カレが掴んだアレ
むかしむかしあるところに、働けど働けど我が暮らしラクにならざりジッと手を見ている若い男がいました。
「・・・またビンボーな役か。今日2月24日は誕生日なのに・・・」
リアルビンボーではなくたまたまそういう役だっただけなので、その辺は大目に見ていただきたいのですが。
次回はちゃんとハイソな役を回しますと明日のあなたに誓って話を前に進めてみます。
さて、話を元に戻しまして。
働いてもIKKOに・・・いや、一向に暮らしがよくならないこの若者。
限界なんかねぇ、と口ずさみながら頑張ってきましたが、もう限界。「玄界灘」といえば「段田 男(だんだ だん)」。(謎)
若者はお寺へと行き、観音像の前でお願いをしました。
「なにとぞ、この貧しい暮らしから抜け出せますように。
おててのシワとシワを合わせてしあわせ。♪なぁ〜むぅ〜・・・。」
若者はものっすごいええ声でお祈りしました。
すると・・・
「♪いぇっへっへぇ〜ぇいっ!いぇっへっへぇ〜ぇいっ!」
謎の歌声とともに、観音様が突然動き出しました。
「なななななな・・・?!」
「ども〜。観音で〜す。・・・あれ?俺のこと知らない?
ほら、あの〜、カメラのCANONってメーカーあるでしょ?あの社名ねぇ、『観音』からきてるんだよ?
それとねぇ、CANONのカタカナ表記は「キャノン」じゃなくて「キヤノン」だから、その辺ちゃんと覚えといてね〜。」
「そんな話どうでもいいから!金がないからカメラどころじゃないし!」
あまりの貧しさに、観音様のボケにノッてやる余裕もありませんでした。
「そうカリカリするなよな〜!カリーカリーならしていいけど。
・・・あ、そんなことはどうでもいいんだよ〜。
君の話はしかと聞いたよ。貧乏から抜け出したい、っとまぁそういうことだよね?
じゃあねぇ、一生懸命お祈りした君に特別にイイコトを教えてあげよう。
ココを出て君がイッチバン最初に手に掴んだモノ・・・それが君に幸せをもたらしてくれるよ。
うん、たぶん、間違いない、うん。」
観音様のコトバは若干信憑性を欠きましたが、若者は「・・・わかりました。覚えておきます。」と答え、立ち上がりました。
「では諸君、また会おう。ごきげんよう。Bad luckだ!」
「ちょっと!観音様が『Bad luck』とか言わないでよ!」
「ごめんごめん、ジョークだから、ジョーク。高田延彦のマネしてみたかったんだよ。
あ、高田延彦とか言っちゃダメだな、別人の設定だから。『出てこいやっ!』・・・『出てこいやぁっ!』」
「・・・じゃ、行ってきます・・・さようなら・・・」
若者は、高田のマネの練習に夢中になっている観音様を残し、お寺を後にしました。