*Secret Face






  仲直り  




「仲直りのキスしてよ。」

俺は姫子の体を後ろから抱きしめて、耳元で囁く。

姫子も腕の中で体勢を俺の方に向き直り、首に腕をまわして優しく微笑む。

「・・・・・新一?」

「ん〜?」

「だ〜い好き。」

にこっ。と可愛らしく微笑み、ちゅっ。と軽く俺にキスをする。

俺の唇に姫子の柔らかい唇の感触が伝わり、胸の奥が妙に温かくなったような気がした。

「・・・・・原田(あいつ)の時より?」

ついつい漏れる俺の中の蟠り。

先程ヤツからの電話で安心はしたものの、やはり心のどこかに引っかかっていた気持ちが言葉に なって俺の口から漏れる。

「もぅ、新一ってばそんなに心配?」

「心配・・・っつうか・・・。自信ねぇからさ、自分に。今まで色んな女と付き合ってきたけど、ずっと 追いかけられる立場だったろ?適当に付き合って、『別れる。』とか言われても、別にすぐ次のヤツ がいるからいいや。とか思ってたし、どうせ顔だけだろ?っていう思いもあってよ。相手が俺の事を どう思おうと知ったこっちゃねぇ!って感じだったんだけど、姫子は違うんだよ。」

姫子の触り心地のいい頬を指先で撫でながら、合わせていた視線がふと下に落ちる。

そんな俺の頬に姫子も同じように掌を添えてくる。

「姫子が俺の事をどう思ってるかとかすげぇ気になるし、俺でいいのか?って・・・俺のどこに 魅力がある?原田よりも俺は何が秀でてる?とか色々考えてさ・・・不安になる。」

「クスクス。無敵の2枚目、藤原 新一がそんな事言うてたらみんなに笑われちゃうよ?」

「お前ね・・・人が真剣に話してんのに、茶化すのかよ。ど〜せね、俺はお前と付き合い始めてから いい笑いモンなんだよ。こんなに人が真剣に姫子の事が好きで悩んでるっつうのによ。」

「・・・・・悩んでたん?」

「・・・・・一応。」

俺は少し頬が熱くなるのを感じながら、照れを隠すように、ぼそっと呟く。

「私は、サッカーが上手な新一が好き・・・授業サボっても勉強できちゃう新一が好き・・・ みんなに笑われて真っ赤になる可愛い新一が好き。」

姫子は一言一言言葉を区切りながら、その合間に俺の唇に何度も軽いキスをする。

姫子の目線に自分の目線を合わせて言葉をしっかりと受け止めながら、姫子の唇の感触を味わう。

「私に声かけてくる男の子達や、前の彼氏にヤキモチを焼いてくれる新一が好き・・・それよりも 何よりも、私を好きと言ってくれる新一が私は大好き。」

最後に、にっこりと笑いかけてから俺の唇にしっかりと自分の唇を重ねてきた。

俺がいつも姫子にするように、俺の上唇と下唇を順に舌でなぞってくると答えるように差し出した 俺の舌に自分の舌を絡めてくる。

・・・・・・今日は酔ってねぇよな。

以前姫子が酒を飲んで酔った時以外、自分からキスをしてきたり舌を絡めてきた事なんてなかったのに。

そう思うと、俺の体の中から熱いモノが込み上げてくる。

一旦唇を離すと、姫子は俺の目を見ながら囁いてきた。

「不安にならなくてもいいから・・・私を不安にさせないで?ずっとずっと傍にいて。」

「姫子・・・ずっと傍にいるから。不安になんてさせないから。お前も俺の傍にいろよ?」

――――ずっとずっと・・・。

そう耳元で囁くと、くすぐったそうに首を傾げながら小さく頷くと、再び俺の唇を塞いできた。

次第に貪るようなキスに変わり、お互いの息も上がってくる。

姫子のヤツ、何かヤケに今日は大胆だよな。

再び姫子から塞がれた唇に少々驚きながら、それでもいつも自分ばかりが求めているだけに嬉しく もなる。

自然と上がる口元をそのままに、姫子の着ていた服を脱がせると姫子も同じように俺の服を脱がせて くれた。

お互いに生まれたままの姿になると、向かい合った形のままどちらからともなく再び唇を重ねる。

次第に深くなるキスに翻弄されながら姫子の頬に当てていた両手を首筋を通って胸の膨らみに当てる。

胸の形に添って指を這わせ、きゅっ。と両胸の蕾を摘む。

「んっ・・あぁっん!!」

びくっ。と姫子の体が反応し、口から甘い吐息が漏れ始める。

唇を離し、首筋を舐め上げながら徐々に下の方へと移動を始めると俺の胸に当てられていた姫子の手も 下に移動し硬く反り返った俺自身に手を添えてきた。

「ぅっ・・・ぁ。姫・・・子?」

「・・・いつも新一が・・私を気持ちよくしてくれるから・・・今日は・・私がしてあげる。」

頬を真っ赤に染めながらそう呟くと俺の耳朶を甘噛してから舌をたどたどしく首筋に這わしてくる。

途端に体にぞくぞくっという感覚が体を走る。

『私がしてあげる。』

その言葉だけで、姫子の手が添えられた俺自身がビクッと波打つ。

どうしたんだよ、今日の姫子。何でこんな大胆に・・・?

「・・・ぅくっ・・・姫・・子?どうしたんだよ急に。」

「・・・・・嬉しいの。新一が悩むくらい私の事を好きでいてくれる事が。だから・・・今日は 私が新一を気持ちよくさせてあげたいの。」

「おまっ・・・。」

「でも・・・あの・・よく分からなくって。どうしたらいい?こうして手で・・・したらいいの?」

最後は恥ずかしくなったのか、消え入りそうな声で更に頬を赤く染める。

「いいよ、そんなの。充分気持ちいいから、お前はしなくても・・・。」

「してあげたいんだもん。ねぇ、どうすればいい?」

してあげたいって言われてもなぁ・・・多分これ言うと・・・引くだろうな。

言っていいものかどうか散々迷った挙句、俺はボソッと呟く。

「マジいいって・・・お前そう言うけど・・・口でとか無理だろ?」

「くっ・・・口?!」

思った通りの反応に苦笑が漏れる。

「舐めたりとか・・・・・口に含んだりとか・・・って・・うわっ、マジいらん!! お前にそんな事させらんねぇっ。」

ヤバイ・・・考えただけでイきそうになる。

「分かった・・・やってみる。」

「へ・・・・?って、おわっ!!ひっ姫子?!やめっ・・ぅわっくっ!!!」

戸惑う俺を余所に頭を沈めると、手を添えていた俺のモノにそっと舌を這わし出す。

予想以上の快感に俺の手が自然と姫子の肩を掴む。

それと同時により一層脈を打ち太くなる自身。

ヤバイ・・マジ気持ち良すぎる!!こっこんなに気持ちよかったのか・・・これって。

姫子が俺の・・・そう考えただけで余計に自身に力が漲る。

過去に何人かにされた事はあっても、ただ勃たせるだけの為のようなものであってここまで 意識が飛びそうになるほど気持ちいいものではなかった。

姫子は舐めていたモノを口に含むと、ゆっくりと上下に動かし出す。

「あっぅっ!・・・姫子っ・・・ヤバイッ・・・気持ちよすぎる・・はぅっく!!」

先端を口に含んだまま俺を見上げて視線が合うと、嬉しそうに目を細め再び動き出す。

これって視覚的にもヤベェ。部屋も明るいし、座ってる状態だからリアルに見えるんだよな。 口に入ってく俺のソレが・・・うわぁーっ!つうか、マジヤバイ。このままだとイッちまいそう。

徐々に意識が高まる自分を抑えながらも、姫子から与えられる快感に溺れそうになる。

「姫子っ・・・マジやばいっ!・・・もっもぅ、いいって・・・俺イキそう・・・。」

「ん・・・いい・・・イって?」

僅かに離した口からそう呟くと、再び口に含み動き出す。

いいって言われてもだな・・・口になんて出来る筈が・・・。

そう思った途端、急激に俺の果てが近くなる。

「ぅわっ!!・・・っくっ!!姫子っ・・もっ・・イクッ!!マジ・・・ごめんっ!!!」

最後は我慢できずに、姫子の肩を掴んだ手に力が入り自然と腰を動かしていた。

頭の中が真っ白になると同時に溢れ出す俺のモノ。

「・・・・・っっく!!」

一息ついて、体の力が抜けると姫子も俺のモノから口を離す。

何も言葉を発せずただ口を閉じる姫子。

「どわっ!姫子・・ちょっと待てよ、飲むなよ?今ティッシュ取ってやるか・・・・。」

――――ごくん。

「・・・ごくん。って、うわっ!おまっ!!何考えてんだっ!!!飲むなっつったろ!!」

姫子の顔が俄かに渋い顔へと変化する。

それを見た俺の顔も自然と歪む。

『まずい。』そう言っているような、姫子の表情。慌ててテーブルに置いてあったお茶を取ると 姫子に飲ませる。

こくこくっ。と一気に飲み干し、ふぅ。と息を付く。

「・・・・・お前、何で飲むんだよ。」

「何となく・・・。」

「二度と飲むなよ。」

「二度と飲めません。」

それでも、気持ちよかった?と微笑まれ、俺は姫子の体を思いっきり強く抱きしめた。

「すっげぇ、気持ちよかった。」

「ふふっ。よかったぁ。」

「今度は俺の番な。」

「・・・・・はい?」

俺が姫子と視線を合わせ、意地悪く笑って見せると何かを感じたのか笑った顔が引きつる。

「気持ちよくしてもらったから、今度は俺がお前を気持ちよくさせてやる。」

「あのぉ・・・程ほどに・・・。」

「さぁ、それはどうかな。すっげぇ気持ちよかったからなぁ。お礼しないとね。」

「あははぁ・・・お礼なんて結構ですが。」

「いやいや、そんな遠慮なさらずに。」

「おほほほ。遠慮なんて全くしておりませんが・・・。」

「まぁまぁそうおっしゃらずに。」

俺は姫子の顔を自分の方に向かせるとニヤっと笑って見せてから唇を塞ぐ。

『仲直り』そんな言葉もすっかり忘れ、どうやって姫子を喜ばせようかと俺の心は躍っていた。

+ + 『仲直り』 Fin + +



神楽のちょこっとあとがき

只今午前2時半(笑)やっとこさアップできますぅヾ(∇^〃)
どっわ〜〜〜!!結構長くなってしまったぁ(汗)
しかもエッチシーン多?!(苦笑)
姫子が新一に奉仕する展開になってなってしまいましたが・・・
みなさん、大丈夫でしたでしょうかあぁ(^▽^;
苦手だった方、申し訳ありません!!!
仲直りの筈が、最後あらぬ方向へと進んで行ってしまう
単細胞な新一のお届けでした♪
おっお楽しみいただけましたでしょうかぁ(^-^;
H16.11.19 神楽


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