ある王国での風景

 

☆登場人物
 記者(北山)
 国王?(黒沢)
 王国の住民?(1.村上/2.酒井/3.安岡)


(暗転〜BGM:『夕焼けシャッフル』終了と同時に溶明〜赤い照明とカラスの鳴き声で夕方を演出。)

 

ビジネススーツを着た記者が、キョロキョロしながら下手から現れる。

記「(頭上の看板を指差し確認するフリ)・・・っと、ここか?・・・うん、間違いない。・・・4時半に門のところまで出迎えがあるって言ってたけど・・・」

王「ぱからん、ぱからん、ぱからん、ぱからん、ぱからん、ひひ〜ん!ぱからん、ぱからん、ぱからん・・・」

白髪交じりのカツラ・レンズの大きい古めかしいメガネ・カウボーイハットに赤いチェックのシャツ・ジーンズ・ブーツ姿の国王。
馬の頭がついた長い棒をまたいで走って上手から登場。

記「・・・・・・帰ろう。」

記者、下手に向かって引き返す。

王「SCS出版の北山さん、ですよねぇ?」

国王に呼び止められ、記者 びくりと背中を揺らして振り返る。

王「ど〜も、お待ちしておりましたよ。ようこそ、我が王国へ!(ええ声)」
記「はぁ、ども・・・こんばんわ・・・」
王「いやぁ、ウチの“王国”を取材してくれるなんて・・・ホント、光栄です!」
記「はぁ・・・いえ・・・」
王「早速、ね、敷地内を案内しますから。・・・どうぞ?」
記「・・・へ?」
王「だから。どうぞ?」
記「・・・何がです?」
王「んもぅ〜、『後ろに乗ってください』って意味に決まってるじゃないですかぁ〜!」
記「えぇぇぇぇっ?!」
王「敷地広いですし、ね?どうぞ?」
記「・・・(小声で)乗らないと取材が進まない、ってことは・・・乗るほかないのかぁ・・・」
王「・・・北山さぁん?どうされました〜?」
記「・・・・・・じゃあ、お願いします・・・」

国王、パァッと笑顔を浮かべ、“馬”を北山の横へつける。

王「じゃあ腕引っ張りますんでね。・・・せ〜のっ!」

北山、国王に腕を引っ張られ、棒の後方(国王の後ろ)にまたがる。

記「・・・手助けしていただかなくても普通にまたげそうでした・・・」
王「あれ?そうでした?・・・じゃ北山さん、おなかのところにしっかりつかまっててくださいね。」
記「はぁ・・・」

記者、躊躇いがちに国王の腹に腕を回す。


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