超獣戯画
≪第3話:ヨウイチのお仕事≫
ヨウイチが宿直当番で帰らなかった翌朝。
ユタカとテツヤは朝食を摂りながらテレビを見ていた。
『あの噂の探偵がタイガーアイという4人組の窃盗団を捕まえた』
と、朝の情報番組のキャスターがフリップをめくりながら興奮気味に伝えている。
「へぇ〜。また出たのかぁ、あの探偵。」
ユタカはトーストした食パンを頬張りながら呟いた。
「なぁ、ユタカ。」
「ん〜?何〜?」
「今度の土曜日、付き合ってほしいんだけど。いいか?」
「まっ、まさか『せくきゃば』とか言うヤツじゃないだろうね?!
この前ヨウイチ兄ちゃんに『せくきゃばって何?』って聞いたら冷静に怒られてさぁ、ものすごく恐かったんだからね!」
「ははっ!『セクキャバ』じゃねぇよ。心配すんな。」
「違うって・・・じゃあ何?どこ行くのよ?」
「ひ・み・ちゅ〜♪」
「それ、何キャラ・・・?」
土曜日。
午前中で授業を終え帰宅したユタカは、グッチさんがテレビで作っていた炒飯を真似て作り、テツヤと一緒に食べた。
「じゃ、いっちょ行くかな。ユタカ、行くぞ。」
洗剤まみれの皿をすすいでいるユタカを置いて、犬型のテツヤが玄関に向かっていく。
「え?あ?へ?ちょ、テツヤ、待ってよ!」
ユタカは慌てて水を止め、タオルで手を拭ってテツヤの後を追った。
テツヤに連れられてきたのは人気のない小さな公園。
テツヤは犬型のまま、ベンチの裏にある植え込みの中に潜り込んで奥へと入っていく。
「ユタカ〜、早くお前も入って来いよ〜。」
「ちょっとテツヤさぁん?!あんた犬だから入っていけるけどさぁ!」
跨ぐには高過ぎるし、潜るには低過ぎる。
仕方なく、這いつくばって植え込みに侵入していった。
「うへぇ・・・服、砂だらけ・・・ヘコむ・・・」
「ったく、モタモタすんなよな〜。」
中で待ち受けていたテツヤに小声で愚痴られる。
「だって!」
「しっ!静かにしろ!」
「むぅ・・・」
そんなやりとりをしている間に、誰かが植え込みの前のベンチに腰掛けた。