*Secret Face 「――――・・ごめんな、姫子。痛かったよな・・・。」 初っ端の授業がセンコーの都合で運良く自習時間となり、俺は姫子を連れて教室を抜け出し屋上へやってきた。 いつもの貯水タンクの裏側の縁に腰を下ろして、自分の膝の上に姫子を座らせ先ほど殴られた頬を親指の平で撫でる。 「ううん、平気やで?こうなる事覚悟してたから。それより、眼鏡を壊された方が痛いわー。とりあえずカバンにコンタクト常備してるからよかったけど・・・。」 そう冗談交じりに苦笑を漏らす姫子に、自分も少し笑みを漏らす。 「俺が代わりの眼鏡、買ってやるよ。そうなっちまったのも俺のせいだし。」 「えぇ!いいよぉー。自分で買うって。結構眼鏡って高いんやで?」 「いいって、俺が買うから。今週末に一緒に買いに行こうぜ。」 「もー、いいっていってるのに。でも・・・・・新一?」 「ん?何だよ。」 「ありがと・・・みんなの前で堂々と言ってくれて・・・すごく嬉しかった。」 姫子はそう言って嬉しそうにはにかみ、俺の首に腕をまわしてくる。 「みんなの前で宣言しちまったからな。もう別れらんねぇぞ?」 「クスクス。別れるつもりはないけど?」 「ま、俺もねぇけどな。」 お互いに顔を見合わせて、クスクス。と笑い合う。 「新一・・・大好き。」 「俺も、大好きだよ。姫子。」 視線を絡み合わせ、どちらからとも無く頬を寄せて、唇を重ねた。 「はぅっん・・・ん。」 一度重ねるとより深く求めてしまう俺。 今回もやっぱり歯止めが利かずに次第にキスが深くなる。 ・・・コイツのこの声って卑怯だよな。こんな声を聞かされたら止められるハズがねぇじゃん。 衝動的に片手でシャツのボタンをいくつか外し、そのまま中へ忍ばせて、きゅっ。と胸の膨らみを優しく揉み上げる。 ビクッ。と姫子の体が揺れ、姫子の手が俺の手を静止しようと上から押さえつけてきた。 「新・・いちっ・・・んっ・・・ダメだって、これ以上。ぁんっ・・・。」 「お前がそんな声出すから悪いんだろ?ここまでで止められっと思う?」 「やっ・・・ちょっ!んんっ・・・ここ学校だから、ダメだってぇ!!」 「大丈夫、大丈夫。今は授業中、誰も屋上までやってこねぇって。」 「アホかっ!あかんって・・・新一っ!ダメダメっ!!」 「ん〜・・俺もダメ。その声も俺を誘ってるし?止まんない。」 俺はニヤリと口角を上げてから、ブラのカップを指でずらして、現れた胸の蕾を口に含み舌先で、コロコロと弄ぶ。 「ひゃんっ!・・・あん、ダメ・・・新一。ヤメテってぇ。」 「そう?姫子も感じてきたんじゃねぇの?だって尖ってきたぜ、胸の蕾が。それに・・・ほれっ、もうこんなに濡れちゃって。姫子も待ってんじゃねぇの?俺のこと。」 舌先で胸の蕾を刺激しながら、指先で下着の上から溝を撫でる。 もうそこは既に姫子の蜜で潤っていて、俺が指を動かす度に濡れる部分が広がっていく。 「んっ・・・新一っ・・・。」 姫子の声色が徐々に色っぽいものへと変わり、胸に埋めた俺の頭に回っていた彼女の腕に力が入る。 ・・・もうこうなると姫子も止まれない・・・よな。 俺は下着の横から指を中に忍び込ませて、そのまま姫子の潤いきった中へ指を沈める。 「はぅっん!!」 ビクッ。と姫子の体が反応を見せて、上半身が俄かに仰け反る。 くちゅくちゅっ。と音を漏らしながら中をかき回し、あいた片方の手で自分の準備を手早く済ます。 ・・・こんな事もあろうかと、いつも制服の内ポケットに用意してあったりするんだよな。 用意周到、準備万端の自分自身を自画自賛。 「・・・姫子、もう入らせて。」 姫子の体から下着を抜き取り、俺を跨がせる体勢に変えると腰を引き寄せ奥深く突き上げる。 「んぁっん!!」 「んっ!!」 相変わらずの心地のよさに、自然と自分の口からも声が漏れる。 姫子の腰を持ったまま、激しく突き上げ姫子の弱い部分を集中的に擦り付ける。 途端に弱い締め付けが俺を襲い、何ともいえない快感が俺を支配する。 「あっあんっ・・・新一っ・・・。」 「姫子・・・すげぇ、気持ちいいっ・・・いつも以上に俺を締め付けてるって。いつもと違う状況に姫子の感度もアップか?」 「やんっ・・変な事言わないでよ。あんっ!すごく・・・気持ちいいっ!んんっ!!」 「クスクス。姫子の声は通るからなぁ・・・あんま声出すとバレちまうぞっ・・・っく。」 姫子は俺の言葉に慌てて口をつぐみ、ぎゅっ。と首にしがみ付いて声を押し殺そうとする。 声を我慢しつつ、それでも耐え切れずに洩れる声が、俺の耳に吐息のようにかかって俺を刺激してくる。 徐々に自分の限界が近づいてきている事を感じながら、唇を姫子の頬に寄せる。 「姫子っ・・・ずっと・・・ずっと傍にいろよな。」 「んっ!・・・うんっ・・ずっと傍にいるから・・・新一も傍にいてっ!」 「当たり前だろっ!・・・絶ってぇ離さねぇ。何があろうともっ。」 「ダメッ・・・新一っ・・もぅイッちゃう!!」 「俺も、そろそろっ・・・っくっ!!」 俺は姫子の体を強く抱きしめると、更に奥深くを激しく突き上げた。 「いやあぁぁんっ!しんいっ・・・あぁぁんっ!!」 「姫子っ!!」 強い姫子からの締め付けを味わいながら、自分も欲望を解き放つ。 この上ない快感を姫子と共に感じあい、お互いの唇を貪りゆっくりとそれを離す。 「・・姫子・・・ありがとう。」 「・・・え、どうしたん?急に。」 「お前と付き合わなきゃ、俺、人を好きになるっていう事がどれだけ幸せなものかって分からずに生きてた。お前のお陰で俺は幸せになれたし、色んな物に対する見方を変えられる事ができた。人に優しくする事もできるようになったし・・・。」 ・・・笑えるようにもなった。そう姫子に向かって微笑み、体を抱きしめる。 「私も・・・新一と付き合えて幸せだよ?」 「はぁ。もうすっげぇ幸せ・・・一回で終わるなんてもったいねぇな。」 「え・・・・・ちょっと?」 俺にまわされた姫子の腕がピクッ。と反応をみせて、姫子の声が途端にくぐもる。 「姫子ぉ、もっかいする?」 「なっなんでそうなんのよっ!せっかくいい話してたところじゃないっ!!」 「えぇ。幸せを噛み締めたら、もっかいヤりたくなっちまったんだもん。仕方ねぇじゃん?」 「いっ嫌やってぇ!!もー、新一のバカっ!えっち!!どスケベっ!!!」 「姫子、愛してるって♪」 俺は冗談交じりに姫子の体を抱きしめて、ぎゅっ。と彼女にまわした腕に力を入れた。 そんな、幸せな気持ちに浸っていた俺・・・一つある事を忘れていたんだ。 最も俺の気持ちをかき乱す根源になるものを・・・・・。 ――――数十分後、教室にて。 「ちょっ、小暮さんすっげぇ可愛いじゃん!」 「え、あ・・どうも。」 「小暮さん、このままコンタクトのままでいなよー。すっげぇいいよ。」 「あっあはは・・・どうも。」 「小暮さん・・・いや、今日から姫子ちゃんと呼ばせてもらうよ。姫子ちゃん、遊び人の藤原なんてやめて俺と付き合おうよっ!」 「いやっ・・・それは・・・。」 「あ、おめっ・・ずりぃぞ。俺も今日から姫子ちゃんって呼ぼうっと♪早速姫子ちゃん、俺もそれに参加ーっ!藤原よりも絶対俺の方がいいって。俺と付き合って。」 「あーいやー・・そのぉ?」 俺らが教室に戻ると瞬く間に席の周りに男子の塊が出来て、姫子を囲み騒ぎ立てる。 ・・・・・わっ忘れてた。 そうだ、コイツ・・・姫子は眼鏡を取っちゃダメだったんだ。 今まで隠していた姫子の素顔・・・さっきまでとは打って変わってヤロー共の目の色が変化する。 ムカツクッ・・・そんな、ニヤけながら姫子に寄るな、喋るな・・触るな・・・ 「・・・お前らっ!俺の姫子に近づくんじゃねぇっ!!」 俺の怒鳴り声が教室に響いたにも関わらず、奴らはそれを無視して姫子に喋りかける。 「あんな遊び人無視して。姫子ちゃん、一度考えてみてよ。」 「あぁ、俺サッカー部に入ろっかな。それだと姫子ちゃんと一緒にいられっし。」 「あ、それいいねぇ。俺もそうしようかな。」 「てめえら、人の話し聞いてんのかっ!姫子に近づくなっつってんだろうがっ!!」 あぁ、クソッ。てんで人の話を聞いちゃいねぇ。 姫子も男子に囲まれて、困ったような表情を浮かべながら蚊帳の外で喚いている俺を見る。 「新一・・・。」 「だぁぁっ、クソッ!姫子っ、今すぐ眼鏡買いに行くぞっ!!!」 その顔を見ていいのは俺だけなんだっ!!! + + Fin + +
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