*Love Fight 長瀬君に連れられて店に戻ると、みんなはもう席に戻っていて雑談をしていた。 私達が姿を見せると、何やってたんだよぉ。と言いながらみんなの視線が私の首筋に集まる。 ふぇっ!!何でみんな私の首筋を見る? 何でか分からないけど、みんなに見られてる事が恥ずかしくて俯いていると柊君が両手を頬に当てて 「きゃぁ〜。修吾、何美菜ちゃん襲っちゃってんだぁ。」 なんて事を叫ぶ。 はいっ!?襲う??何の事を言ってるの? 私は訳が分からず長瀬君を見上げるけど、彼はニコっと笑うだけ。 へっ?何が起こってるの?? 「長瀬も独占欲強いわねぇ。そんな目立つ所につけちゃってぇ。」 恵子もニヤニヤしながら私を見る。 目立つ所につける?――――いっ一体何を・・・。 私は嫌な予感を感じつつ、ちょっと。と言ってトイレに駆け込む。 「・・・・・うわぁぁぁっ!!!」 トイレの個室に響く私の声。 何じゃこりゃぁっ!! 私は自分の目を疑った。だって・・・だって鏡に映る自分の姿が一部分だけ明らかに違う。 鎖骨の上あたりにくっきりと浮かび上がる紅い印。 これって、昼間見た恵子の印と一緒・・・・・って事は・・・・ きっキスマーク!!?嘘だぁ。こここんなくっきりと。恵子のはもっと薄かったよ? ひえぇぇぇっ。 私はトイレから飛び出すと、長瀬君の元へと駆け寄る――――の、途中で何かに躓き思いっきりつんのめって転んでしまった。 例により、みんな大爆笑。 いっ・・・痛い。でもでも、今はそんな事を言ってる場合じゃないの。 クスクス笑いながら抱き起こしてくれる長瀬君に向かって私は真っ赤になりながら小声で叫ぶ。 「なっ長瀬君!こここれっ。つつっついてる!!なんでっ何で?」 「ん?だってつけたもん。言ったでしょ?おまじないだって。ほら座ろう。」 んなぁぁぁっ。あれがそうだったの? ちょっと待って。落ち着くのよ、美菜。いやぁん。この状況でどう落ち着けって言うのよ!! 私の小さな脳みそがパニくって収集がつきません。 長瀬君の横で真っ赤になりながら顔を両手で覆ってると、周りでいろんな声が飛び交う。 「おぉ。長瀬ぇ、何も今じゃなくてもいいだろうがぁ。見せ付けんなよ。」 「そうだよ。あの純粋な美菜ちゃんを・・・お前はぁ。」 「きゃぁ。これで美菜も立派な大人ねぇ。お姉さんはお赤飯作ってあげるわっ。」 ちょっちょっと待ってください、みなさん。何かお話があらぬ方向に向かってません? 私はふるふるっと首を振ると、長瀬君を見上げて小さく呟く。 『なんか・・・なんか違う方向に話がぁ・・・。』 『クスっ。おまじないの効果ありだな。』 長瀬君はそういって笑うと、私を徐に抱き寄せるとある人に向かって言葉を発する。 「美菜の魅力に負けて・・・ついついね。他の女じゃこうはならないけど?」 視線の先には苦虫を潰したような顔でこちらを見る祥子さんの顔。 長瀬君・・・その為に? みんなはヒューッと囃し立ててくれるけど。違うんだよ。そうじゃなくって。 私は反論したかったけど、できなかった。 だってちょっと嬉しかったんだもん。 確実に長瀬君と一つになれた訳ではないけれど、少しだけ長瀬君と繋がれたような気がしたから。 少しずつでいいから一緒に前に進もう――――そういってくれた彼の言葉がよみがえる。 うん。私も少しずつ長瀬君と一緒に進みたい。 すぐになんて大人になれないけど・・・いつかはきっと――――。 そんな幸せな気持ちに浸るのもつかの間。あることを思い出してしまった。 ――――ねぇ、長瀬君。こんな目立つ所につけてくれたのは嬉しいんですが・・・・・ 私はどうやって家に帰ったらいいんでしょう??? + + To Be Continued... + +
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