二足歩行の猫のおはなし
むかしむかし。
ある国のある田舎町に粉ひき職人を父に持つ3兄弟がいました。
ひいた粉で作っただんごの3兄弟、ではありません。その辺のとこ、お間違えなく。
父と子は毎日仲良く歌いながら、粉ひきの仕事をしていました。
ところがどっこい、ある日のこと。
父が突然他界してしまったからサァ大変。
残された遺産は、粉ひき小屋と、ひいた粉を運ぶために飼われていたロバ、そして小屋に出るネズミを撃退するために飼われていたペットの猫。
この3つだけでした。
近所でも仲が良いと評判だった3兄弟だったのに、父がちゃんとした遺言状を残してなかったことで、遺産を巡ってすっかり険悪ムード。
家政婦が見たら「あらいやだ。」と言いそうなほどの殺伐とした関係となってしまいました。
積み重なる協議の結果、亀の甲より年の劫(謎)、選択権は長男から、ということになりました。
長男は「俺は小屋をもらうよ〜。粉さえあればカレーも作れるしな〜。」と当然の如く小屋をゲットしました。
続いて次男。
「俺はロバだな!ロバタクシーを開業して、高級クラブのネーチャンを運んでウハウハだぜぇ〜っ!」と熱き想いをたぎらせ、浮かれ気分でさっさと小屋を飛び出していってしまいました。
猫とともに残された幼い三男は、頭を抱え絶叫しました。
「くそ〜っ、あいつらいくら兄貴だからって実の弟に猫だけ押しつけやがって!遺産を分けずに3人で粉ひきを続けるという選択肢もあっただろうに!」
と、至極全うな意見を述べて怒り狂う三男に、猫が冷静な口調で語りかけます。
「まぁまぁ、落ち着いて。」
「これが落ち着いていられるか?!今日食うにも困る状況なんだぞ?!いくら猫好きといえども、飢え死にしたら元も子もないじゃないか!」
「策はあるから、心配しないで。俺にまかせて。ね?」
「まさかワタシのカラダを・・・?!(女声)」
「いやいや、キモいし、そんなんじゃゼッタイ売れないから。」
「わかっとるわ!冗談に決まっとるだろうが!」
そんなバカバカしいやりとりをする三男と猫。
早くも先が思いやられるところですが、猫は三男に「長靴と布袋(←HOTEIと読まないでネ)をくれる?」と頼みました。