「あ、そうだ。賢者の石といえば、最近よからぬ連中が不穏な動きをしてるみたいだから、お前ら頼むな。」
「あ。あなたたち、最初からそいつらをボクたちに押しつけるつもりだったでしょ?」
ヨウイチが冷静に分析する。
「まぁ、あれだ。頑張れ。」
テツヤが実に素っ気無く言って退けた。
「まんまとハメられたのかオレらは・・・」
ユウジがガックリと項垂れた。
「はなむけの歌でも歌ってやるから元気出せ。」
テツヤが指でカウントを取った途端、ボゥっと大きな炎の渦が巻き起こった。
「あ、ごめん。忘れてたわ。」
ユウジ以外の4人は髪がチリチリで顔にススがついて真っ黒になった。
「けほっ・・・けほっ・・・もぅっ、何だよ〜!ビックリすんじゃん!」
「ぎゃはは!みんな、ドリフ大爆笑のオチみたいになってる〜!」
ユウジが腹を抱えて大笑いしている。
「笑い事じゃないよ!」
地団駄踏んで怒るユタカ。
「ボクのサラサラヘアが・・・」
ショックで茫然と立ち尽くすヨウイチ。
「まぁあれだ。気にすんな。」
相変わらず平然としたままのテツヤ。
「もぅっ、気にするっつうの!ほらっ、ユウジ!ヨウイチ!宿に行って風呂でスス洗い流すよ!ほら、早く!行くよ!」
カオルはユウジとヨウイチの手をぐいぐい引いて、テツヤとユタカのいる部屋を後にした。
部屋には赤いコートが残されたままであった。
THE END