〜*〜 One night romance 〜*〜



再び重なる唇。

柔らかい正樹の唇の感触に、落ち着きかけていた体の熱が再び一気に上昇する。

正樹の手がTシャツの裾から中に入ってきて、ブラの上から胸の膨らみを包み込む。

孤を描くようにゆっくり優しく揉まれて、指先で蕾をきゅっと摘まれる。

それだけで自分の秘部に蜜が溢れ出すのが分かる。

正樹は私のミニスカートをお腹の上までたくし上げ、もう片方のあいてる指先で下着の中に手を入れて直接秘部に触れてくる。

「もう、こんなに濡れてんじゃん。今すぐ俺が欲しい?」

そう小さく囁きながら、何度もミゾを指で撫で、膨らみ始めた蕾を指で弾く。

息を吹きかけるように耳元に囁いてくる正樹の声と指からの刺激に、思わずグッと身を捩ってしまう。

「んっ…欲しい…今すぐ正樹が欲しい。体が熱くて堪らないの…お願い、正樹のを今すぐちょうだい?」

「俺も、今すぐ沙代子の中に這入りたい…でも、俺今日ゴム持ってないから、生だけど…いいのか?」

「大丈夫…ピル飲んでるから」

「そっか…ピル、飲んでんだ。じゃあいいんだな?這入っても…あ、声…」

「ん、分かってる…出さないようにする」

「本当はお前の声も聞きたかったけど…」

そう言って正樹は私の足の間に割って入り、静かにベルトを外し、ジーパンとトランクスをずらすと自身を入り口にあてがい、ゆっくりと中に這入って根元部分まで沈めてくる。

「ぁっ…ふぅ、ん!」

「ぅぁっ…っく…すげっ締まる…ヤバイ…こんなの俺、もたないぞ?」

「ぁん…正…樹。気持ち…いいっ…ね、動いて?…正樹を感じたい」

「俺も。すげー気持ちいい…ん、感じさせてやるから…可愛いよ、沙代子…好きだよ…今は、俺の沙代子」

「私も…好きよ…ぁっ!」

正樹は頭から布団を被り、出来る限り体を密着させてゆっくりと律動を送り始める。

暫く感じていなかった、脳天を揺さぶられるような甘い刺激。

ううん、もしかしたら今までに経験した事のないくらいの刺激だったかもしれない。

正樹が動く度に意識を失いそうになるほどの痺れが脳を襲う。

ベッドに眠る2人の寝息に合わせるように、繋がった部分からは卑猥な水音が漏れる。

耳にかかる熱い正樹の吐息交じりの荒い息遣いが、より一層自分を高波へと導いて行く。



言葉少なめの2人の情事。

危険を冒してまで重ねてしまったお互いの肌。

だけど見詰め合うだけで、お互いの気持ちが痛いほどに伝わってくる。

今、私達は確かに気持ちが通じ合っている。

「ぁっ…も、ダメっ…正樹…声、出ちゃいそう…キス…して…」

「俺も、もうイキそ…沙代子、最高だよお前。初めて…こんな気持ちいいの」

正樹はそう言って色っぽく笑うと、ぎゅっと私の体を強く抱きしめ、しっかりと唇を塞ぎ静かに律動を早めてくる。

「んっ…んっ…んんんんんっ!!」

「んっ!」

静かだけど、激しく体を揺さぶられ、頭が真っ白になるのと同時に正樹のモノが解き放たれたのを感じた。



「あの2人、まだ熟睡中だから、まだ沙代子の中にいてもいい?」

武の豪快なイビキと、それにかき消されるように微かに聞こえてくる綾祢の寝息が部屋に響く中、正樹は啄ばむようなキスを何度もしながら、囁くようにそう呟く。

「ん…まだ離れたくないから…そのままでいて」

「俺、そのまま中でイッたのなんて初めてだよ。やべぇな、すげー気持ちいい」

「彼女にはそんな事しちゃダメだよ?きっとピルは飲んでないだろうから…」

「あぁ、分かってるよ。っつっても、今度いつヤラせてもらえるか分かんないけど」

そう言って笑ってから、正樹はまた一つキスをする。

「正樹は?彼女と別れようとか思わないの?」

「困ったことにね。アイツも別れる気はなさそうだし」

「そっか。私と一緒だね…なんで新しい幸せを見つけようとしないんだろうね、私達…」

「なんでだろうな…」

私はその先の言葉を口に出しかけて、そっと奥にしまいこむ。

多分、この言葉を言ってしまったら、きっと私達の関係が変わってしまうから。

正樹も同じ事を思っていると思う…だから、お互いに核心に触れずにいる。



――――このまま彼女と別れて私と付き合おうよ。



――――このまま男と別れて俺と付き合おう。



――――そうすれば幸せだよ、きっと…――――



簡単な事なのに、その一言が口に出せない。

簡単なんだけど、複雑な私達の関係。

いや…複雑にしてしまってるのは他でもない私達自身。

そんなに意地を張らなくてもいいのに…もっと楽に考えれば簡単な事なのに…それが出来ない私達はまだまだ幼かったのかもしれない。



「やべ…また元気になってきた…」

触れるだけのソフトなキスと、舌を絡めあう深いキスを繰り返していて、中に這入ったままの正樹自身に再び力が漲りだしているのが私にも分かった。

「ん…またおっきくなってきたね」

「俺、こんなに復活早かったっけ?」

「…って、私に聞かれても知らないし」

「まぁ、そうだよな。お前の男も勿体無いことしてんね。こんなに最高なのにヤらないなんてさ…なんなら代わりに…って、いや…なんでもない」

「……今夜限り…だから…」

「分かってるよ…何でもないっつったろ?」



一瞬流されそうになった。

正樹の私を見つめる瞳から、彼が言わんとすることが分かったから。



――――なんなら代わりに俺が抱いてやるのに。



――――いや、俺だったら沙代子に寂しい思いなんてさせないのに。



「沙代子…好きだよ」

「……正樹」

「今は俺の恋人なんだろ?だったら何度も言っていいよな?日が昇れば全て忘れるんだから…」

「あ…うん。そうだね…忘れなくちゃね」



本当は忘れたくなかったりすんだけど…



そうボソッと呟いて、正樹は唇を重ねてくる。

舌を絡めながら、再び私の中の正樹が動き始める。



どうして今夜限りなんて言ったんだろう。

どうして忘れなくちゃいけないんだろう。

どうして自分に素直になれなかったんだろう…



正樹の中の気持ちを力いっぱいぶつけるように、彼は先程より激しく私の体を揺さぶる。

一夜限りの恋だから。

仲間に戻る為に踏ん切りをつけるように…自分の気持ちを振り切るように。

日が昇れば、また私達は仲間に戻る。

以前と同じように、笑い合える仲間に戻る…刹那に抱いた全ての感情を忘れて。

だから私も一夜限りの恋に溺れようと思った。



私と正樹の一夜限りの恋物語に――――。



** 『One night romance』 FIN **



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H17.09.12 神楽茉莉

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