トレジャーハンターG
のどかな田舎道をバイクが駆け抜けていく。
あまりの爆音と猛スピードに散歩中のうさぎの親子も慌てて草むらに逃げ込むほどだ。
バイクは、けたたましいブレーキ音を伴って道の真ん中に急停止した。
「恐らくこの近くだと思うんだけどな・・・」
バイクを降りたヨウイチはレーダーを手に周囲を見渡した。
「ん・・・?あれは・・・家?」
道沿いにある竹林の奥の方にこじんまりした一軒家が建っているのが目に入った。
「あそこに住んでる人に聞いてみようかな。」
ヨウイチはバイクを道の脇に寄せた後、その家に向かって歩き始めた。
「すいませ〜ん。どなたかいませんか〜?」
どうやら留守のようだ。
「・・・勝手に入っちゃいますよ〜?」
ヨウイチは、誰もいない家にむちゃくちゃな報告をしながら、遠慮もなくズケズケと侵入していった。
そして家の中をぐるりと見渡す。
「あ!発見!」
家の奥の片隅に置かれた小さなテーブルに、それは少々ぞんざいに置かれていた。
「やったぁ〜!」
それに手を伸ばし、後3センチで手が届くというところで、玄関の扉が勢い良く開いた。
「今日は熊カレー♪ って、あ〜!!何やってんだよぉ!」
ここの住人であろう小柄でツンツン頭の少年が帰宅したようだ。
気絶した大きな熊を引きずっていて、それを玄関の手前に邪魔にならないように置いてから家の中に入ってきた。
「君は〜・・・ここの子?」
「そうだよ。っていうか土足で入るの、やめてくんない?」
少年は玄関にあったタオルで靴跡を拭きながらヨウイチの元へとやってきた。
「ごめんごめん、海外生活が長かったもんで、つい・・・。それはそうと、君・・・裸足だけど土足だよね・・・」
「あっ!自分の足、拭いて上がるの忘れてた!」
少年は慌てて自分の足を拭った後、『HANGTEN(ハンテン)』のマークのような足跡を玄関の方まで拭きに行き、すぐにヨウイチの元へ戻ってきた。
裸足のまま外に出掛けている割に、意外と綺麗好きなようだ。