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『お〜い。』
ベランダの方からユタカの声がする。

『・・・ん〜・・・?』
てつやはカラダを起こして声のする方を振り返った。
ベランダにはあの3匹が。

『お前も一緒に行かない?』
『えっ?!俺?!』
『「俺?!」って、今そこにアンタしかいないじゃん。』
『もうネズミちゃんたちに悪いことしないなら、一緒に行ってあげてもいいわよ☆』
『まっ、マジ?!しないしない!もうこいつらには二度と手ぇ出さないから!』

てつやはベランダの3匹の元へ走って行った。

『約束よ?』
『おぅ!誓う誓う!』

てつやは年甲斐もなく(!)エリザベスに指切りげんまんをさせられ、カオルとユタカにクスクス笑われた。
てつやは小指をつないだ状態でぶんぶんと手を上下に振りながら、顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。

『あ。そうだ。どっちか、てつや君の背中に乗る?』
『こんなむさ苦しい背中イヤだ!』『エリザベスちゃんの背中がいいよ〜!』
『お前らふざけんなコラぁ〜!!』
『てつや君っ!?』
『あ、すいません、何でもないです・・・』

『仕方ねぇなぁ。俺が乗ってやるよ〜。同い年みたいだし。』
カオルがエリザベスの背中から降り、てつやの背中に飛び乗った。

『じゃ、改めて。出発進行〜!』

猫2匹が軽快にピョンピョンとベランダから地上へと飛び降りていく。

『なぁ。』
てつやの背中でカオルが声を掛けた。

『何だよ?』
『お前、頑張ってエリザベスちゃんオトせよ?』
『お前らは?!』
『エリザベスちゃんは確かにかわいいとは思うけど、所詮遺伝子が違うし、サイズも違うしさぁ〜』
『「サイズ」ってお前っ!!』
『え?だってカラダの大きさ違うじゃん』
『あ、そっちか。』
『どっち?』
『な、なんでもねぇ・・・』
『応援してるからさ。』
『お前に応援されっと上手くいくもんも上手く行かなくなりそうだけどな。』
『ん?何か言った?』
『なんでもねぇ。』

てつやはエリザベスと並んで疾走しながら、誰にも聴こえないように小さく『サンキュ』と呟いた。

 

 

今度こそ本当におわり。

 


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