ひとまず西に進路を取れ
「ん・・・なんだ?いったい・・・」
あまりの眩しさに俺は堪らず目を覚ました。
目を擦ってぼやけた視界にピントを合わせる。
辺り一面、金色に光り輝いている。
「・・・ここ、どこだぁ・・・?」
キョロキョロと辺りを見回していると、いきなり足元が激しく揺れた。
「うわぁぁ!」
バランスを崩し、金色の床に尻餅をついた。
「なんだよコレっ!?」
『目、覚めた?』
地響きのように底から湧き上がるような声が聞こえた。
声の主は見えない。
「ああ覚めたよ!ってか、アンタ誰!?」
『上見てみ?上。』
「う、上?」
そ〜っと視線を上げ、頭を上に向ける。
「ゲッ!何?」
そこには、黄金のとてつもなくデカい大仏のような顔が!
「大仏魂(だいぶっこん)だ!」
『いやいや違うし!それアレでしょ?“天才たけしの元気が出るテレビ”のやつでしょ?そんなんと一緒にしないでくれよ。』
「じ、じゃあ何だよ!?」
『釈迦で〜す。』
「はぁ〜???」
『だからぁ、釈迦だっつってんのに。』
「はは・・・んなわけないじゃん。お釈迦様の口調がそんな軽いわけないじゃん。」
『軽くてもいいっしょ?俺の持ち味なんだし。』
「あっそ・・・じゃあさ、聞くけどさ、お釈迦様が俺に何の用?」
『旅に出てよ。』
「・・・は?どこによ?」
『天竺に。』
「はぁ?!それなら俺じゃなくて孫悟空に頼めばぁ?」
『いや、だから頼んでるんじゃんか。』
「・・・は?今なんて?」
俺は上げていた顔を下ろした。
「ぎゃぁぁっ!なんじゃこれぇ!?」
俺・・・孫悟空みたいな格好してますけどぉ?!
「俺が酔っ払った間にコスプレさせたな!?」
『コスプレじゃないし。おめでとう、君は孫悟空に選ばれました。daibaッテキ!
優勝賞品として如意棒をプレゼント!やったね!』
「“やったね!”じゃないよ!なんで俺が選ばれるんだよ!」
『ん〜、しいて言えば・・・・・・髪型?』
「それだけかよ!ざけんなコラっ!」
『ふざけてないよ。あとさぁ、あんまり俺に盾突かないでくれない?
君が今立ってるの、俺の手のひらの上だよ?俺がこの手握り締めたらプチ〜って潰れちゃうよ?
一溜まりもないんだからな?
♪手の〜ひらの〜孫悟空状態〜』
「ドリカムかよ!・・・ってメンゴメンゴ・・・」