。年の事を言えば狭山さんだって同じ年の男の子とかじゃなくてもいいの?俺みたいに6歳も年が離れてて、しかも担任の教師で自由に外でデートとかできないのに。」 「恋愛に年なんて関係ないもん。私は先生が好き。早乙女 恭一さんが好きなんだもん。」 優実が言ってた言葉の受け売り。あの時は、そうかな?って思ってたけど、今ならはっきり言える。年なんて関係ない・・・私は先生自身が好きなんだもん。 ――――早乙女 恭一さんという一人の男性を。 「クスクス。ありがとう。それは俺も一緒だよ?俺は狭山 千鶴が好きだから、年齢なんて関係ない。」 「ねぇ、先生。私たちってお互いに一目惚れしてたんだね。」 「ほんとだね。しかも偶然が折り重なってるからもしかしたら運命の出会いだったのかも?」 運命の出会い――――本当にそうかもしれない。 先生と出会ってからの短い間に幾度となく重なった偶然。 彼は私の運命の人。そう思うと心の中が、ふわっ。と温かくなる。 先生のイタズラっぽく笑う笑顔に、クスクス。と笑顔で返すと再び、ぎゅっ。と抱きしめられた。 「え?・・・先生?」 「君にはずっとそうやって笑顔でいてもらいたい・・・もう悲しい思いはさせないから。ずっと笑顔でいられるように大切にするからね。」 「先生も・・・ずっと笑っていて欲しい。私、先生の微笑んだ顔がすごい好きなの。優しくって温かくって・・・安心できるから。私も先生の事大切にする・・・ずっと笑顔が見れるように。」 先生の体から少し離れて微笑むと、先生もレンズの奥の瞳を細めながら微笑み返す。 「千鶴・・・好きだよ。これからはもっと・・・。」 「私も・・・先生の事好き。もっともっとこの先・・・」 先生の口から発せられた、私自身の名前にこの上ない嬉しさがこみ上げてくる。 すごく好き・・・先生の事が大好き。でも、これから先もっともっと先生の事を好きになる。 そんな事を心に秘めながらそっと視線を合わせた私の瞳に、先生の飛び切りの笑顔が飛び込んできた。 <<6万Hit 蛍草様 Special Thanks!!>> 蛍草さま。すいません、すごくアップが遅くなってしまいましたぁ(汗) リクエスト内容『教師×生徒』このような感じで仕上げてみましたが・・・(^-^; お楽しみいただければ幸いです。 神楽 |