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ジイサンは、ある程度勝算をもって作った笠が全く売れなかった、という厳しい現実に相当落ち込んでしまい、帰宅早々床についてしまいました。

寒さのあまり八甲田山状態で爆睡していたジイサンでしたが、家の外から響いてきたドスンドスンという謎の物音で目が覚めました。

「・・・ほぁ〜っ(アクビ)・・・こんな真夜中に一体ナニゴト・・・?」

窓をそっと開けたジイサンは、クリビツテンギョーイタオドロ!(逆さコトバ)
家の前に「ゆうパック」の段ボールが4つ積まれていたからです。

「・・・な、何コレ?!」

ジイサンは外へ飛び出しました。
キョロキョロ辺りを見回すと、去っていく4つの人影が見えました。

寝る前にコンタクトを外していたジイサンは、慌てて家に舞い戻り、テイ・トウワと色違いのメガネをかけてもう一度外へ出ました。(コンタクト入れてるヒマなし)
目を凝らし人影を見つめると、笠をかぶったお地蔵さんたちじゃありませんか!
しかも一番後ろのお地蔵さんはメロンのネットをかぶっているから、こりゃ間違いないよね。

「すごい・・・っていうか、なんで歩けるんだ?石像のくせに・・・」

ジイサンは呆然とその後ろ姿を見送ることしかできませんでした。
お地蔵さんたちの姿が見えなくなったところで、やっと我に返りました。

「・・・それにしてもこの箱、何なんだろ・・・?」

恐る恐る箱を開けると、一番上に手紙が乗っかってました。

『笠サンキュー!コレやるから、最新のファッションでも研究しとけよ!』

手紙の下には、若い女性向きのファッション誌最新号各種が入っていました。

「いやいやいや、そんなのもらっても困るし!なんでオトコモノじゃなくてオンナモノの本なの?!」

ジイサンは呆れながら次の箱を開けました。
その中にも手紙が入っていました。

『ありがとざいます☆これ、俺のお気に入り!あげる!』

手紙の下には、未開封のシャンパンの瓶がたくさん入ってました。

「俺、基本的に飲まないようにしてるんだけど・・・」

ジイサン、またしても困っています。
次の箱を開けると・・・

『ヒョ〜ウショ〜ウジョ〜ウ!アンタハエライ!』

手紙の下には、新品のゲームソフトがたくさん入っていました。

「何コレ?!全部ドリキャスのソフトじゃん!きょうびドリキャスなんて誰も持ってないし!どうせくれるならハードとセットにしといてよ!」

比較的冷静な性格でしたが、今回ばかりはアタマをかきむしりながら声を上げました。
ジイサンは、もはや期待せず最後の箱の封を開けました。

『お供えのメロン盗まなかったことにビックリしたよ〜。あ、これ自信作だよ!どうぞ!』

ジイサンとみなさんの予想どおり、手紙の下にはキーマカレーのレトルトがたんまり入っていました。

「いや・・・あの・・・俺コレ食えないし・・・」

ジイサンは使えねぇお礼の品々に自暴自棄になりかけました。
しかしある名案を思いついたジイサンは、お地蔵さんにもらったものを全部かつぎ始めました。
そして町のフリマに向かって、老人とは思えないほどの脚力で全力疾走しました。

「え〜、ナンデモ屋ですよ〜。年末年始、備えあれば憂いなしですよ〜。」

お地蔵さんにもらった品々はジイサンの予想を遥かに上回るほどの好評を博しました。
あれよあれよというまにすべて売り切れてしまい、正月どころかそれ以降の分の玄米を購入できるほどの臨時収入を得ることができました。
目一杯の玄米を手に入れたジイサンは、ウハウハで目には見えないほどの華麗なスピンのまま家へと帰り、末永く幸せに暮らしましたとさ。

めでたしめでたし☆

教訓。
自分にとって不要なものでも、他の人には必要なものかもしれない。
それがエコ魂(ソウル)。

 

以上。


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