スタッフ(声のみ)「本番行きま〜す。5秒前〜、4、3・・・」
イ「はいっ、今日はデビューほやほやのアイドルに来ていただきました。自己紹介よろしく。」
ア「黒沢カオルでぇす☆17才、数えで18才、干支はイノシシで二黒土星でぇす!」
イ「す、すごいね〜。若いのに変わった自己紹介するんだね〜・・・。」
マ「(小声で)よしっ!オンリーワンオンリーワン!」
マネージャー、小さくガッツポーズしながら呟く。
イ「じゃ好きな食べ物は?」
ア「カレーでぇす!」
イ「いいねぇ、カレー。僕も好きだよ〜?」
ア「カレーだったら、ふんわり盛ったごはん3杯食べれますぅ〜」
マ「(小声で)『カチ盛り2杯食べれます』って言うより、ファンシーだよね!いいよいいよ〜!」
イ「ふんわりで3杯・・・リアルな量だよね〜・・・」
ア「ありがとうございます!」
イ「いやいや、そこで礼はいらないんだけどさ・・・。辛いのも平気?」
ア「はい!けどおいしいことが前提ですけどね。」
イ「オススメのカレーとかあります?『あそこの店のこんなカレーがおいしかった』とか。」
ア「そうですね〜、南インドのね〜、チェンナイってとこにあるね〜、「Southern Spice」っていうお店のカレーがすっごくおいしいんですよ〜!
安岡さんも是非行ってみてください〜!」
イ「・・・行ったことあるんだ・・・インド・・・」
ア「あっ、でも、ついでにグラビア撮影もしてきましたよ?」
イ「撮影は『ついで』なんだ・・・」
ア「はいっ!」
イ「そこ元気に返事しちゃうんだ・・・」
ア「はいっ!」
マ「(小声で)いいぞいいぞ!その調子その調子!」
イ「じゃあね、カオルちゃんはアイドルとしてこういうところに気を遣っていることとかありますか?」
ア「えっとぉ〜、カレーを右手を使って食べると爪の間が黄色くなっちゃうので、ネイリストさんに頼んでキレイにしてもらってまぁす。」
イ「え、カオルちゃん・・・手で食べるの・・・?」
ア「“手”じゃなくて“右手”ですよ〜。“左手”は使っちゃダメなんですよ〜?こうやってねぇ〜・・・」
アイドル、右手で混ぜて口元へ運ぶ動き。
イ「いやいや!それは知ってるけどね!アイドルがその食べ方はまずいんじゃないかな・・・」
ア「まずくないですよぉぅ!すっごいおいしいです!」
マ「(小声で)いいぞ、カオルちゃんっ!」
イ「え〜っと・・・話、変えよっか・・・今回の新曲なんだけど、夏らしくて元気の出る曲ですね。」
ア「ありがとうございます!」
イ「今回のこの衣装は歌詞に出てくる『夏の太陽』をイメージしたのかな?」
ア「いえ、これはターメリックを意識して・・・」
イ「またカレーか!」
ア「はいっ!『夏』と言ったら『カレー』です!」
イ「ファミレスの幟(のぼり)か!」
ア「はいっ!あ、でも私の場合は夏だけじゃなくて365日カレーですけどね♪」
マ「(小声で)『少しぐらいの嘘ならいい』とは言ったが、嘘をつかなくても神秘性がある!さすがカオルちゃん、才能あるよ!」
イ「カオルちゃん、とりあえず一度カレーから離れようか。次の質問に・・・」
ア「無理ですっ!カレーから離れろなんて・・・そんなの無理です!!カレーなしの生活なんて!うわぁぁ〜ん!」
アイドル、インタビュアーにすがり、泣きつく。
イ「いやいやいや!『離れる』って、そういう意味じゃなくてね!」
ア「無理ですぅ・・・そんなの無理ですぅぅぅ〜・・・うわぁ〜ん・・・」
イ「いや、だから!違うって!離れるっていうのはトークの話だよ!?
カオルちゃんの、カレー以外のこと、テレビの前のファンのみんなも知りたいと思ってるよ?」
ア「(低い声で)あ、そういう意味ですか。」
アイドル、ケロッと泣き止み、真顔に戻ってインタビュアーから離れる。
イ「今、一瞬オッサンに戻ったぞ?!」
アイドル、立ち上がり、一歩前に出て、深く息を吸う。
ア「(アカペラ独唱)♪Open up your heart and say〜」
マ「(拍手しながら)よっ!さすがカオルちゃん!」
イ「・・・歌唱力あるんだから、もっとそっちで売った方がいいと思うよ・・・?」
(暗転と同時にBGM『Lean on me』流れる)