視界にずっと表示されたままの体力ゲージを見ると、思わぬプレッシャーに体力が少しずつ削られていることがわかる。
目に見えてる分、いつもより疲れているような気になってくる。
北山〜!早く回復魔法を出せ〜!
歌いながら移動しつつ、北山に目で必死に訴えかけた。
が、目が合った北山はキョトンとした表情。頭の上に「?」マークを3つぐらい浮かべている。
間奏中、すれ違った安岡に「酒井さん、すっげぇ汗!」って言われた。
お前に言われとうない!
ライブも終盤、またもMCコーナーに突入。
「大丈夫?ちゃんと水分摂ってる?」
手で汗を拭う俺に、北山がマイクオフでそう言って、俺の水のボトルを手渡してきた。
おぉ、体力がMAX時の6割ぐらいまで回復した!
さすが白魔術師!
「どう?みんなぁ〜。男戦士1の戦いっぷりは〜?」
客席が拍手と大歓声で俺を讃えてくれる。
「おぅ!いつもより余計に戦士頑張っとりますよ!」
「じゃあもうちょっと頑張ってね。俺ら座っとくから。」
安岡がトーク丸投げしてきやがった!
そうだねそうだねと言いながらその場に座る4人とバンドメンバー。
「くそぉ〜っ!こうなったら奥の手を出すぞ!」
座って水を飲む黒沢さんの腕を無理矢理引っ張って立たせる。
「俺を巻き込むなよっ!」
黒沢さんがダルそうに立ち上がった。
ここで、イチかバチか、勝負!
『カレーやとのおもしろトーク を つかった!』
ふたりでステージの真ん中に立ち、昼間のカレー屋での話を披露する。
俺がカレー屋の話し方などを細かく忠実に再現し、黒沢さんが俺たちふたり分のリアクションを演じる。
これが意外とラスボス・・・いや、ファンにかなりのダメージを与えた。