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しばし一人暮らしの雰囲気を堪能した後、俺はサークル活動のため再び大学へと向かった。

サークルの部室に入ると、すでに俺と同い年の酒井・北山・安岡が机に腰かけてしゃべっていた。

「あれ?どうしたのテツ。来るの遅いじゃん。」
安岡が俺の顔を見るなりそう言う。

「何?どうしたの?うれしそうな顔しちゃって。」
「ぐふっ☆・・・あのさぁ〜♪ ・・・実はさぁ〜♪」
北山の質問に、緩む口元を手で押さえながら答える俺。

「もうっ、鬱陶しいな!もったいぶってないで早く言いなさいよ。気色の悪いっ!」
酒井に催促されたので、俺はポケットをまさぐって新居の鍵を取り出し、3人の目の前にぶら下げた。

「じゃ〜ん☆コレ、な〜んだ〜?」

「鍵だな。どう見ても。」
酒井がまじまじと見つめながら答える。

「もしかして、部屋、借りたの?」
「北山くん大正解〜♪ ・・・村上くん、ついに念願の一人暮らしでぇ〜す!」
「へぇ〜。で、何?このスペアキー、俺たちに預けてくれんの?」
安岡が俺の手から鍵を奪い取り、それを見つめた。

「バ〜カっ!誰がお前らに渡すかボケぇ〜!お前らに渡したら入り浸るだろ!」
安岡が指につまんだ鍵を奪い返す。

「せっかく一人暮らししたのに、お前らが入り浸ったらエロビデとかエロ本とか堪能できねぇだろ?彼女だって呼びたいし。」
「今、彼女いないじゃん。」
北山に痛いところをつっこまれる。

「あ〜っ、うっさいな!『彼女ができたら』、だよ!彼女ができたら部屋に呼んで、このスペアキー渡すんだよ!」
「ふぅ〜ん。じゃあ頑張って彼女見つけないとね。」

・・・くっそ〜、俺がこんなに一人暮らしできて喜んでるっていうのに、こいつらときたら・・・バカにしやがって・・・。


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