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「あの・・・この布とでよければ馬と交換しますけど・・・?」
「おぉっ、マジか!」

若者が商人に布を差し出すと、商人はグラサンを額に上げ(えっ、グラサン?)、まじまじと布を眺めました。

「おぉ〜っ、いい布じゃねぇか!ホントにいいのか?!」
「いいですよ。」
「よっしゃ!じゃあ交渉成立な!」

商人は、若者とガッチリと握手し(ムリヤリ)、「ありがとな〜!!」と言って走って去っていきました。

若者は残った馬を見下ろします。
馬はどことなく飼い主に似てました。

「・・・馬肉か。高く売れそうだし、悪くないな。」
「!!」

馬はヒヒ〜ンと鳴いて、横になったまま首を激しく振りました。

「・・・もうちょっと肉をつけた方がいいかな。」
「!!!」

馬はヒヒ〜ンと鳴いて、横になったまま首を激しく振りました。(アゲイン)
若者は、馬のために水を運んだり、お得意のマッサージを施したり、懸命に看病しました。(いいお肉になるために)
看病の甲斐もあり、馬はだんだんと元気になってきました。(“皮肉”にも)

若者が回復した馬を連れて歩いていると、引っ越し中の家の前を通りかかりました。
引っ越しは人海戦術で、もうすぐ日が暮れようとしているのに遅々として進んでないようでした。

若者は家財道具を運び出している人たちを呼び止めました。

「あの・・・」
「なんだね?」
「この馬、使います?引っ越し、早くできると思いますよ・・・?」
「ホントかね?!・・・庄屋さまぁ〜!」
「はいは〜い。」

家の奥から出てきた出てきたのは庄屋。
どことなく観音様に似てるようなカンジです。

「あの・・・引っ越し、時間がかかってるようなので、この馬使ってください。」
「ええっ、いいの〜?!わ〜、ありがと〜。じゃあお礼に余ってる屋敷と田んぼをあげるよ〜。」
「はぁ?!ま、マジですか?!」
「うん、マジだけど?なんで?」

というワケで、フトッパラすぎる庄屋から屋敷と田んぼを手に入れた若者は、末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。

教訓。
1:見返りを求めない善意が幸せをもたらしたのかもネ。(タテマエ)
2:馬肉にしなくてよかったね。(ホンネ)

以上。

 


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