「はいはい、連れてきましたよ。この子が噂の小坊主ですよ。」
「おジャマしてま〜す♪」
少年は皇族のように小さく手を振って挨拶した。
「何このまったり感・・・。」
将軍が玉座から少年をまじまじと観察している。
「知りませんよ、んなの。アンタが連れてこいっつったんでしょうがぁ。」
家来は呆れたように呟いた。
「はい、しつも〜ん。」
「はい、何ですか、おチビさん。」
挙手する少年に聞き返す将軍。
「お兄さんが将軍さまなの?」
「ん。そうだよ。」
「へぇ〜。」
「ところで君、話を聞くところによると変わった子なんだね。」
「えぇ?!僕が?!」
少年は素っ頓狂な声を上げて驚いた。
「どうやら自覚はないようですな・・・」
家来が将軍に補足説明をする。
「ま、いいんじゃない?・・・ねぇ、君。お願いがあるんだけど。」
「なぁに?」
「ここにある屏風の虎、捕まえてみてくんない?」
「アンタまた何ちゅうことを・・・」
「ん〜。じゃあ将軍さま、今からここにゴスペラーズ呼んでくださいよ。ゴスペラーズが『Tiger
Rag』歌ってくれたら、僕がナイフで仕留めてあげるよ〜。」
爆笑する将軍に向かって、家来が「オチてないオチてない!」とつっこんだ。
それ以来、少年には「将軍のお友達」という肩書きがプラスされ、京の街で押すに押されぬ大人気になったそうな。
めでたしめでたし。
ちなみに余談ではあるが、現在、少年の法名が「てんねん」であったという学説が有力だということを最後に補足しておく。