←BACK


客、イライラしている。

運「てっちゃんてっちゃん!」

客、無視。

運「てっちゃん!せっかくの機会だから、歌ぁ歌ってくださいよ〜!」
客「せっかくの機会って何だよ!」
運「(全く動じず)ワタシねぇ、あの歌好きなんですよ!ほら、え〜っと・・・
♪あ〜なたのぉ〜風になぁってぇ〜、ってやつ!あれ歌ってくださいよぉ!」
客「(これ見よがしに溜め息)・・・歌いません。」
運「えぇ〜?あの歌いい歌なのにぃ〜。よっちゃんも俺も大好きなんですよぉ〜・・・
♪あ〜なたのぉ〜風になぁってぇ〜・・・ふ〜ふふふ〜ん・・・」
客「続き知らねえのかよ!」
運「いやいや、度忘れしちゃってねぇ〜。」

運転手、片手でアタマをポリポリ掻く。

運「あ!あの歌も好きなんですよ〜!ほら、え〜っと、なんだ、ほら・・・あっ・・・
♪遠い〜彼方まで〜行く〜、やくそ〜くの羽根がぁ〜、僕ら〜乗せ〜ていく〜、
せつな〜い胸〜とぉ〜愛しい〜胸重〜ねたい〜、心が言う〜心が言うの〜さぁぁ〜めぐり逢えたとぉ〜。
・・・♪そぉらに〜つ〜ら〜なるぅ〜」
客「詳しっ!」
運「いやいや、ワタシが歌っても仕方ないじゃないですか!
てっちゃんに歌ってもらいたいなぁ〜!♪遠い〜、って!」
客「うーたーいーまーせーんー!」
運「え〜!?何でですかぁ〜?いい歌なのにぃ〜!」
客「お前わざとだろ。確信犯だろ。な?」
運「は?わざととは?」
客「・・・何でもない。」
運「んもぅ、おかしな人ですねぇっ。」
客「オメェに言われたかねぇよ!」

 

運転手、ゆっくりブレーキを踏む。

運「あ、はい、着きましたよ〜」

運転手、レバーを引き後部のドアを開ける。

ゆっくりと降りる客。辺りをきょろきょろ見回している。

運転手もドアを開け、降りる。

客「ここ、お台場じゃなくて・・・」
運「そう、ここは・・・(ファルセットで)♪さん〜ぐう〜ばしぃへ〜、はやぁく、はやぁく、はやぁあくぅ〜〜〜ぅぅぅ」

 

(暗転と同時にBGM『参宮橋』オープニング“♪しゅ〜るるわっ”から流れる)


→NEXT

→コントメニューへ戻る