*Love Fight






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美菜がお風呂に入ってから15分くらいが過ぎようとしていた。

もうそろそろいいのかな。

リビングでテレビを見ていた俺はゆっくりと立ち上がって洗面所へと向かう。

美菜が俺とお風呂に入るようにしたのは計算のうち。

今日はいろいろとあったからお風呂の中でも美菜と一緒にいたいっていうのもあったし、美菜は 『俺とは嫌なの?』と言うと絶対嫌とは言わない事を分かってたから。

そんな事を分かっててやってるっていうの、美菜は気づいているのかな?

気付いていたとしても嫌とは言わせないけれど。

洗面所からドア越しに、美菜、そろそろいい?と尋ねると、うん。と言う返事が返ってくる。

服を脱いで浴室に入るとドアに背を向ける形で美菜が湯船に浸かっていた。

顔を見なくても分かる。おそらく彼女の顔は真っ赤に染め上がってるはず。

美菜の真っ赤になった表情を思い浮かべると自然と笑みが漏れてくる。

体などをさっさと洗ってしまうと自分も浴槽の中に入ると、つつっ。と脇に避ける美菜。

美菜は俺の方を極力見ないように隅っこの方で固まってるし。

「美菜?そんな隅っこで固まってないで・・・ほら、おいで。」

「わっ!やぁっ!!・・・うぅ。」

美菜の身体を引き寄せて、腕の中に納めると彼女の肌の感触が俺の肌に直に感じられて安心感で 満たされる。

真っ赤になって俯く美菜に、思わず笑みが漏れてくる。

「恥ずかしいの?美菜。」

「うん。恥ずかしい。」

「どうして?」

「どうしてって・・・だってぇ。」

「クスクス。そんなに恥ずかしがらなくってもいいのに。」

後ろから抱きしめる形だったから、彼女の肩に自分の顎を乗せて頬に唇を寄せるとくすぐったそうに 身を捩る。

「やだぁ。んんっ。修吾君、くすぐったい。」

「そんな色っぽい声だして。止まらなくなったらどうするの?」

「うぇっ。それは・・・困ります。」

クスクス。と彼女に笑って見せるけど、半分止まりそうにない自分がいるのに気付く。

・・・・・ヤバイな。

「でも、今日はいろんな事があったねぇ。」

「ん〜?そうだね、大成には随分と振り回された。」

「クスクス。ほんとだね。」

「美菜がアイツの事呼び捨てで呼ぶし、手を繋いでバイト先までやってくるし。」

「うっ・・・。」

少し意地悪く耳元で囁くと、気まずそうに言葉に詰まる。

どうしてもその事を思い出すと少し嫉妬めいた言葉が口から出てきてしまう。

「あれ見たときショックだったもんな。何で美菜が大成と手を繋いでるんだよってさ。」

「あれは・・・だって・・危ないからってぇ。」

「クスクス。誰も美菜を責めてないって。」

「うぅ。責められてるように聞こえる。」

「そう?」

「ぅん。・・・修吾君の意地悪。」

消え入りそうな声で呟く美菜の言葉を聞き逃す事なく拾い上げると、誰が意地悪って?と囁いてから 耳朶を甘噛みする。

「やっ・・ん。」

「だからそんな声出しちゃダメだって。」

「だって修吾君がそんな事するんだもん!!」

「そんな事って・・・どんな事?」

更に意地悪く囁くと、意地悪!!と今度は、はっきりとした声で言われてしまった。

意地悪ね・・・ま、美菜に対しては今に始まった事じゃないんだけど?

「でも今日は美菜が大成に何かされるんじゃないかって気が気じゃなかったよ。」

「なっ何もされなかったよ?」

「ほんとに?」

「う〜・・ん。」

美菜の身体にまわしていた手を顎に当てて自分の方に向かせると、美菜?と問いただすように 彼女を見る。

・・・・・何かされたのか?

「あ〜・・の〜。今朝友達になったからって・・髪の毛に・・・チューをですね。」

「髪の毛に?」

「ん。・・・ごめんなさい。」

・・・・・大成のヤツ。なんて事してくれるんだ。

「美菜が謝る事ないでしょ?どこにされたの?」

「ん〜と・・・ここら辺?かな。」

美菜が指差す辺りを確認すると、消毒ね。と言って自分の唇を寄せる。

「はい、消毒完了。他はされなかった?」

「クスクス。ありがとう。うん、他はされなかった・・・・・て、あっ!!」

何かを思い出したように、くるっ。と身体の向きを変えて俺を見上げてきた。

「ん?どうしたの?」

「修吾君は?修吾君は祥子さんにチューされたでしょ?」

「されてないよ?される寸前で避けたからね。ちょっと頬に当たったくらい。」

「どこ?」

「ん〜・・・ここら辺だったかなぁ。」

俺が思い出しながら指で頬を指したら、修吾君のも消毒。と呟いてから俺の頬に唇を寄せてきた。

「みっ美菜?!」

そんな行動に出るとは思ってなかっただけに、思わず体がビクッ。となる。

「だって私に消毒してくれたんだから、私も修吾君の消毒したいもん。」

えへへ。と照れ笑いを見せる彼女につられてこちらも笑みが浮かぶ。

「ありがとう。」

「クスクス。消毒になったかなぁ?」

「じゃぁ、頬っぺたにキスしてくれたついでにココにもしてもらおうかな。」

今朝のお礼の話を思い出し、便乗して自分の唇を指差して呟いてみる。

「・・・・・なんで?」

「今朝言ってたでしょ?テストの点数が上がったからお礼をしてくれるって。」

「わっ忘れてた・・でも・・あれはクレープって・・・。」

「俺はキスの方がいいって言ったよ?」

「うぅ〜。」

やっぱり渋るか。・・・・・と、なれば方法は一つ。

アレを言うしかないよね?

「美菜から俺にキスするのは嫌なの?」

「えっ!やっ・・あの・・嫌ではない・・・ですけど。」

「じゃあしてくれる?」

「あぅぅ・・・ぅん。」

俺はその言葉を聞いて若干ほくそえむと、瞳を軽く閉じる。

俺の顔の前で少し戸惑う様子を見せてから、ちゅっ。と軽く唇に感触が伝わってくる。

「・・・・・終り?」

「だってぇ。ちゃんとしたもん。」

「付いてないよ?」

「ついたもん〜〜。」

「ダメ。もう一回。」

「うぇっ!!もっもう一回?」

「そ、もう一回。俺がいつも美菜にするようにして欲しいんだけど?」

「うにゃぁ。」

渋る美菜を半ば強制的に促すともう一度目を閉じる。

何でここまで躍起になっているのかと思うと苦笑が漏れる。

だけどやっぱり美菜からもして欲しい訳で・・・。

俺が目を閉じてから暫くして、唇に柔らかい感触が伝わってくる。

同時に俺の上唇と下唇を順に美菜の舌先がゆっくりと這う。

それを感じながら少し唇を開けて美菜の舌に触れると、彼女もたどたどしくそれに答えてくる。

いつしか美菜の身体を引き寄せて奥深くで絡め合っている自分に気付く。

顔の角度を変えながら何度もキスを重ねると次第に美菜の口から甘い吐息が漏れ始めてきた。

「んっ・・ぁ。」

これって自分で自分の首を絞めたんじゃ・・・。

俺はこの場所で美菜にキスをねだった事を少し後悔しながら、この先ベッドまでもたせる事が できるのだろうか。

そんな不安に若干苛まれながら、それでも美菜の唇から離れられないでいる俺がいた。

+ + Fin + +


<<『大成』お名前提供 しゃんくす様 Special Thanks!!>>
 

神楽のちょこっとあとがき

こちらまで目を通してくださった方、
ご精読ありがとうございますぅ(^▽^;
今回は、なっ長々と書いてしまったぁぁ〜〜〜(汗)
しかも内容が・・・あぁ。(自己嫌悪)
お楽しみいただければ幸いですぅ(ノ_・。)ぐすん。。。
今回はえっちぃシーンありませんでしたが(笑)
このお2人には、ほのぼのライトらぶという事で(ぇ)
一コマリクより本編移行作品のお届けでした♪
ホンマは昨日にはアップ出来る予定やったのになぁ〜。(遠い目)
H16.11.25 神 楽


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