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その後もゲームは続き、残るはふたり。

「・・・ねぇ、そこのふたり、早く終わってくんない?もうすぐ本番の時間だよ?」
「そう言ったってさぁ、俺と村上の間でジョーカーが行ったり来たりして全然終わんないんだもん。」

・・・村上と黒沢だ。

現在、村上の手札はスペードの『A』とジョーカー、黒沢の手札はダイヤの『A』。
両者の『A』は、己が引かれるのを今か今かと待っている状態。
しかし、皮肉にもジョーカーが“人気沸騰中”、のようである。

「黒沢っ、上か下か言えよ。」

村上は両手で上下に挟んだカードを黒沢の前に差し出す。

「ん〜・・・じゃあ下っ!」
「おっし、下な。いくぞ?せ〜のっ・・・」
「だぁぁぁっ!またジョーカー?!終わんないよこれぇ〜!・・・じゃ、村上、どっち?」
「次こそは絶対『A』だ、こいよ!こいこい!こいこい!・・・よしっ、こっち!・・・がぁぁぁっ!またかよ!!」

「ゴスペラーズさ〜ん、出番が近づいてきましたのでスタンバイお願いしま〜す!」

「はいは〜い!・・・ってことでおふたりさん、もう終了ですってば!何やってんすかもう、早くカード置いてください!行きますよ!」
「は〜い、やめたやめた〜!」
「待て黒沢!こんなの納得いかねぇ!俺まだ一度も勝ってねぇし!ここで終わったらお前らの勝ち逃げじゃねぇか!」
「て、てっちゃん、時間ないって!ほら、早く!」
「出番終わったら『大富豪』と『七並べ』でリベンジだぁぁぁぁ〜!覚えとけよキサマら〜!」

安岡は、叫びまくる村上と宥める3人からこっそり離れ、スタッフの元へ歩み寄った。

「・・・あの〜、本番終わるまでに控え室のトランプ、片づけといてもらっていいですかね・・・?」

他の4人には決して聞こえないようにそっと耳打ちし、安岡は4人の輪の中へと戻っていったのだった。

 

 

END

 

 

【オマケ】

本番後。

「な、ない!トランプがねぇぞ!?」
「あ、ホントだ。」
「どっ、どこいったんだよ?!今から大富豪っ・・・」
「てつがうるさいから、トランプが逃げてっちゃったんじゃないの?」←これが正真正銘の『ポーカーフェイス』である。

以上。


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