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おっきなアレ

 

 

むかしむかし。
吉幾三が逃げ出したいほどのド田舎の小さい村に、ひとりのジイサンがいました。

ジイサンは三度のメシより酒とSoulが大好きで、畑仕事もせずノンキーズ以上に暢気に暮らしていました。

村の祭の盆踊りエリアのプロデュースを見事成功させたジイサンは、主催者であるこの辺り一帯を取り仕切っている庄屋さん(SHOW-YAではない)の家に謝礼を受け取りにいきました。

「このたびは祭を盛り上げていただいてありがとうございました。」
「ま、客のノリがよかったからね、それにも助けられたってカタチっすけどね。」

ジイサンは相手の目上感をまったく感じていないようなトーキングで返事をしました。

「また来年もよろしくお願いします。こちら謝礼です、どうぞ。」
「あざぁっす。」

ジイサンは、庄屋さんの差し出す謝礼金を、まるで懸賞を受け取る力士のように手刀を切ってから掴み、力水をつけるために部屋の隅へ移動してしばらく待機していましたが、当たり前ですが誰も来ませんでした。

「外に謝礼の品も用意してありますんで、お持ち帰りください。」
「はぁ、そうっすか。」

ジイサンが庄屋さんの家を出ると、そこにはいろいろな謝礼品が積まれた荷車が置かれていました。

「重いですので、荷車ごとお持ち帰りくださいませ。」

庄屋さんの執事的な人にそう言われ、ジイサンは荷車ごと引いて帰ることにしました。

「一体何くれたんだかな、これ。」

ジイサンは荷車を引きながら、謝礼品チェックを始めました。
口ずさむのは、藤井一子の「チェック・ポイント」です。

「え〜っとこれは・・・おっ!?・・・『ロマン輝くエステールより、プラチナ台・ダイアモンドリングを差し上げます』、ってヤツじゃねぇかっ!!」

ジイサン、早速コーフンしまくちゃってます。

『コレは俺がいただく分』『コレはバアサンにやる分』『コレは孫に』『コレは・・・いらねぇからそこら辺のガキにでもやろう』などと思いを巡らせているうちに、やっと家に到着しました。

「んだよ、佐川に運ばせりゃいいものをよ〜、こんな重たいもんを年寄りに引かせやがって・・・」

ジイサンは腰をとんと〜んと叩きながら毒を吐きました。
ジイサン、もう強くないみたい(謎)

「お、そうだそうだ。」

謝礼品の中に小さな封筒があったことを思い出し、荷車の中を漁りました。
ロマン輝くエステールの横に、赤地に白で「大入」と勘亭流のフォントで書かれたポチ袋がそっと置かれていました。

「金かな〜?『大入袋』っていったら金だろ〜、普通。」

ワクワクして封を開けてポチ袋を傾けましたが、出てきたのはお金ではなく小さな黒い物体でした。

「あんだこれ・・・?」(←誤植ではありません)

ジイサンは、かけていたグラサンを指で上に押し上げてまじまじとそれを見つめました。

「ちぇ、種かよ。しょっぺぇなぁ〜・・・」

ジイサン、ガックリきて、種を庭にポイッと捨ててしまいました。


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