翌朝。
「おはようございま〜す。」
ショムゴのドアを開けると、俺の席の辺りでギャイギャイ騒いでる4人の姿・・・。
「何で決める?」
「普通にジャンケンでいいんじゃね?」
「ここはやっぱりアッチ向いてホイで!」
「囲碁は?」
「囲碁なんてルールわかんないじゃ〜ん!ババ抜きがいいよ〜!」
朝っぱらから何やってんのよ、この人たち・・・。
「お前も参加しろよ。」
村上さんに首根っ子を掴まれ、輪の中に入る。
「黒沢さん、何で決めたいですか?」
「は??」
北山さんからの質問の意味が全くわからない。
「とりあえずこの人は放っておきましょう。まずは何で決めるかをあみだくじで決めましょう。」
酒井さんがメモに4本の線を引いた。
隠すようにして片方の一端に何かを書いて紙を折り曲げた。
酒井さんを除く3人が線の頭に「ジャンケン」「囲碁」「ババ抜き」と書き、最後に酒井さんが「アッチ向いて」と書く。
皆、慣れた手つきであみだくじに横棒を足していった。
「じゃ、開けます。」
北山さんが畳んでいた部分を広げ、「当たり!」と書いてある方から指で辿って行く。
「♪あっみだくじ〜、あっみだくじ〜」
一番冷静沈着そうな彼がすっごい低い声で歌ってますけど〜!?
しかもみんな横棒引きすぎ!
なかなか結果わかんないじゃん!
「♪あっみだくじ〜、あっみ・・・あ、ジャンケンだ。」
「ぃよぉ〜っし!」
村上さんガッツポーズ。
「じゃあ今日の『3時のおやつ購入係』をジャンケンで決めま〜す!
今日の商品は赤福の『朔日餅(ついたちもち)』で〜す!負けた人よろしくね〜♪」
『今日の』って、これ日課かよ!
しかも、誰が買いに行くかをジャンケンで決める、っていうのをあみだで決めたのかよ!
最初っからあみだで誰が買いに行くか決めればいいじゃんか!
「じゃ、5人でジャンケンします!」
俺もかよ〜!!
「じゃんけ〜んぽん!」
「・・・あ。」
みんなパーで俺グーだし!
負けてるし!
「じゃ、月光デパートの地下にあるから、黒沢さんよろしく。」
北山さんに肩をポンポンと叩かれる。
皆それぞれ自分の席へ戻っていく。
「あっ、あのぉ!・・・お金は?」
俺がそう聞くと、みんな一斉にこっちを振り返った。
「負けた人が出す!」
みんな一斉に俺を指差す。
俺・・・勝負事、苦手なんだよな・・・前途多難だな・・・
俺のショムゴ人生は始まったばかり。
本当にこの部署で頑張って上の人を見返すことはできるのだろうか。
【つづく・・・と見せかけて1話完結】